負傷治療負傷
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私は傷を癒しに来たんです。増やしに来たんじゃないです。
負傷治療負傷
「大丈夫ですか?名前殿」
「はい。大丈夫です」
豊臣軍にこんな優秀なお医者さんがいるなんて知らなかった。
私の腕や足に付いた、まるで『時には剣、時には鞭の伸縮自在の剣』で斬ったような『切り傷』を素早く手際良く手当てしてくれた。
「念の為、包帯も巻いておきます」
「あ…ありがとうござ」
「ここに居たのか」
出たな切り裂き半兵衛。誰のせいでここに居ると思ってるんですか、切り裂き半兵衛。他でもないあなたのせいですよ、切り裂き半兵衛。
「包帯を巻くのかい?僕がやろう」
「いえいえ半兵衛様。私めが」
そうですよ。帰れ。
「僕がやる」
「いえいえ私が」
医師免許持ってるのか、この野郎。
「僕がやる」
「いえ私が」
病人は今のうち墓石でも選んでれば良いんですよ。
「僕がやる」
「いえ私」
「君自身に包帯を巻かないといけない様にしてあげようかい?」
「では、お願いします」
ぬわあぁぁああ!!!!目に見えぬ圧力にお医者さんが屈服してしまった!!!!!!
そして、半兵衛さんの「下がれ」の一言でお医者さんが部屋から出て行ってしまわれた。何も悪い事をしてないはずなのに味う必要のない恐怖を味わって去って行きました。
何か本当にすみませんでした。悪いのは私じゃないですが。
「さぁ名前。脚を出して」
「嫌です。自分でやります」
「素直に言うことを聞きたまえ」
「ぐはぁっ!!」
不意に私の足首を掴み、無理矢理に半兵衛さんは自分の所まで私の足を引っ張った。
お陰で私の頭は床に強打した。
「何するんです…かっ!!!!」
私は仕返しに掴まれてない方の足で半兵衛さんの顎を目掛けて蹴った。
開けば私の事を馬鹿にする言葉しか発しない、その口を二度と使えない様に顎の骨を粉々に粉砕するつもりで蹴った。
が
パシッ
易々と掴まれた。
「はしたない真似は止めて大人しくしたまえ」
「~ッ」
くそう!!いつか顎だけじゃなく全ての骨を粉砕してやる!!!!
秀吉さんがな!!
今度、バナナで餌付けしよう。
仕方なく、いつか顎の骨を粉々に砕くと言う密かな野望を決意した私はいつか顎の骨を粉々にされる事も知らない愚かな半兵衛さんに包帯を巻いてもらう事にした。
「あんまりきつく巻かないで下さいね」
「わかってるよ」
「痛っ!言ったそばから痛い!!きついから痛い!!!!」
「煩いよ。これくらいで喚かないでくれないか」
これくらいですと!?何でそんな無闇やたらにぎゅうぎゅう締め付けて巻くんですか?!癒えた傷が復活する!!血が吹き出すのを合図に復活する!!
「ちょっ…痛ッ!!本当に痛いですってば!!」
「…」
「な……何ですか…?」
「…君の……」
「?」
「君の今の顔、凄くそそるよ」
な
何、言ってんだろう…この人。
「…半兵衛さん何を言」
「黙れ」
ひぃっ!怖っ!!半兵衛さん怖っ!!
何て顔するんだこの人は!!!!Sの顔だ!!ドSの顔をしてやがる!!!!
良くは解らないが、どうやら私は半兵衛さんのS魂に火を付けてしまった様である。
「ははは半兵衛さん!!私、痛いのはちょっと…」
「そうかい。僕は悲痛に顔を歪める君を見たい」
ガシッ
「ぬわっ!?痛たたたたたたたたたたたぁぁぁああああ!!!!」
半兵衛さんは私の膝を鷲掴みにすると最初より強く包帯を締め付けた。
「痛っ!!…痛…いです!!」
「ああ…名前。凄く良いよ。凄く良い」
「ぐはっ!!畜生!!この変態半兵衛!!」
「まだ余裕があるね」
「いっつぁぁぁあ!!!!!!痛っ!!痛い痛い痛いっ!!!!」
「ああ…最高だよ名前」
その後も半兵衛さんの手当てが続いた。手当てと言うより拷問だった。
「はい。出来たよ」
「…」
「お礼は?」
「…ありがとござました」
「お礼は?」
「痛たッ!!ありがとうございましたぁあ!!!!」
半兵衛さんは私の誠意を込めたお礼が気に食わないのか腕を思いっ切り掴んだ。私は理不尽にも二回もお礼を言ってしまった。
「半兵衛さん、わざわざ何で」
「悪かった」
「へ?」
「あの時はやり過ぎた」
あの時…?
―回想―
「半兵衛さん、病人なんですから少しは休んだ方が良いですよ」
「わかっている」
「わかってないですよ。もうずっと部屋に籠もりっきりで仕事してるじゃないですか」
「煩いよ。邪魔しないでくれるか?」
「私は半兵衛さんを心配して言ってるんです」
「余計なお世話だよ。馬鹿」
「……馬鹿でも私は」
「阿呆」
「………阿呆でも」
「呆け」
「………」
「君の母上、でべそ」
「聞き捨てならないです!私の事なら兎も角、私のお母さんの悪口を言うなんて!」
「おや、否定しない辺り強ち間違いではないのかな?」
「違います!私のお母さんはでべそじゃないです!!逢うか!?今度挨拶に来るか?!」
「そうだね。是非とも逢ってみたいね。そして僕がこの手で君の家族を滅ぼしてあげるよ。君みたいな人間が生まれない様にね」
「半兵衛この野郎!決闘しろ!!」
「望むところだよ」
そして私は負けた。喜劇の惨敗だ。
勢いで決闘を申し込んだ直後、半兵衛さんは間接剣を手に取り私を容赦なく殺そうとした。
申し込んでおいて何だが私は全力で逃げた。
「兵士でもない君を僕は容赦なく斬ろうとした」
「いや、もう所々斬れてますし。何、未遂みたいな言い方してるんですか。てか斬るどころか殺そうとしてましたよね」
「本当にすまなかった」
半兵衛さん…私の事心配してくれたんだ。
「良いですよ。私も……悪い部分がありましたし」
「そうだね」
「…」
「あ」
「?」
「ここ」
ペロッ
「!?!?!?!?」
「まだ傷があったようだね」
半兵衛さんは私の口の近くにあったらしい傷を舐めた。ギリギリで舌が口には触れなかったものの、私は平常ではいられなかった。
「なななな何するんですか!!!!」
「消毒だよ」
「だからって舐めなくても!!」
「君は本当に煩いよ。いっその事、その口を塞ごうか?」
「半兵衛さんってとことん鬼畜ですね」
「何だって?」
私は間違った事は言っていない。私がそう思うからだ。
「君には躾をしないといけない様だ」
「いらないですよ。何で包帯持ってるんですか。これ以上どこを巻くって言うんですか」
「包帯は巻く以外にも用途があるんだよ。わかるかい名前」
「いや包帯は巻く為にあるんですよ。何でそんなにニヤニヤ笑ってるんですか」
「さあ大人しく言う事を聞きたまえ」
ギャーー
「何事だ。騒がしいぞ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「何をしている」
「いや…別に何でもないです」
「名前よ。何故に我が友を拘束する」
「こ、これはですね!半兵衛さんが」
「そうだよ!秀吉!!勘違いしないでくれ!僕は縛られるより縛る方が好きだ!!」
「何言ってるんですかこんな時に!!!!馬鹿ですか!!」
「馬鹿と言う方が馬鹿なのだよ!!」
「じゃあ半兵衛さんも今馬鹿って言ったから馬鹿ですよ!!」
「屁理屈は止してくれたまえ!!!!」
「…来なければ良かった」
何とか私は秀吉さんの誤解を解いた。
翌日、私は秀吉さんにバナナをあげた。
とある野望を果たす為に。
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**0910/MANA3