末裔
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人間と恋をすることはいけないことなんだろうか。
こうも日毎ゴロゴロしてると、
考えることがこう、と決まってくる。
次はいつ会えるんだろうとか、
会えた時は何をしようとか、
いろんなことを考えている。
電話なんて便利なものも無いから、
たまにやりとりする手紙が来たら、
鬼太郎から会いにいく。
ふと考えて、彼女が今時で言う、
携帯電話を持っていないはずがないと
いうことにはたと気づいた。
そもそも他の異性とも、連絡を取り合っているんだろうか。
僕のように会いに来る男がいるんだろうか。
考えては落ち込んで、先ほどから
舞い上がったり悩んだり、ころころ
表情を変える息子を見て、親が
変わりを感じないはずもない。
「どうした鬼太郎、そんなにそわそわしおって」
フゥーと湯に浸かり 風呂の一服をする
目玉の親父が声を掛ける。
「ウーン。そうですねぇ…」
当の本人は聞こえていないのか、
めずらしい生返事が帰ってくる。
ほーお、鬼太郎がなぁ。
口には出さず、親として嬉しいような、
すこし寂しいような気持ちを感じる。
ここはひとつ、男同士の話でもしてみるか、
と、コホンと咳払いをして、
「恋かのう…」
我ながら白々しいなと、笑いがこぼれそうになる。
「そうですよねぇ…」
同様に生返事をしたのもつかの間、
ハッとしたように
葉っぱの布団からガバッと起き上がる。
「恋って?誰がです??」
ポーカーフェイスを保ちながら、
動揺を隠すように口早に尋ねる。
「んん?」
ほっほ、と笑って見せ、お前じゃよ鬼太郎、
とどとこか嬉しそうに話す。
「はぁ…そうなんです。」
「わかりやすいやつじゃのう。」
猫娘も隅に置けんなぁと
湯けむりをすぅーっと胸いっぱいに
吸い込む親父。
「父さん、それが猫娘ではなくて…」
ポーカーフェイスのつぶらな瞳が
チョロチョロと泳ぐ。
「ごホッ!なぁにぃ。すると砂かけ婆か?!」
ワシは反対じゃぞ、あんな義娘、と
お湯をわちゃわちゃと踊らせながら、
しかめっ面(のように)して反対する。
「そ!そんなまさか。それが…その…」
人間なんです、相手の子は。
バツが悪そうに白状する息子。
なんだそんなことか。
と、ホッと息を漏らす。
「心配せんでええ。人間と妖怪の恋など、
よくある事じゃよ。」
おまえの母さんだって人間じゃ、と
宥めるように話す。
「しかし父さん…」
「幽霊族の最後の生き残りであるおまえの
相手が見つかりそうで、ワシも安心したわい」
「そんな、まだ結婚だなんて、」
前歯が見えるくらい大きな口で、
わたわたと両手を振って弁解する。
けれど、いずれそうなれたら、なんて
考える後ろめたい気持ちもあって。
「なんじゃ、まだ付き合っとらんのか」
ぱちくり瞬きして、目玉だけでも
驚いた、というふうに尋ねる。
「だだだって、誰もほっとくはずがないですよ、」
彼女みたいなかわいい女の子…
尻すぼみにポソポソ呟くわが子。
喝を入れてやらんとばかりに、
ピョンッと茶碗から跳び上がった。
バランスを崩して転がる茶碗。
慌てて茶碗を受ける鬼太郎。
普段見ないアクションぶりに
面食らっていると、
「こりゃ鬼太郎!そんな弱気でどうする!」
「と、父さん、」
「ライバルが多いや少ないではない!!
お前の気持ちが好きかどうかじゃ!!!」
親父の一喝。
「は、はい!」
「分かったら、さっさと行ってこい!!」
「わあぁあ、い、行ってきますぅ!!」
慌ててゲタを履く息子の背を、
いつになく肩で息を整えながら見送る。
カランコロンカラン、と慌ただしく
遠のくゲタの音を聞いて、ふぅとため息。
「ま、こんなもんでいいじゃろ」
腰をトントンたたきながら安心した様子。
いつまでもくすぶっている息子の
尻を叩いてやるのも、悪くない。
後日、かわいい女の子を連れて、
息子が改めてと挨拶しに来たそうな。
こうも日毎ゴロゴロしてると、
考えることがこう、と決まってくる。
次はいつ会えるんだろうとか、
会えた時は何をしようとか、
いろんなことを考えている。
電話なんて便利なものも無いから、
たまにやりとりする手紙が来たら、
鬼太郎から会いにいく。
ふと考えて、彼女が今時で言う、
携帯電話を持っていないはずがないと
いうことにはたと気づいた。
そもそも他の異性とも、連絡を取り合っているんだろうか。
僕のように会いに来る男がいるんだろうか。
考えては落ち込んで、先ほどから
舞い上がったり悩んだり、ころころ
表情を変える息子を見て、親が
変わりを感じないはずもない。
「どうした鬼太郎、そんなにそわそわしおって」
フゥーと湯に浸かり 風呂の一服をする
目玉の親父が声を掛ける。
「ウーン。そうですねぇ…」
当の本人は聞こえていないのか、
めずらしい生返事が帰ってくる。
ほーお、鬼太郎がなぁ。
口には出さず、親として嬉しいような、
すこし寂しいような気持ちを感じる。
ここはひとつ、男同士の話でもしてみるか、
と、コホンと咳払いをして、
「恋かのう…」
我ながら白々しいなと、笑いがこぼれそうになる。
「そうですよねぇ…」
同様に生返事をしたのもつかの間、
ハッとしたように
葉っぱの布団からガバッと起き上がる。
「恋って?誰がです??」
ポーカーフェイスを保ちながら、
動揺を隠すように口早に尋ねる。
「んん?」
ほっほ、と笑って見せ、お前じゃよ鬼太郎、
とどとこか嬉しそうに話す。
「はぁ…そうなんです。」
「わかりやすいやつじゃのう。」
猫娘も隅に置けんなぁと
湯けむりをすぅーっと胸いっぱいに
吸い込む親父。
「父さん、それが猫娘ではなくて…」
ポーカーフェイスのつぶらな瞳が
チョロチョロと泳ぐ。
「ごホッ!なぁにぃ。すると砂かけ婆か?!」
ワシは反対じゃぞ、あんな義娘、と
お湯をわちゃわちゃと踊らせながら、
しかめっ面(のように)して反対する。
「そ!そんなまさか。それが…その…」
人間なんです、相手の子は。
バツが悪そうに白状する息子。
なんだそんなことか。
と、ホッと息を漏らす。
「心配せんでええ。人間と妖怪の恋など、
よくある事じゃよ。」
おまえの母さんだって人間じゃ、と
宥めるように話す。
「しかし父さん…」
「幽霊族の最後の生き残りであるおまえの
相手が見つかりそうで、ワシも安心したわい」
「そんな、まだ結婚だなんて、」
前歯が見えるくらい大きな口で、
わたわたと両手を振って弁解する。
けれど、いずれそうなれたら、なんて
考える後ろめたい気持ちもあって。
「なんじゃ、まだ付き合っとらんのか」
ぱちくり瞬きして、目玉だけでも
驚いた、というふうに尋ねる。
「だだだって、誰もほっとくはずがないですよ、」
彼女みたいなかわいい女の子…
尻すぼみにポソポソ呟くわが子。
喝を入れてやらんとばかりに、
ピョンッと茶碗から跳び上がった。
バランスを崩して転がる茶碗。
慌てて茶碗を受ける鬼太郎。
普段見ないアクションぶりに
面食らっていると、
「こりゃ鬼太郎!そんな弱気でどうする!」
「と、父さん、」
「ライバルが多いや少ないではない!!
お前の気持ちが好きかどうかじゃ!!!」
親父の一喝。
「は、はい!」
「分かったら、さっさと行ってこい!!」
「わあぁあ、い、行ってきますぅ!!」
慌ててゲタを履く息子の背を、
いつになく肩で息を整えながら見送る。
カランコロンカラン、と慌ただしく
遠のくゲタの音を聞いて、ふぅとため息。
「ま、こんなもんでいいじゃろ」
腰をトントンたたきながら安心した様子。
いつまでもくすぶっている息子の
尻を叩いてやるのも、悪くない。
後日、かわいい女の子を連れて、
息子が改めてと挨拶しに来たそうな。
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