運命的な対面
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だって、そっくりじゃないですか。本当に。
運命的な対面
「ひっ…秀吉さん!!」
「どうした名前」
「は…半兵衛さんを見ませんでしたか?」
目の前の名前は異世界から来たと言う娘だ。可笑しな形をしているのもそのせいだと言う。
が、それとは別に名前は可笑しな事を口にする。時折、我を見ては『ゴリラ』と言うのだ。一度その『ゴリラ』について問うてはみたが「秀吉さんみたいな………哺乳類です」と言うばかりで詰まる所『ゴリラ』については何もわかってはいない。
「半兵衛か?いや見ておらぬが」
「そうですか…今、半兵衛さんに逢って何か言われても信じないで下さいねゴリ…秀吉さん!!」
この通りだ。この娘、今、間違いなく我の事をゴリラと呼称しようとしたであろう。ゴリラとは何なのだ?ゴリラとやらが我に似付くと言うのであれば一度、逢ってみたいものだ。同じ思想を持つ者ならば天下統一にもきっと役立つであろうぞ。
「半兵衛がどうかしたのか」
「実はですね…―」
「見つけたよ!!名前!」
「!?ははは半兵衛さん?!?!」
前方から凄まじい勢いで、こちらに向かって来たのは我が友の半兵衛であった。何かに対し怒りを露わにしている様子だ。
半兵衛の姿を見るや否や、名前は我の後ろに身を隠した。我を盾にしようと言うのか。
「名前!観念して出てきたまえ!!そこに居るのはわかっている!」
「何を言うか半兵衛。我は豊臣秀吉」
なにッ!?我はこんな声をしておったのか?!?!
「名前、全然似てないからッ。早く出て来てはくれないか?これ以上、秀吉を侮辱する事は許さないよ」
侮辱と?名前がか。確かに先程の声には焦燥したが。
「ははは半兵衛さん!誤解ですよ!!あれは!!」
「わかったよ。取り敢えず、こっちにおいで。話はそれからだ」
膝を折り、少し屈んだ半兵衛が右手を前に差し出し、まるで猫を呼ぶかの如く、名前を誘っている。しかし心做しか笑顔が恐ろしい。時折、「ほ~ら怖くないから」と言うが、何処か恐ろしい。
「嫌です!今、半兵衛さんの所に行ったら朽ち果てる!!ここで朽ち果てる!!」
「ふぅ…仕方ないね。秀吉、実はね」
「うあぁあ!!!!止めて下さい!!!!」
名前の叫びも虚しく、半兵衛は話を続けた。
「これを見てくれ」
半兵衛は何やら色鮮やかな書物を開けてみせた。どうやらこの乱世の時代の物ではない。だとしたら恐らく名前が異世界から持って来た書物なのであろう。
「この生き物の事だけど」
半兵衛が指差したその生き物とは黒い体毛に被われ、強靱な肉体をしている厳つい生き物だった。
「これが名前の言う『ゴリラ』らしいよ」
「…ひ…秀吉さんとゴリラの対面なんて…運命的ですよね」
「名前!!君は全く反省してない様だね!?」
「可愛いじゃないですか!!ゴリラ可愛いじゃないですか!!可愛いじゃないですかゴリラ!!」
「不細工だよ!!君の眼は腐っているね!!」
「そんな事言う半兵衛さんこそ秀吉さんに失礼ですよ!!ゴリラを不細工だなんて…秀吉さんを不細工って言ってる様なものですよ!!」
「だから、さっきから僕は秀吉はゴリラなんかじゃないと言ってるじゃないか!!何回言えばわかるんだ!!」
「半兵衛よ」
片手で軽く鷲掴んだ名前を半兵衛の前に持っていく。
「好きにするが良い」
「ありがとう秀吉」
「ああ!!秀吉さん!!ゴリラの何が許せないんですか!?ゴリラを許せないと言う事は自分が許せないって事」
「早く連れて行け」
「さぁ、名前。行くよ。大丈夫、優しくするから」
「優しい拷問なんてあるはずがない!!」
「そうかい。名前は激しい方がお好みの様だね。じゃあご希望にお応えして」
「いやあぁああ!!!!ひぃ~でぇ~よぉ~しぃ~さぁぁあん!!!!」
嵐が去って行った。
にしても…半兵衛の奴。名前が我の背に隠れた瞬間。明らかに顔を歪めおったな。
それにしても
ゴリラとやらも、存外愛くるしいではないか。
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**0906/MANA3