ホシウジホシ
集中している恋人の邪魔をしない様に猫みたいに足を忍ばせて近づく
あと少し、もうちょっと、遂に手が触れる、、
という距離まで近づくと社長が座っていそうな椅子がくるりと半回転した
急なことに驚きうわっ、っと声を上げてしまう
「やー!ジフナ〜、」
そんな様子を見て笑う笑顔の可愛い恋人に軽く文句は言いつつも大して気にはしない
「悪い悪い」
悪びれる様子もなく、いまだ笑っている
これが2人の空気なのだ
ようやく落ち着きを取り戻すとすぐ本題に入る、
「それで?
こんな時間にどうした?」
そう、今は日付も跨いでしまってる、所謂丑三つ時といったほどの時間だ
ダンスの振り入れもなく、ジムも昨日行ったばかりだ、ホシがここにくる予定もなかった
しかも、こんな夜中の来訪だ
ウジが不思議がるのも無理はない
だが、ホシはその反応に不満のようだ
「……恋人に会いたいと思っただけじゃ来ちゃダメなの、」
虎には到底見えない拗ねたハムスターの表情にその気はなくともまた笑ってしまう
「ダメとは言ってないだろ
…俺も会いたかったよ」
2人きりということもあり、いつもはあまり言わない様なことまでつい言ってしまう
まぁ、ホシが満更でもなさそうなのでこのじわじわ湧いてきた羞恥心は己で昇華しよう、
ちょうど行き詰まっていたこともあり、休憩と称し2人で部屋にあるソファーに座る
疲れていたこともあり、
こてっとホシの方に寄りかかるウジ
どれだけの時間が経とうとウジから触れるだけで、ピシッと固まってしまうホシの反応を感じながら少し擦り寄る
そんな恋人の頭を壊れ物を扱う様な優しい手つきでなでるホシ、
さっきまでの2人と完全に空気が反対になってしまった
何度でも言おう、これが2人の空気感なのだ
ホシの右手とウジの左手が触れ、そのまま自然に指をからめる
にぎにぎと感触を確かめる様に何度も。
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