ハードジェネレーションギャップ
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廊下の真ん中で僕は立ち止まった。
同じく廊下の真ん中、数歩先に何かが落ちているのが目に入ったからだ。
特に警戒する事はなく、確かめるべく、落ちているそれに数歩近付く。
足元に来るまで近寄ってみたものの、無造作に落ちている物が布の様なものとしか判断出来なかった。
僕は思い切って屈んでその布をまるで塵を触るかのごとく人差し指て親指で摘まみ、拾い上げた。
どうやら手に収まる程の大きさのそれは、ただの布切れではなく、何か用途があるかと思われる形をしていた。
両手で広げるようにして持ち直し見てみると、半片と同じ形をした布には穴が三つ空いている。これだけ形状がわかる程間近に見ているのだが、僕にはこれが何なのか全くわからなかった。
大きい穴を手前に左右に少し引っ張ると、二つの穴から向こう側が見える。もしかしたら、これは僕が着けている仮面の類のものだろうか。
だが仮面にしては眉間の部分に当たる布が余る。それに、この小さい穴では耳には掛からないだろう。到底、仮面の類だとは思えない。
じゃあ、これは一体何なのだ。
僕は自分で知らない物はないと自負しているつもりだ。だとしたら、これは名前のものか。可能性はなくはないだろう。それにさっきから思っていた事がある。布を鼻に寄せて匂いを嗅ぐ。布からは微かに名前の匂いがした。
やはり、これは名前の物か。いや、まだ決め付けるには早い。僕は布を懐に仕舞うと再び廊下を歩き出した。
廊下の角を曲がると、俯きながら歩く挙動不審な背中が見えた。
名前だ。
僕は名前の背後に足早に近寄ると小さな肩を掴んだ。
「わぁっ!び、びっ吃驚したあ!!」
驚かせるつもりなど微塵もなかったが、名前は心底驚いた反応を見せる。
「何してるんだい?」
「あ~……いや……ちょっと……捜し物を………」
歯切れの悪い言葉の名前は目も合わそうとせず、いつになく様子が可笑しい。
「そう言えば、さっきそこでこれを拾ったんだけど。これは君のかい?」
懐からあの布を取り出し、それを見た名前は急に奇声を上げ、顔を赤くしながら布を取り上げようとした。
僕は名前の手から回避した布を取られないように上に掲げる。
「ちょ、それ!どこにあったんですか!?」
「さっき、そこの廊下に落ちてたのを僕が拾ったんだ」
「ちょ、あの、返して下さい!」
赤面しながら若干涙目で訴えかける名前の表情に僕の加虐心は煽られる。
「じゃあ、やはりこれは君のなんだね?」
「やはりって……何で」
「君の匂いがしたから」
「まままままままままさか、まさか、かいか嗅いだんですかかかか!?!?」
「だったらどうかしたのかい?」
「ぎゃああああああああ!!!!半兵衛さんの変態!」
「何だって」
僕を変態呼ばわりする口を容赦なく引っ張ってやる。
「ひひゃひ!!ひひゃひでふ!」
「で、これは一体何なんだい?」
「ひょっと!!はなひふぇふれなひと!ひひゃひんでふふぇど!」
忘れていたのではないけれど、口を引っ張ったままで名前が何を言ってるかわからない。仕方ないので口から手を離して解放してあげると引っ張っられた口を労る様に押さえた。
「うぅ……ひひゃひ……」
「で、これは何なんだい」
口から手を離しても喋り方が変わらず、口を擦る名前に構わず問い続ける。
「な、何だって良いじゃないですか!と兎に角、それは私のですから返して下さいよ!」
「これが君の物だと言う証拠は何処にもない。名前が書いてる訳でもないしね」
「名前って!てててか私の匂いしたって!」
「これが何なのか説明出来たら返してやらない事もない」
「そこは十割、返さないと駄目でしょ!」
「はいはい。何なんだい、これは」
「…………」
「…………」
「…………」
「口で説明出来ないなら、実際にどう使うのかやってくれても良い」
「っな!?!?ここで履けって言うんですか?!?!」
「履く?」
どうやら、これは履き物らしい。けれども、頭の中では今一理解出来ず手にした布をもう一度見る。名前はと言うと、僕が言った事に何か問題があったのか取り乱しまくっている。
「半兵衛さんのド変態!」
「あ!こら、待つんだ名前!」
布を強奪して逃げる名前の後を僕は追い掛けた。
ハードジェネレーションギャップ
(半兵衛さんの変態!下着に名前なんて書かないですよ!)
MANA3*080625