「無駄だとは思わねぇのか。少なくともてめぇは馬鹿じゃねぇはずだ。なのに、この世で一番言う事を聞きそうにねぇ男をどうにも従う見込みのねぇやり方で抱き込もうと――――」



バシ―――



「口の聞き方に気を付けてくれないか。同志になる以外選択肢がない事をわかりたまえ。」

「てめぇ、何を焦っていやがる。」

「……君もきっと、秀吉に心酔するよ。彼の圧倒的な強さにね。」



一瞥し、部屋から出て行こうとする男の後ろから着いて行く、顔などの露出された肌には痛々しい生傷や内出血の跡が施されており、体中のあちらこちらには包帯が夥しく巻き付けられて見た事もない名もなき白い固形物で首をがちがちに固めた女が光が失せた虚ろな目でこちらを見据えながら言った。



「…そんなの、まだマシな方ですよ…。」



一体その身にどんな厄災が降りかかったのかは知らねぇが、俺はあの女を心の底から哀れんだ。





右目は見た２





―――――
名もなき白い固形物(ギプス)再び。



MANA3*111007