2と3の壁
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それは度し難い弊害、いや現実であった。
何て事はない。天が頭上に青く広がる様に、地が足元で何処までも茫漠と続く様に、それは至極当然の摂理である。人がとやかくやいのやいのと不満を口にしたとて天と地はひっくり返りはしないのだ。しかし、その論を俟たないどうしようもない事実が僕にはとても厭わしく、許しがたいものであった。
僕と彼女の間に存在する高く、大きく、見えない壁はどんなに必死に奔走したとしても越えられないものだった。声が聞こえても、その言葉は僕が伝えたい言葉ではない。手を伸ばせば触れられるはずの距離に居ても指先は触れられはしない。お互いの姿が見えていても彼女にとって、僕はそこに在って居ないも同然で。声も、手も、想いも、僕の何一つ、彼女には届かないのだ。何一つ。切なさに胸を押し潰され打ち拉がれても嗚咽を漏らしたくても、この世界はそれさえも許そうとはしなかった。何て無情なのであろうか。だが、それが絶対に変わる事のない世界の理なのだ。僕と彼女は同じ人の姿を象っていると言うのにその在り方は決定的に違っていた。
「――――。」
嗚呼、名前を呼ぶ事すら許されないなんて。触れたい。触れたい、触れたい触れたい触れたい触れたい。彼女の、――――のあの温かく柔らかそうな肌に。こんなにも求めてもそれは敵わない。この冷たく無機質な手では彼女には触れない。――――、愛してるよ。愛してる、愛してるんだ。君を愛してる。それなのに。
今日も薄い透明な壁の向こう側。僕を操る愛しい彼女は僕の存在には気付いてはくれない。
2と3の壁
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ゲームの世界の半兵衛サンが現実でゲームをプレイする主人公に恋した話。
MANA3*130119