起床コール
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朝なんです。起きて下さい。
起床コール
「半兵衛さん。朝ですよ。起きて下さい」
私は布団の中の半兵衛さんに起きるよう言ったが一向に起きる気配がない。
…そう言えば半兵衛さんは病人だ。もしかしたら…。
「半兵衛さん、朝です。起きて下さい。死んでるんですか?」
「…」
「半兵衛さん、早く起きて下さい。死んでるんですか?」
「…」
「半兵衛さん、好い加減にして下さい!死んでるんですか?」
「…」
「おい半兵衛、この野郎!生きてるか死んでるかハッキリせんかい!!」
「…」
「…」
「…」
「…」
「し…死んでる!!!!」
「……名前………煩いよ……」
あ…生きていた。
「おはようございます。半兵衛さん」
「…」
「…」
「…」
「ちょっ…寝ないで下さいよ!!」
「…名前…好い加減にしてくれないか…煩くて眠れない…」
「好い加減にするのはアンタだよ!!半兵衛さんが私に起こしてって頼んだんじゃないですか!!」
私だっていつもなら今頃、安らかに眠っている。「明日、陽が昇る前に起こしに来てくれないか。断ったら生まれてきた事を後悔させる」なんて頼まれる改め脅迫されなかったらこんな朝早くになんか起きない。
「半兵衛さん。ほら、今こそ覚醒の時ですよ」
「…大丈夫だ…時間はまだある…焦るな……」
「何言ってるんですか。寝呆けてないで起きて下さい」
「………驚いたかい…?……」
「は?」
「…君を一夜城に招待するよ…」
「嫌ですよ!!あんな、人が止めどなく出て来る所なんて!!だから寝呆けないで起きて下さいって!」
「……まだだ……まだ…終わらない………」
「…」
「…まだ……
……夢の続きを歩める…………」
「歩ませるものか!!私が今ここに居る限り歩ませたりさせるか!!!!起きて下さい!今直ぐに!!」
やっと半分、起こす事が出来たのに、また寝るなんて許さない!!!!何、歩もうとしてんのこの人!!何歩んじゃおうとしてんのこの人!?
夢の続きなら次、寝る時にしてほしい!!
「半兵衛さん!」
「…うん」
「起きて下さい!」
「…うん」
「い・ま・す・ぐ・に!!」
「…うん」
「うん」 し か 言 え な い の か。
言葉じゃなくて行動してほしい。
「あなたは竹中半兵衛さんですかー?」
「…うん」
「あなたは天才軍師ですかー?」
「…うん」
え…ムカつく。事実だけどムカつく。もう何だろ…ムカつく。
「あなたには夢がありますかー?」
「…うん」
「あなたは馬鹿ですかー?」
「…」
何でここだけ返事しないんですか。起きてるんでしょ?覚醒したんでしょ?
「あなたは秀吉さんが好きですかー?」
「…う~ん」
えぇ!?悩んだ?!悩みましたよね!?!?あれだけ秀吉秀吉って言ってたくせに!!!!秀吉さんでも泣いちゃいますよ!!誰もそんな秀吉さんを見たくないですよ!!!!
「私は半兵衛さんより常識人ですかー?」
「フ…そんなの有り得ないよ」
このやろっ!普通にはっきりした言葉で否定されたし!!!!何か嘲笑が含まれてるし!!!!しっかりと起きてるじゃないですか!!!!
「…おはようございます」
「ああ」
「起きましたね?」
「まだ眠い」
「起きましたよね?」
「起きてない」
「じゃあ私はこれで」
半兵衛さんの覚醒を確認した私は部屋に戻る事にした。私も眠い。凄く眠い。
ガシッ
「は?ぬわっ!?」
いきなり布団の中から出て来た手に腕を掴まれ、そのまま布団の中へ引き摺り込まれた。そして私の体は布団に収まり、半兵衛さんの腕の中に収まった。
「………半兵衛さん。私も眠いんです」
「そうかい。じゃあここで寝ると良い。僕が特別に許可してあげるよ」
「自分の部屋で寝たいんです!それより良いんですか?」
「何がだい?」
「何か用事があるから起こすのを頼んだんじゃないんですか?」
「ないよ」
「はい?」
「用事なんてないよ」
「じゃあ何で」
「おやすみ」
「あっ!おいこらっ!夢の続きを歩むんだろ!?私も部屋で夢の続きを歩ませろ!」
暫く私は脱出を試みたが無理だった。半兵衛さんも夢の続きを歩んでしまった。現在進行形で。
私も潔く脱出するのを諦め、そのまま眠りについた。
これが策略された起床コールと知る事はなく。
**0913/MANA3