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固唾を飲んで私は見守っていた。忠義の為、大切なものを守る為、理想を叶える為、夢を成し遂げる為、一歩も譲る事のない、鎬を削る二人のその戦いを。ただ私は見守る事しか出来なかった。最中、半兵衛さんが発作で血を吐きながら地面に膝を着いた瞬間、肝を冷やす。思わず叫喚してしまいそうになるのを拳を握り締め、下唇を噛んで、ぐっと堪える。しかし、敵からの竜へと形を変えた青い稲妻の一撃を食らい、絶壁の方へと一歩、また一歩と後ずさる半兵衛さんの姿に私は居ても立っても居られず、考えるよりも先に体が動いた。
「半兵衛さんっ!!!!」
半兵衛さんの足場に亀裂が入り、今にもそこは崩壊しそうだった。私は手を伸ばしながら必死に走った。間に合え!間に合え!!間に合え!!!!
その時、半兵衛さんはどこにそんな力が残っていたのか華麗に跳躍して窮地を脱した。だが、がむしゃらに半兵衛さんの方へ走っていた私は急に止まる事など出来るはずもなく走る勢いで足場は崩れ、気付いたら私の体は宙へと投げ出されていた。景色がゆっくりと流れていく錯覚に陥る。わあ、空も海もこんな青いんだあ。ふと、私とは反対の崖の向こう側に立つ半兵衛さんと目が合う。それはそれは事が自分の思い通りに上手く運んだ時と同じ様に半兵衛さんは満足気に笑ったのだ。全てを悟った時には時既に遅し。
「半兵衛えええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!このボケがあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
「名前、君の尊い犠牲は決して無駄にはしない。決して。」
「おい、女が落ちたぞ。」
「構わない。彼女はそう簡単には死なないよ。それより続きをしようか。彼女の献身的な思いを見す見す無意味にはしない為にも、彼女の無念を晴らす為にも、僕は君に勝たなければならない。」
「粋な口振りをしているが無念なのは一体誰のせいだと―」
「煩い、黙りたまえ。」
「ええー…。」
ただ私はあなたを救いたい
―――――
半兵衛サンが助かってほしい一心で。
MANA3*111004