元JKの記憶喪失空っぽ夢主は、忍たま達に囲まれて生き延びたい
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この日のわたしは、一年は組の食満留三郎くん、善法寺伊作くんと一緒に裏山に赴いていた。
理由は、保健委員会で使用する薬草の採取。食満くんと偶然、そこに居合わせて声を掛けられたわたしは、籠を背負い、食満くんと善法寺くんと共に裏山へと足を運んだ。
そう、そこまでは良かった。問題は、今まさに目の前で起きている事態に、わたしが向き合うべきだと。
「不運だ〜〜っ!」
善法寺くんの叫びが、裏山の空気を切り裂いた。背後から、地面を削る勢いで私達三人に突進して来ようと走り続けている、野生の猪。鼻息は荒く、地を踏み鳴らす度に泥が跳ねた。
わたしも叫びたい気持ちはあるが、ここで声を上げて驚かせれば、猪の興奮を煽ってしまう。握った籠の取っ手がじっとりと汗で湿り、荒ぶる足音に合わせて心臓が跳ねていく。
「留三郎! ○○さん! ごめんね、また巻き込んでしまって〜〜!」
「気にするな、伊作〜! とにかく今は、あの猪から逃げるんだ!」
どうやら善法寺くんは、一年生の中でも指折りの不運体質だという。今までの薬草取りでも、どこからともなく転がってきた大岩に圧死されかけたり、何の前触れも無く大雨に見舞われ、泥の泥濘に足を取られ、採取した薬草全てが泥まみれになった……、これだけでも、善法寺くんが居た堪れない。
(そ、そうだっ!)
一筋の閃きが、頭を駆け抜けた。学園から支給された小袖を着用していたわたしは、懐から"すまあとほん"を取り出す。今は夜間帯ではない為、猪への効果は薄いと思われるが、賭けてみよう。
(あの猪に、光を当てたい……!)
心の中で願うと、"すまあとほん"が毎度の如く、震え出す。徐々に光の粒子が集まると、眩い白光が滲み出てきた。わたしは振り向いて、こちらに向かって走り続ける猪に、"すまあとほん"を翳した。
「は、はんぺんが光った!」
食満くんの驚いた声が聞こえてすぐ、猪の顔面に光線のような閃光が走った。それにより、猪の動きが緩んだ。ぴたりと脚を止める。鼻を鳴らし、首を振るようにして後ずさる。目がくらんだのか、前脚で地面を掻きながら戸惑っているのが分かった。
「伊作! ○○さん! あの木の影に隠れるんだ!」
「うんっ、あの大樹なら、猪にも見つからずに済むね!」
一瞬の静寂を逃さず、足元の小石を蹴り上げながら駆け出す。目指すは、少し離れた斜面の中腹に立つ一本の大樹。太い幹と繁った枝葉が、格好の隠れ場所になってくれる筈。
藪をかき分け、息を切らせながら大樹の影に身を寄せる。隠れるように身を屈めて様子を伺うと、猪はその場で鼻を鳴らし、やがて私達の姿を見失ったことに気づいたのか、元来た方へと踵を返して去って行く。
「た、助かったぁ……」
『誰も怪我しなかったから、良かったね』
木の根元にもたれ込み、食満くんが汗を拭い、わたしも深く息をつきながら、胸を押さえて呟いた。そんな中、善法寺くんは申し訳なさそうな表情を見せ、罪悪感に苛まれている様子。
「本当にすまない……、でも、○○さんのはんぺんって、あんな風に光ったりするんですね!」
すると突然、善法寺くんの意識は先程の騒動から、"すまあとほん"の輝きに移された。目は好奇心に満ちていて、先程までの落ち込みがまるで幻だったかのよう。
「教科書に翳すと文字が読めるそうですし……、夜間帯には、曲者退治にも役立ちそうですね。その時は是非、俺も呼んで下さい! 曲者相手に勝負したいと、うずうずしたくて堪らなくなると思いますから!」
食満くんは元来の勝負好きな一面を見せ、一人で燃え上がる。これでいて、い組の潮江くんとは犬猿の仲だというから、似た者同士だと密かに思う。ほんの数分前までの騒動が嘘のように、穏やかな空気がまた戻ってきていた。
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この日のわたしは、一年は組の食満留三郎くん、善法寺伊作くんと一緒に裏山に赴いていた。
理由は、保健委員会で使用する薬草の採取。食満くんと偶然、そこに居合わせて声を掛けられたわたしは、籠を背負い、食満くんと善法寺くんと共に裏山へと足を運んだ。
そう、そこまでは良かった。問題は、今まさに目の前で起きている事態に、わたしが向き合うべきだと。
「不運だ〜〜っ!」
善法寺くんの叫びが、裏山の空気を切り裂いた。背後から、地面を削る勢いで私達三人に突進して来ようと走り続けている、野生の猪。鼻息は荒く、地を踏み鳴らす度に泥が跳ねた。
わたしも叫びたい気持ちはあるが、ここで声を上げて驚かせれば、猪の興奮を煽ってしまう。握った籠の取っ手がじっとりと汗で湿り、荒ぶる足音に合わせて心臓が跳ねていく。
「留三郎! ○○さん! ごめんね、また巻き込んでしまって〜〜!」
「気にするな、伊作〜! とにかく今は、あの猪から逃げるんだ!」
どうやら善法寺くんは、一年生の中でも指折りの不運体質だという。今までの薬草取りでも、どこからともなく転がってきた大岩に圧死されかけたり、何の前触れも無く大雨に見舞われ、泥の泥濘に足を取られ、採取した薬草全てが泥まみれになった……、これだけでも、善法寺くんが居た堪れない。
(そ、そうだっ!)
一筋の閃きが、頭を駆け抜けた。学園から支給された小袖を着用していたわたしは、懐から"すまあとほん"を取り出す。今は夜間帯ではない為、猪への効果は薄いと思われるが、賭けてみよう。
(あの猪に、光を当てたい……!)
心の中で願うと、"すまあとほん"が毎度の如く、震え出す。徐々に光の粒子が集まると、眩い白光が滲み出てきた。わたしは振り向いて、こちらに向かって走り続ける猪に、"すまあとほん"を翳した。
「は、はんぺんが光った!」
食満くんの驚いた声が聞こえてすぐ、猪の顔面に光線のような閃光が走った。それにより、猪の動きが緩んだ。ぴたりと脚を止める。鼻を鳴らし、首を振るようにして後ずさる。目がくらんだのか、前脚で地面を掻きながら戸惑っているのが分かった。
「伊作! ○○さん! あの木の影に隠れるんだ!」
「うんっ、あの大樹なら、猪にも見つからずに済むね!」
一瞬の静寂を逃さず、足元の小石を蹴り上げながら駆け出す。目指すは、少し離れた斜面の中腹に立つ一本の大樹。太い幹と繁った枝葉が、格好の隠れ場所になってくれる筈。
藪をかき分け、息を切らせながら大樹の影に身を寄せる。隠れるように身を屈めて様子を伺うと、猪はその場で鼻を鳴らし、やがて私達の姿を見失ったことに気づいたのか、元来た方へと踵を返して去って行く。
「た、助かったぁ……」
『誰も怪我しなかったから、良かったね』
木の根元にもたれ込み、食満くんが汗を拭い、わたしも深く息をつきながら、胸を押さえて呟いた。そんな中、善法寺くんは申し訳なさそうな表情を見せ、罪悪感に苛まれている様子。
「本当にすまない……、でも、○○さんのはんぺんって、あんな風に光ったりするんですね!」
すると突然、善法寺くんの意識は先程の騒動から、"すまあとほん"の輝きに移された。目は好奇心に満ちていて、先程までの落ち込みがまるで幻だったかのよう。
「教科書に翳すと文字が読めるそうですし……、夜間帯には、曲者退治にも役立ちそうですね。その時は是非、俺も呼んで下さい! 曲者相手に勝負したいと、うずうずしたくて堪らなくなると思いますから!」
食満くんは元来の勝負好きな一面を見せ、一人で燃え上がる。これでいて、い組の潮江くんとは犬猿の仲だというから、似た者同士だと密かに思う。ほんの数分前までの騒動が嘘のように、穏やかな空気がまた戻ってきていた。
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