携帯電話‐半兵衛編‐
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「…名前、何をしてるだい?」
「…メール」
携帯電話‐半兵衛編‐
「……め……る?」
「メールです。お手紙です」
「手紙?その『小さなからくり』でかい?」
「ああ…これは携帯電話って言うんですよ。私の時代ではみんな持っていますよ」
「へぇ…」
半兵衛さんが「こんな小さな物で、まさか」と言った顔をしてる。当然と言えば当然だけど。
「そのからくり一つで何処に居ても手紙が送れるのかい?」
「はい」
「そうか…。僕もそのからくりが欲しい」
「…はい?」
「その『けいたいでんわ』とやらが欲しい」
いや、そんな急接近しないで下さい。近いです。顔が近いです。
「なななな何でででですか?」
「そのからくり一つで何処に居ても君と会話が出来るんだろ?」
え…それは……つまり………。
「どんなに離れていても君を馬鹿に出来るという事だろ」
こ…この野郎。一人、期待して馬鹿みたいじゃないか。私の淡い期待を返却しろ。
「え…でもですね」
「待つのは嫌いなんだ。早く決めてくれないか。僕に従うか…それとも
ここで朽ち果てるか」
「今直ぐ買って来ます。暫しお待ちを」
もう二択なんかじゃなかった。始めから私に選択権なんてなかった。吃驚だ。畜生。
―数時間後―
「はぁ…はぁ………か…買って来ましたよ…半兵衛さん」
「待つのは嫌いと言ったじゃないか。ここで朽ち果てるかい?」
「いやッ…本っ当に勘弁して下さい。私、頑張りましたよ?」
「まあ良いよ。それより早く」
「あ…はい」
「勿論、ちゃんと説明してくれるよね?」
何でまだ何も言ってないのに関節剣をこっちに向けるんですか半兵衛さん。しますよ。最初からするつもりでしたよ。横暴ですよ止めて下さい。
私は半兵衛さんに出来る限りわかりやすく説明した。ただでさえ説明が下手なのに、あの半兵衛さんに何か教える何て恐れ多いにも程がある。
偶に私の説明が解らないのか関節剣を握ろうとする。私が居なくなったらあなたは、この携帯電話をどうするつもりなんですか。
―数分後―
「…何だかんだ言って半兵衛さん飲み込み早いから説明に大して時間が掛かりませんでした」
「当たり前だよ。僕を誰だと思ってるんだい」
…そんなん言っちゃったらあなたは私を八つ裂きにするに違いない。うん。
ドSの鬼畜で変な仮面の人なんて言ったら。
「他にわからない事はないですよね?」
「ああ…ありがとう」
一言、お礼を言われただけで私は涙が出そうになった。あの半兵衛さんが私に素直にお礼だなんて。これだけでも携帯を買って良かったと言うもんだ。
あ…でも私を馬鹿にする為なんだっけ?畜生。私の感動を返却しろ。
「半兵衛さん。ちょっと携帯貸してもらえますか?」
「何故?」
「色々と設定しないといけないんですよ」
そう言うと半兵衛さんは何の疑いもなく私に携帯を渡した。ハッ。策に嵌ったな、この携帯初心者めが。
私はカチカチと音を立て半兵衛さんの携帯を弄り出した。
何をしているかと言うとメールアドレスを変更してる。
どんなアドレスにしてやろうか。
「はいはい。出来ましたよっと」
メールアドレスを変更した携帯を半兵衛さんに渡す。
「では私はあっち(の時代)に戻りますね」
「名前」
「はい?」
「これは何だい?」
言葉と一緒に携帯の画面を見せられた。
画面には『kamen.hen-hanbe.baka@~』のセンスの欠片もないメールアドレスが映し出されていた。
一瞬、焦ったが、どうやら半兵衛さんは気付いてない様子だったので安堵した。
「その携帯の名前みたいなものです。初めから決まってるんです」
「そうか」
「では」
「名前」
まだ何かあるのかと振り返ると頭にポンッと半兵衛さんの手が乗せられ、そのまま頭を撫でられた。
「ありがとう。名前」
だ
誰ですかアンタ!?
ここここんなの私の知っている半兵衛さんじゃないッ!!!!
いやでも何だ!?やたら脈拍数が上昇してる気が…!!!!
「早くその阿呆面どうにかして帰りなよ。土に」
あ…いつもの半兵衛さんだ。
現代に戻った後。携帯を見てみると『阿呆』やら『馬鹿』やら私を罵倒するメールが来ていた。
メールボックスには『kamen.hen-hanbe.baka@~』からのメールでいっぱいだった。わかってたはずじゃないか私。こうなる運命だと。
でも何通目かに
From:kamen.hen-hanbe.hen@*******.ne.jp
件:(not title)
明日も来てくれるよね
というメールを読んだ時は嬉しかった。
明日も私は半兵衛さんの所に行くと思う。
―次の日―
「半兵衛さん。普通にメール使えてましたね」
「それより名前」
「はい?」
「僕の仮面は変かい?」
「…」
「僕の事を馬鹿だと思ってるのかい?」
「…」
「奥州の独眼竜に聞いたんだよ」
「…」
「ここで朽ち果てると良いよ」
ああ…ここが私の死に場所か…。うん。良い眺めだよ…。
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**0905/MANA3
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