望みを叶える
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「元就さん、何か私にしてほしいこととかありますか?」
にこにこと尋ねる私に元就さんは僅かに眉を顰めた。
「貴様、一体何を企んでおる。」
「何も企んでなんかいませんよ。ただ、日頃からお世話になってる元就さんに感謝の気持ちを込めてお礼がしたいだけです。あ、私が出来る事でお願いしますよ?それから死ねとかそんなんはなしの方向で。」
嘘だ。常日頃から元就さんに理不尽に虐げられているのに感謝の気持ちなどこれっぽっちもない。ただ、これで最後と思えば私の心はとても晴れやかだった。釘も刺した事だし、そう恐ろしい要求はされないだろう。
「フン。貴様ごときに一体何が出来ると言うのだ。」
「出来ますよ!肩叩きとか!」
「去ね塵が。腐り果ててしまえ。」
「ええ…そこまで。」
「いや待て。名前、貴様、その瑣末な命が尽き果てるまで我に尽くすと申したな。」
「そんな事言ってません。一言も言ってません。私が出来る範囲で何かお願いはありますかと言ったんです。」
「問題ない。我の望み、聞き入れてもらおうか。」
よし!これでようやく私は元就さんからもこの恐ろしいほど私に優しくない恐ろしい世界からも解放されて元の世界に帰れる!逸る気持ちを抑え切れず、私は元就さんに催促した。
「それで?望みは何ですか?」
「我の側に居れ。」
「はい?」
「未来永劫、死ぬまで、一生側に居れ。我から離れる事は許さぬ。」
「そんな補足聞きたくなかった!」
「貴様の様な阿呆でも為せる事だ。容易であろう?」
「……えーっと…へ、変更ってのは…?」
「ならぬ。」
一生側に居ろだと?いや、簡単に言ってくれますけど。確かに私にも出来る事だ。阿呆はさておき。誰が阿呆だこの野郎めが。しかしだ。一生側に居ると言う事は元の世界に帰っては果たせない望み。そもそも、死ぬまでと言われては、死ぬまで私は帰れない。違う、死んでは帰れないのではないのか。願いは叶えても帰れない。帰っては願いを叶えた事にはならない。忽ち生まれたパラドックスに私は頭が混乱した。つまり、私は帰れるのか?帰れないのか?いや、きっと私は。
「我の望みを叶えるのだろう?名前。」
青褪めているであろう私の様子を見て元就さんは口の端を吊り上げて笑った。
(MANA3*130328)
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