論より証拠と赤色を
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教室のドアの所に立つ人物を見付けて、心臓は大きく跳ね、教室へ歩んでいた足は止まった。
その人物は自分の教室を前にして立ち止まる私に気付いて、厭らしい笑いを浮かべながら近付いて来た。
「やぁ。おはよう、名前」
「……おはよう、竹中君」
「おや?釦を上まで止めるなんて珍しいね。君はいつから優等生になったのかな?」
厭らしい笑みはそのままで、態とらしく私の首元を見ながら疑問符を投げ掛ける竹中君に苦笑いした。
私は渋々と自分の釦に手を掛け、いつもの様に第二釦まで開ける。それを見た竹中君は満足そうな表情をした。
「うん。それで良いんだよ」
竹中君は「じゃあ、また後でね」と言いながら私の頭を撫でて自分の教室へと入って行った。それを見届けた私は、そそくさと釦を閉めてから教室に入った。
「何でButton閉めてんだよ?」
やたらと長く感じた三時間目の数学がやっと終わった矢先に政宗が話掛けて来た。しかも釦の事を聞かれたもんだから私は焦った。何て目敏い奴なんだ。
「いや、何か今日首が寒かったから」
「Ah~?何だそれ」
「こっちだって、好きで閉めて訳ではないんだ!私が上まで釦を閉めてるのがお前にとってそんなに一大事な事なのか!?」と言ってやりたいのだが、これ以上釦の事については触れられたくなかったので何も言わない。
「寒いのなら俺が温めてやろうか?」
「ちょ、政宗君。近い近い。近いよ。近いってば!」
必要以上に接近するセクハラ野郎の両肩を抑え付ける。それでも存在そのものがセクハラに等しい政宗は近付いて来ようとする。
元はと言えば私が上まで釦を閉めてるのは普段からの政宗のセクハラ行為のせいだと言っても過言ではない。
ガラッ
教室のドアが開く音がして、目線をそっちに向けた私の体は固まった。それを不思議に思った政宗も同じ方へ顔を向ける。
そこには滅多に私の教室に来る筈のない竹中君が立っていた。しかも、不機嫌そう。否、不機嫌。私には見える。竹中君から放出される黒いオーラが。
その人を殺せるオーラを纏ったまま竹中君は私達の方へ歩み寄って来る。誰かに密告される前に本人に見られてしまうとは。私とセクハラは公開処刑される。
「今すぐ、離れるんだ」
見下しながら圧力がかった言葉を政宗に吐く。それに怯む筈もない政宗は竹中君に顔を飛ばす。
「Ha!お前にそんな事言われる筋合いあんのかよ」
そう言われた竹中君は政宗から無理矢理私を引き剥がし、襟に手を入れると、そのまま第二釦までシャツを裂いた。
論より証拠と赤色を
(ぎゃあああああああ!!!!!!)
(こう言う事だから、二度と手を出さないでくれ。僕は独占欲が強い人間だから。)
(シャツが!私のシャツが!)
(良いじゃないか。どうせ、いつも開けてるんだし。)
(あああ゛~シャツ~…私のシャツ~…!)
(ああ、煩い。あんまり煩いとその口を塞ぐよ。)
MANA3*080621