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「名前。今日が何の日か知っているかい?」
「今日、ですか?…3月14日、ホワイトデーですか?」
「正解。これは僕から君への贈り物だ。受け取ってくれないか。」
「…これは…。」
「指輪だよ。」
「指輪…。」
「君によく似合うと思って選んだんだ。気に入ってくれたかな?」
「そんな、受け取れないです。」
「遠慮なんてしなくてもいいんだよ。僕が君を想ってしたことなんだから。」
「遠慮はしてないです。」
「なら、どうして?何か受け取れない理由でもあるのかい?」
「ホワイトデーの贈り物なんですよね?私、バレンタインに何もあげてないですし。」
「そんなことは気にしなくていいんだよ。見返りが欲しくて贈るわけじゃない。ただ、僕が君にこの指輪をはめてほしかった。理由はそれだけで十分なんだ。これでもまだ受け取ってくれないかい?」
「それでも、やっぱりこれは受け取れないです。」
「言ってごらん。君の不安を消すことができるのなら、僕は何だってするよ。」
「…私達、付き合ってないですよね?」
「それが何かな?」
「付き合っていない女性に贈る品として、指輪は著しく不適切かと思います。」
「ああ、それは驚かせてしまったね。すまない。指輪を贈ることで、僕たちの関係を定義してしまおうと焦ってしまったよ。でも、順序こそ間違ってしまったかもしれないが、相手を間違えたわけじゃない。僕がこの指輪を贈りたい相手は、世界中で君しかいないんだ。」
「私、指輪をもらうほど、あなたのことを知らないです。」
「心配いらないさ。これから知っていけばいいだけのことさ。」
「そうじゃないです。そもそも、あなた誰なんですか。」
「僕は竹中半兵衛。名前、君とこれから生涯を共に生きる男だよ。」
「竹中さん。私は名前も知らなかった方が自宅へ不法に侵入しているという現状で、指輪をもらうことはできませんし、況してや生涯を共に生きることはできません。有り得ないです。」
「安心して。僕は君のことなら何でも知っているよ。すべてね。」
「何故その台詞が、安心ではなく恐怖を助長させるものだとわからないのか。」
「怖いのかい?大丈夫だよ。僕が居るから何も怖いことはないよ。」
「今、あなたの存在こそがこの世で一番怖いのだと何故に気付かない。」
「そう言えば、両手を縛ったままだったね。今外すよ。悪かった。痛くはなかったかい?」
「どこで非を認めているんですか。両手を拘束していたことについては謝るのに、不法侵入をはじめ、その他の異常行動については悪びれない。あなたの中での善悪の線引きはどうなっているんですか。」
「さあ、仕切り直しだ。やはり、君にはこの指輪を受取ってほしい。」
「よくこの流れで仕切り直せましたね。しかも、刃物片手に。」
「名前。本当は僕もこんなことはしたくはないんだ。」
「じゃあ、やめるべきだと思いますよ。切実に。」
「でも、僕は君なしでは生きてはいけない。もし、君が僕以外の誰かと生きていくことを選ぶのなら、そんなの許さない。絶対に。」
「どの口が許さないなんて言っているんですか。それを言っていいのは、あなたではなく私と法律だけですよ。」
「君が僕と生きることを選んでくれないのなら―」
「殺すんですか?私のことを?」
「僕が死ぬ。」
「どうしてそうなる?」
「君に選ばれないくらいなら僕は死ぬ。生きていたって意味がない。なら、僕の惨たらしく血腥い最期を君の網膜に焼き付ける。その赤い光景が白昼夢と混ざりあうことにより、君はどう拒もうとも僕のことを忘れられなくなる。君の中で僕は永遠になれる。最高の愛だとは思わないかい?」
「人はそれを愛ではなくデスハラと言います。」
「ほら、早く選んで。僕の愛か、それとも僕の死か。」
「第三の選択肢、警察への通報を選びます。おい、やめろ!刃物を自分の喉元に突き付けるな!っどわ!」
「ああ、名前!何だかんだ言っても僕に死んでほしくないんだね!好きだよ!」
「勝手に死なれて、自宅を事故物件にされたくないだけですよ!ちょっと!手を離してください!やめて!指輪をはめようとしないで!離せ!やめ、やめろ!」
「ほら、入った。」
「当然のように左手薬指にジャストフィットする指輪に震えが止まらない。」
「僕からの愛でそんなに喜んでくれるなんて、嬉しいよ。」
「あなたの留まることの知らない異常性にですよ。」
「言っただろう。僕は君のことなら何でも知っていると。これでわかってくれただろうか。君に対する僕の愛の深さを。」
「言ったはずです。その台詞は恐怖を助長させるだけだと。わかったのはあなたの神をも恐れぬ悍ましい情念の根深さです。」
「名前。君はこの僕が命を懸けて、必ず幸せにするよ。」
「たった今、絶対に幸せになれないことが確定しました。」
Wicked Devotion
MANA3/260314
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