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酒を振る舞う赤川さんを何の躊躇いもなく冷然と切り捨てる発狂されたかもしれない毛利さんに私を含め、その場に居合わせた全員が慄然とした。赤川さんは死んだ。何やらかしてくれてるんだこの人!
「あ、赤川殿っ。」
「も、毛利様!何をなさるのです!」
「ご乱心召されたか!」
「…ではその酒。貴様喫してみよ。」
「はあ…。」
怪訝ながらも兵士の一人が自分が仕える毛利さんの命令に背くはずもなく、言われるがままにお酒が入っていた大きな徳利を手にした。そして何の疑いもなく徳利を傾けて、中のお酒を口の中へと流し込んだ。
「うぉ゛…おお゛おおぅぐぐぉっあっ!うぉうぅ゛おっ…うっああ゛っ…ああ゛…あ…ぁぁぁ……。」
お酒を口に含んだ瞬間、突然兵士の人が悶え苦しみ始め、断末魔の悲鳴を上げた後、床に倒れたまま微動だにしなくなった。その悍ましい光景に誰もが息を呑む。まさか、お酒に、毒が?
「赤川元保。貴様が豊臣の間者であった事、元より我の計算通り。」
あの赤川さんが?豊臣の回し者?俄かに信じ難い事実であった。確かに赤川さんの瞳にはハイライトがなく、いつも死んだ魚の様な目をしていたけど。でも、誰よりも毛利さんの為に働いていたし、何より優しかった。目が死んでいても優しかったんだ!その赤川さんが、まさか、裏切り者だなんて。しかし、毛利さんが飲むはずだったお酒を飲んだ兵士の人は死んだ。それは赤川さんが裏切り者であった他ならぬ何よりの証拠。もし、毛利さんが飲んでいたら。だが、この人は最初から見抜いていたんだ。その上で利用するだけ利用して最後には文字通り切り捨てる。熟々、恐ろしい人だ。色んな意味で。ん?待てよ。お酒の中に毒が入っていた事をわかっていたのなら、何故態々、兵士の人にお酒を飲ませたのだろうか。そんな必要が果たして何処にあったのだろう。普通に口で伝えれば良かったのでは?……うっわ、うっっわ!!!! 殺 人 事 件 ! 被害者が加害者に豹変しましたよ!人殺し!人殺しが居る!!人殺しがここに居ますよ!!!!!!怖っ!こっわ!恐ろしっ!何この人、怖ッ!!!!!!私がぶるぶると戦慄いていると不意に殺人鬼と目が合ってしまった。
「名前。」
「な、なななな何でしょうかっ。」
「貴様もこの酒、喫してみよ。」
「 何 故 に だ よ ! 」
「遠慮は無用ぞ。」
「遠慮じゃないです拒絶です!全身全霊、心の底から等身大の拒絶です!!!!誰が、はい、喜んで!なんて言うものか!あなた、今何て言ってるかわかっているんですか!?死ねって言ってるんですよ!毒飲んで悶絶して気兼ねなく死ねって言ってるんですよ!馬鹿ですか!馬鹿なんですか!!!!、!?…な、何で徳利持ってこっち来てるんですか。よ、寄るな、近付くなッこの人殺しへぶうっ!!!!」
間合いを詰めた毛利さんは片手で顎を掬う様にして私の両頬を掴み固定する。上下の唇が家鴨の様に突き出す形となり、毛利さんはその隙間からお酒、毒を流し込もうとしていた。
「一気、一気、一気。」
何、その宴会的なノリ!何、宴会的なノリで人殺そうとしてんのこの人!びゃあああああ、止め、止めて下さい!!!!死ぬッ、死ぬ!!!!毒殺されてしまう!!!!!!!!!
「我の言う事を聞くか?」
「べえっ!?!?」
「我の言う事を聞くか?」
「(な、何言って…!)」
「我の言う事を聞き入れ、永久に傅くと誓うか?」
「(何か増えた!)」
意味がわからなかったがここで首を縦に振らなければ命がない事だけは確かだったので、私は生きる道を選んだ。最早、脅迫だった。それが毒殺されるよりも真っ当な選択だったのかは知る由もない。
カンタレラ
―――――
毒薬と言えば真っ先にこれが思い付きました。
MANA3111023