衝撃のラスト約60秒
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火曜日の六時間目。ロングホームルームであるこの時間に私のクラスは委員や教科係を決める事になった。定員は各々二人。最初は委員の方も教科係の方も順調に決まって行ったが、徐々に面倒なものばかりが残って来て積極的に挙手する人が居なくなって来た。そんな中で地味だが楽そうな図書委員の座は二つとも空席なのには驚く。
「おい、名前。お前何か入らねーのかよ」
前の席の元親が体をこっちに向けながらダルそうに話掛けて来た。
「入る予定はないです」
「何でも良いから入れよ。早く決めねーと、あの先公くじ引き始めんぞ」
「そう言う元親が入れば。くじ引きになった時はなった時だし」
「委員やら係なんてやってられっかよ」
こいつは私を犠牲にして自分が何かに入る危険性を少しでも減らそうとしているのか。何て奴だ。自分が良ければ他人はどうでも良いと言うのか。
どうやら教科係の方は全て決まった様だ。後は美化委員と保健体育委員、そして図書委員。美化委員と保健体育委員は一人ずつ決まっていた。
「元親君。図書委員入りなよ、図書委員。少しは頭良くなるかも知れないし。それか美化委員。あ、残念だ元親君。美化委員はたった今、決まってしまったみたいだから図書委員に入れば良いよ」
「ハッ!自分が助かろうと俺に何か入らせようとしたって、そうは行かねーぜ!」
「センセー、長曾我部君が俺は保健体育委員に青春を懸けるぜって言ってます」
「おー、本当か長曾我部!先生はお前はやれば出来る奴だと信じていたぞ!」
先生はそう言って黒板に書かれた、保健体育委員の所に元親の名前を書き加える。
「おいっ!!名前、てめぇ!」
「どうよ、図書委員の所を保健体育委員にしてあげた私のこの優しさ」
舌打ちをした元親は黒板の方へ向い自分の名前を消そうとするが、それを先生に阻止される。教壇で無駄に必死な二人の攻防戦が繰り広げられている。
「ねぇ。苗字さんは入らないのかい?」
隣の席の竹中君が私に話掛けて来た。顔を横に向けると、竹中君はいつもの様に優しく微笑んでいる。
「出来れば入りたくはない。竹中君は入らないの?」
「そうだね…考え中かな」
「残ってるの図書委員だけだよ?」
「ん~…その様だね」
これは何とか空席が埋まるのではないか。
もし、竹中君が図書委員に入ったとする。そしたら女子が黙ってはいないだろう。自ずと二人目の図書委員が決まる筈だ。女子の。
「苗字さんはどうして入りたくないんだい?」
「えー、やるならちゃんとしたいとは思うけど、嫌々やったってしょうがないから」
残っているのが図書委員。最後まで誰も入らないのなら私がやっても良かったが、竹中君が入りそうなので入る必要もなさそうだ。
「じゃあ、決まったらやるって事かな?」
「ん~、まぁ…」
「そう」
徐に竹中君が椅子から立ち上がった。これで全ての席が埋まる。そろそろ六時間目終了を告げるチャイムも鳴る頃だ。
「先生。僕と苗字さんで図書委員をやります」
衝撃のラスト約60秒
(あれぇ!?竹中君!?)
(苗字さんを誘うかずっと悩んでたんだけど、決まったらやるんだろう?)
(言ったけどね?いや言ったんだけどね!?)
(それに、もう彼が名前を書いてる様だし)
(あ!ちょっ元親!書くならもっと綺麗に書いてよ!字ィ汚ッ!!)
MANA3*080602