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「おい、半兵衛」
「…なんだい、慶次君」
「お前、昨日の放課後、女の子と一緒だったろ?」
「それがどうかしたかい」
「おっ、やっぱり。なんだい、そんな事隠したりするなんて。みずくさいねぇ」
「別に隠してた訳じゃない。それに、なんでそれを君に教える必要があるのかな」
「冷たい事言うなよ!で?どんな子なんだよ?」
慶次君は女子がする様な話を好む。僕は正直、彼の事が好きではない。寧ろ、疎ましく思うくらいだ。こうやって、図々しくも一方的に他人である僕のプライベートを聞く彼を冷たい眼差しで見るも、動じる事なく、昨日僕と一緒に居た人物について早く知りたいのか、人懐っこい笑みをこちらに向けている。どうにも腹が立つ。
「……名前は、僕が最も大切にしてる子だよ」
「へぇー、名前ちゃんて言うのか。可愛い名前だな!」
本当に黙ってほしい。名前を言わなければ良かったと直ぐ様、後悔した。
「彼女は僕の2つ年下で、今年この学校に入学した」
「同じ制服だったもんな。そっか、あの子は後輩なのか」
「僕が勧めて同じ学校に入らせたよ。目が届くようにね。彼女を狙う輩は少なくないから」
「そんなに可愛いんだ、名前ちゃんて!」
だから、気安く名前の名前を呼ばないでほしい。本当に。
「最近でも、この学校の奴で名前をたぶらかそうとしてた男子生徒が居たよ。勿論、二度と彼女に近付かないように黙らせたけどね」
「意外だよ。お前にそんな風に想う子が出来るなんて」
僕自身も驚いている。ここまで誰かを夢中になり、想うなんて。
だけど、それほどまでに彼女は魅力的で愛らしいと思える人間なのだ。そんな彼女を僕一人が独占している。きっとこれから先の人生全ての運を使い果たした幸せなんだろう。
それでも僕は構わない。名前を想い、名前が僕の側に居てくれるなら。
「でも、僕は名前に一度だけ、裏切られた事があるよ」
「裏切られた?」
「僕に内緒で他の男と逢ったんだ。内緒でだ」
「何?他に好きな奴が出来たって事かい?」
「今となっては、そいつが名前とどうゆう関係だったかは忘れたよ。もしかして男友達だったかもしれない」
「それで、どうしたんだよ?」
「そいつを本気で殺そうとした。でも名前に止められたよ。泣きながらね。だからそいつは運良く命拾いした。まったく、彼女は優し過ぎる」
「おいおい、何もそこまでしなくても良かったんじゃないか?それに女の子を泣かせるなんて絶対に駄目だ」
そこまで?いいや、死ねば良かったんだ。間違った事はしてない。有効且つ最適な処置であろう。これは彼女を想えばこその行動だ。
それに、名前の泣き顔も可愛いものなんだよ。僕以外は誰にも見せてやらないけど。
「僕に内緒にしていた、彼女も悪いんだ」
「まぁ…それはそうかもしれないけどさ」
「でもまぁ、許してあげたんだろ?」
「ああ、勿論許してあげたさ。キスさせたり、後はまぁ…色々とさせてね」
「なっ!?お前、鬼畜…。色々って一体何をさせ」
「色々は色々さ」
年中思春期の慶次君の厭らしい考えが丸見えの発言を極上の笑みで遮ってやった。不満げな顔で「教えろ」とずっと言ってるけど絶対に教えてやらない。「さぁ、何だろうね」とだけ言って目を逸らし、はぐらかす。
暫くして、慶次君は諦めた。不満げな顔は変わらないままだったが、しつこい不毛な質問が終わったのだから僕はそれで良い。
「じゃあさ、名前ちゃんに逢わせてよ!」
「は?」
「別に良いだろ?お前が一緒でも良いからさ」
当たり前だ。突然、何を言い出すのかと思えば。君は殺されたいのか?
本当なら、ここで断固拒否する所だが。たまには、そう、自慢して見せ付けるのも悪くないと僕は思った。
「ああ、良いよ」
「お、随分すんなりと返事をくれるんだな」
「逢わせるだけだよ。何かしたら」
「わかってる、わかってるって!あ、因みにフルネームはなんて言うの?」
「竹中名前」
「へ?」
何か問題でも?
僕と彼女の血は繋がってるんだ。素晴らしいだろう?
(あ、先に言っておくけど、彼女の首の痕は僕が付けたものだから)
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MANA3*0406