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「…………あ………ぐっ………………」
突然、訳も解らず張り倒され上に乗られ首を絞められる。
あの細く長い綺麗な指が殺意をもって容赦なく私の首に食い込んでくる。
「………も……な…り…ぃ……………さ………」
上手く言葉を発せない。酸素が乏しく、肺に届かない。苦しい。
首に巻き付いた手を剥がそうとしたが思いの外、頑丈に巻き付いた手は簡単に離れてくれなかった。
「何故…何故、貴様は此処に来た」
氷の様に冷たい眼が私を鋭く睨みつける。
「貴様が此処に来てから……我の中に何かが土足で踏み入り、そのまま住み着きおった」
「………あ゛……ぁ…」
「答えよ!貴様は何故、此処に来た!!我の中に這いずり回るこいつは何だと言うのだ!!」
「…ッ!!………」
更に力を込めて首が絞められる。息が出来ない。
私は殺されるのだろうか。いや、このままだと殺されるだろう。確実に。
「……も……と……なり………さ……くる…しっ………」
無駄だとは思ったが今の私の苦しさを主張した。私に出来る抵抗なんてこの位しかない。
途端、私の苦しさが伝わったかは解らないが首を絞める手の力がゆっくりと抜けていった。
噎せながらも久々の空気を荒く吸い込んだ。
「…がっ………ごほっ………が…は…………」
「……………貴様は………何故、此処に来た」
「……元…就……さん…?」
「教えろ………我の中に…何が住み着いた」
「…」
「貴様が来てから…我が我ではなくなった」
「…」
「我は………我は……………っ………」
氷の様に冷たい眼が今は悲しみを帯びている様に見えた。
こんな元就さんを初めて見た。
「…元就さん…」
「…」
「ごめんなさい」
何故か私は謝罪した。理由は解らないが、きっと私が悪いのだろう。
でも元就さんの眼が一層に悲しみを深めた気がした。
「…何故……此処に………我は…どうしたと言うのだ…………」
「…」
「答えよ……名前………」
私は静かに眼を閉じた。
苦しそうで今にも泣きそうな元就さんの顔をこれ以上、見たくなかったから。
「……名前………」
そして私は呟く。
「ごめんなさい」
私は貴方の質問の答えを知りません。
MANA3*1003