殴る
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「おりゃあああッおべええええ!!!!」
走る勢いを殺さずそのまま半兵衛さんを殴ろうとした私だったがあっさりと避けられてしまい、それどころか足を引っ掛けられて顔面から転ばされ、更には背中をぐしゃりと踏まれて奇声を発する始末。惨めだ。
「どうしたんだい名前。急に殴り掛かって来るなんて君らしくもない。何か訳があるのなら聞いてあげよう。」
「そう言いながら徐に刀を抜こうとしているのは何故ですか!?!?」
「それが君の墓碑に刻む言葉で良いんだね。」
「 だ 、 駄 目 だ ! 殺 さ れ る ! ! ! ! ちょ、ちょっと待って下さい!!!!」
いきなり、殴り掛かられて怒るなと言う方が無理はありますよ!ええ、それは良くわかります!だっていつもなら私が今のあなたの立場なんですから!いつだって私は哀れな被害者なんだ!それがいつも私が抱く感情なんですよ!少しは思い知りましたかこの人でなしめが!とは真顔で目が据わった半兵衛さんには言えない。とてもじゃないが言えない。
「何か訳があるのなら聞くだけ聞いてあげるよ。聞くだけね。」
何ですかそれ!善処してくれているつもりなんですか!善処した結果殺すんでしょう!?!?聞くだけ聞いて殺すんでしょう!?!?黙っていた所で許されるはずもないが本当の事を言ったとしても許されるはずがない。どう足掻いても死から免れない八方塞がりな状況に口を噤む。
「そうか、なるほど。名前、君は僕に構ってほしかったんだね。」
「へ!?!?」
「ここしばらく、殊更に多忙だったからね。さっきの行動は君なりの寂しかったと言う意志表示だった訳だ。」
「な、何ですかその歪められた事実は!違いまぶべえ!」
言葉を無視され、私を踏み付ける足に更に体重が伸しかかる。半兵衛さんの声がさっきよりも何だか浮き立ったものに変わったが、状況は変わらず芳しくない。死ぬかもしれない。髪を掴まれ、頭を持ち上げられ、耳元で囁かれる。
「正直、僕も君に構えなくて苛々していた所だ。存分に可愛がってあげるよ。」
何それ全然嬉しくない。全然嬉しくないッ。元の世界には帰れなさそうですが、違う所へは帰れそうです。
(MANA3*130327)