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夢小説設定
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「蓮、ありがとうぅ〜」
あの後、オーナーによってもうすでに店内が落ち着きを取り戻したことを確認してバックヤードに戻った俺に、目を赤くしたジュリが抱きつきながらそういった。
「気にしないでください。…あの、ジュリは、怪我はないか?…ないですか?」
「ないない!あのさ蓮、下手な敬語使わなくていいよ〜。蓮もウチとタメくらいでしょ」
「タメ…?」
「同い年くらい、てこと!」
「あ…ああ、そういう…」
「しかし蓮ちょーかっこよかった〜!なになに??格闘技とかやってたの??」
「…一応…」
「なになに?空手?柔道?テコンドー?
いつから?」
「えっと…」
「ジュリちゃん、蓮ちゃん困ってるでしょ」
いつのまにか現れたオーナーがジュリの肩に手を置いて、ジュリを俺から引き離す。
「ご指名あったわよ。…いける?」
「あ、はい!全然大丈夫です!行ってきます!」
パタパタと出ていったジュリを見送って、オーナーに礼を言う。
「気にしなくていいのよ」
オーナーは俺の頭を撫でた後、す、と目を細めて、でもね、と続ける。
「無理に言う必要はないけど、無理に隠す必要もないのよ。
言いたくなったらいつでも言えばいいの」
どこか悲しげにそう言って
俺は何も答えられなかった。
オーナーはとてもいい人で
黒服も、嬢も、オーナーによく似てとてもいい人で
だから俺は
出ていかなくちゃいけない
いつまでもここにいてはいけない人間なのだから。
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