末裔
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目を覚ますと、大好きな人も丁度
目を覚ました様子だった。
「ねぇ鬼太郎」
名前が呼びたくなって、葉っぱの布団から
モソモソと顔をのぞかせる。
「なんだい、」
掠れたようなダミ声で、おっとりと
返事をする。
季節は冬。
雪が積もったゲゲゲハウスが見てみたいと、
雪合戦やら雪だるまやらを堪能して、
布団でまったりしている。
寒いね、と一言付け足す。
「うん。冬はやっぱり、冷えるだろ」
優しい声が頭上から降ってきて、
布団をより多くななしに掛ける。
「ありがとう」
何でもない事なのに、気に掛けてくれてた事が嬉しくて、微笑んでしまう。
「どうってことないよ」
同じように、柔らかに微笑んでくれる。
うん、と返事を返す。
するすると手が伸びてきて、
ななしの体をゆるく抱きしめた。
「こうするとあったかいね」
「うっ、うん、」
…抱きしめると?
ふとななしは疑問を浮かべる。
親父さんはとても鬼太郎を抱き締められる背丈ではない。
という事は、オババか、猫娘さん…??
一気に顔が不安にそまる。
ふとその様子に気付いた鬼太郎は
顔を覗き込むように見る。
「どうかしたかい?」
鬼太郎の少しあかい、
柔らかな髪がサラサラと自分に落ちてくる。
「ううん、何でもないの」
自分以外の女性の詮索をするのは申し訳ない気がして、取り乱さないようにだけ
気を付けた。
つもりだったが、どうやら彼の数々の妖怪を
見てきた千里眼に等しい目にはかなわず、
見破られてしまったらしい。
「ななしはすっかり眠って覚えて無いだろうけど、
さっきこうやってくっ付いてきて、
暖まろうとしてきたんだよ」
ふふ、と、春の日差しのように暖かな
笑顔で、そう微笑んだ。
「そうだっけ?…し、嫉妬して、嫌だなとか
思わなかった…?」
思い当たる節は無いが、
隠し事は通用しないと分かって、素直に
白状しようと投げ掛ける。
不安に揺れる瞳を見て、ぷっと笑う。
「まさか。可愛らしいよ。」
そんなことはない、むしろ、という答えに
安堵と、同時に心地良さを覚えた。
「鬼太郎ってずるいよ」
息をするように可愛いという、天然さが
少しだけ羨ましくなった。
丸い目をぱちくりとさせて、何が?とでも
言いたげそうな顔だ。
「どうして?」
「可愛いなんてさらっと言っちゃうし」
むすりと拗ねながら言うと、
呆れた、とケラケラと笑う。
「僕は本当の事を言っただけだよ」
ななしの布団をもう一度掛け直して、
またぴったりと抱きしめる。
それをされては、なんだか何も言えなくなる。
「さぁ、たくさん遊んだ事だし昼寝でもしよう」
すっと顔を近づけてきたものだから
まさか、と目をつむっていると。
ななしの額をおでこでぐりぐりして、
「おやすみ」とそのまま目を閉じた。
「……こ、この距離感なの…」
ずるいのはきみの方だよ。
寝てる隙に抱きしめたなんて言えるもんか。
こんなに好きにさせておいて、抱きしめることしか出来ないんだもの。