短編
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アニメ版 猪名寺乱太郎×男夢主
乱太郎と夢主が一緒に走って、色々と会話する話。
・
午後の授業を終えた、一年は組の猪名寺乱太郎だが、その日はいつもと違った。
それは、仲良し三人組の内の摂津のきり丸、福富しんべヱの不在である。
一人でも気にせず過ごせる乱太郎が、校庭を歩いていた時に、ある人物を発見した。
「六年ろ組の名無し ○○先輩!」
同じく校庭で準備運動をしていた○○は、乱太郎に声を掛けられると、運動を中断し、乱太郎の居る場所へと体を向けた。
『乱太郎、こんにちは。今日は、きり丸としんベヱは、一緒じゃないのか?』
「きり丸は、長屋の方で、内職のアルバイトを六年生の先輩方と一緒にしてて、しんベヱは、妹のカメ子ちゃんが遊びに来ているので、家族水入らずという訳なんです」
『なんか長次と小平太が張り切っていると思ったら、きり丸のアルバイトの手伝いだったのか』
同じ組で、同室の中在家長次と七松小平太が六年い組の潮江文次郎と一緒に、頼まれ事をしたと話していたのを思い出し、○○は一人で物事を解決した。
「名無し先輩は、何をしていた所ですか?」
『これから、走る練習でもしようかと思っていた所なんだ』
乱太郎に要件を聞かれた○○だったが、ある事を思いつくと、乱太郎に視線を向けていた。
「乱太郎。もし良かったら、おれと一緒に走ってくれないか?』
「えぇ! 名無し先輩と!?」
最上級生の○○から、直々の誘いを受けた乱太郎であったが、誘いを受ける受けない以前に、ただ驚くしかなかった。
「むむっ、無理ですよ! 私が忍術学園で一番、足の速い名無し先輩に追いつく訳……!」
『おれの足の速さに、合わせなくていいよ。乱太郎と一緒に走りたいんだ』
「つまり……どういう事ですか?」
言葉の意味が理解出来なかった乱太郎を見て、○○は困ったような笑みを浮かべながら、その場でずっこけた。
『おれが乱太郎の速さに合わせて、一緒に走るって事だよ』
「ほ、本当に良いんですか?」
『じゃあ、乱太郎。おれの足の速さに、着いてこれるのか?』
「だ、だから無理って、言ってるじゃないですかぁ!」
先程から、乱太郎の反応が面白く感じていた○○は故意的にそう問いかけ、乱太郎を揶揄うのだった。
『よしっ。じゃあ、一緒に走ろう』
◇
○○と乱太郎は、併走して校庭内を走っていた。○○は言葉通り、乱太郎の速度に合わせて、ゆっくりと走っている。
普段から、二重息吹という呼吸法を用い、一定のリズムで呼吸を繰り返す。走る為の秘術と言われているのだ。
『やっぱり、乱太郎は足が速いな』
「ほんとですかぁ?」
『本当だよ。でないと、園田村の時に[[rb:先触 > さきぶ]]れに選抜されない。あの時は、本当によく頑張った』
つい先日の出来事をぶり返され、乱太郎は照れるかと思いきや、むず痒い気持ちに襲われる。
「私、長距離走の成績はそこまでなんです」
『そうなのか?』
乱太郎は、園田村までの先触れの件を話した○○が、自分が授業の長距離でも上位を占めていると思ったのかと、勘違いが生じつつも、自分の事を話し始める。
足の遅いしんベヱに合わせて、長距離走の授業に取り組んでいると乱太郎から説明を受け、○○は『そうか』と短い返事をした。
『おれが一年生の時は、誰かと一緒に走るなんてしなかったな。いつも前の方を走ってた』
「一年生の頃から、名無し先輩は足が速かったんですね」
『うん。入学する前から、足が速いのが取り柄だったんだよ』
○○は、ランニング中に会話の割合が多くなっていた事に気がつくと、乱太郎の体力の有無を気にするのである。
誰も居ない木陰を発見すると、○○は乱太郎に声を掛けた。
『乱太郎。あそこの木陰で休憩するか』
「は、はいっ」
乱太郎は突然、ランニングが中断された事に驚く。
○○が自分と走るのに、飽きてしまったのかと思う中、○○は、木陰の近くの茂みをこっそり覗き込む。
『一年ろ組の生徒は、ここで日陰ぼっこはしてないみたいだな』
乱太郎はこの時、○○が足音を一つも立てずに、茂みに近づいていた事を知らない。
(名無し先輩、全く息が上がっていない……さすが六年生、凄いなぁ……)
○○が足音を一つも立てないで茂みに近づいた事より、乱太郎は○○が走った直後でも、呼吸が全く乱れていない事に注目が向けられていたのだ。
○○と乱太郎は、木に背を預ける形で、ゆっくりと腰を下ろす。
『乱太郎。何か話したい事があるんだろう?』
「へっ?」
『ランニングの時、色々と話したそうにしていたのが伝わったから』
「そ、そうでした?」
『うん。そうだった』
苦笑を浮かべる乱太郎とは対称的に、○○は伊作程ではないものの、人当たりの良さげな笑みを見せたのだった。
「名無し先輩が、最上級生の六年生で、色々な事を知っているから、お話がしてみたかったって考えていた事が出ちゃってたんですね」
乱太郎は観念した様子で、○○に自分の考えていた事を全て吐き出していく。
野外実習等で学園を留守にする事の多い六年生と、こうして一体一で話をする機会が少ないからこそ、乱太郎は偶然見かけた○○と、話してみたいと思ったのだ。
『そう言ってくれて、嬉しいよ。乱太郎は、どんな忍者になりたいんだ?』
「それは勿論、一流の忍者になる事です!」
乱太郎が口にした理想の忍者像は、忍術学園に入学した当初から今まで一貫していたものである。
『良いと思う』
「名無し先輩は、どんな忍者になりたいんですか?」
乱太郎は、○○がどんな忍者を目指しているのかと気になっていた様で、○○に問いかけた。
『逃げ足の速い忍者かなー』
○○は悩む様子も特に見られず、慣れた様子で乱太郎の問いかけに答える。
「それって、他の忍者とは闘わないって……?」
『六年い組の文次郎とか、六年は組の食満留三郎を思い出してるんだろ? 戦う忍者も居るけど、皆が皆、そういう訳じゃないよ』
好戦的な部類に入る彼らが、強く印象に残っていたのか、乱太郎は忍者は闘いもすると認識していた。
○○は、考えを否定はしない。だが、闘う以外にも大事な事があるのを知っていた為に、皆がそういう訳ではないと返事をしたのだ。
『得意武器で手裏剣を使っているけどな、別の物にしなさいって一回、止められた事があるんだ』
○○は、手裏剣を得意武器にすると言った際、武器にはならないから、別の物にしなさいと他人から指摘された事があった。
手裏剣も武器ではあるものの、決定力に欠けるからだと言うのが、指摘した人物の見解だ。
「でも、今も手裏剣を使っているんですよね? 何か理由があるんですか?」
『一年生の時に、おれが一番上手く投げれたから』
あまりにもあっさりとした理由に、乱太郎は思わず言葉を失う。そんな単純な理由で、決めてもいいんだ……、乱太郎は心の中で喋った。
『おれは別に、袋槍も、[[rb:焙烙火矢 > ほうろくひや]]も、[[rb:縄鏢 > じょうひょう]]も、苦無も、[[rb:鉄双節棍 > てっそうせっこん]]も、乱定剣が上手く使える訳じゃないしね』
学友である、六年生の得意武器の名称が並べられた。
遠距離・近距離とその場に適した武器であり、その武器を扱う本人との相性によって、威力や性能も変動するのだという。
『そもそも、六年生の得意武器を全部使えてしまうなんて、つまらないと思うんだ』
「つまらない……ですか?」
『うん。忍者は、一つの武器を極めるってよく言うしね。それに、誰だって得意な事・不得意な事があるからさ。どうしても、これは駄目だって物も出てくるんだ』
あぁ、そうだ…、○○は、もう一つの言葉を付け足していく。
『後は、ないものねだりをしても仕様がない』
それは、乱太郎をはじめ、きり丸やしんベヱもよく○○の口から聞く言葉であった。
『自分には無いものを気にしても、仕様がないって意味』
その言葉は、表面上は自分には持っていない能力等を気にしても仕方ないという意味がある。
裏を返せば、○○はその能力等を持っている他者を羨んでおり、矛盾しているのだ。
そして、能力等が備わっていると、発見出来る観察眼を持ち合わせているという意味も含まれている。
『手裏剣を武器にするのは止めなさいって言われたから、どんな物でも自分の狙った場所に当てられる様に練習したんだ』
そう言った○○は、年相応の笑顔を見せた。
だが、乱太郎はその能力に対して、良い思い出がなく、苦い思い出ばかりであった。
何故なら、○○が狙いを定めないで適当に投げた場所には、必ず長次が居る。○○の投げた物が飛んでくると、長次はトスをする。
すると今度は、トスされたらアタックをする奇癖を持つ小平太の元へ飛んでいく。
六年ろ組の三人の奇妙なコンビネーションにより、乱太郎達は散々な目に遭わされてきた。詳細については、割愛させて頂く。
そして三人共、全く悪びれていない。
適当な位置に投げた物をトスされ、アタックされた事で起きた被害数は両手に収まらない。○○に至っては、それを悩みと認識していない。仮に悩みと認識しても、一人で会話して、意図も簡単に解決してしまうだろう。
『長話になって、退屈じゃなかったか?』
「い、いえ! とても勉強になりました!」
『それなら、良かった。じゃあ、おれはランニングは、ここまでにするよ』
○○は、とある用事を思い出すと、ゆっくりとその場から立ち上がる。それを見た乱太郎は、○○よりも早く動こうと、勢いよく立ち上がった。
「名無し先輩! 今日は、ありがとうございました!」
乱太郎は、○○に向けて感謝の言葉を述べたものの、勢いよく立ち上がった事で、ふらついた。
○○は乱太郎が転ぶ事なく、立ったままの状態になったのを確認出来てから、再び笑顔を見せた。
『んっ、良いって事。乱太郎もおれに付き合ってくれて、ありがとうな』
乱太郎に向けて、○○は軽く手を振った。
体の向きを反対方向に切り替えると、目指す場所は決められていた。
『よーし。食堂のおばちゃんから、甘味物を頂きに行こう!』
目を煌々と輝かせた○○は、食堂を目指すべく走り出していく。
○○の後ろ姿を見た乱太郎は、○○が甘味物が好物で、目がないのだと思い出したのであった。
———————————————
◆名無し ○○
自主トレ(ランニング)をするつもりが、乱太郎が、きり丸としんベヱと居らずに一人で居た所を見て、声を掛けた。
そして成り行きで、ランニングに誘う。ないものねだりはするけど、ちゃんと周りの事は見えているし、自分の取り柄を生かした個人実習も完遂出来ている。
◆猪名寺 乱太郎
仲良しのきり丸、しんベヱは双方共に用事がある為、一人で居た。
○○に対しては、個性が強い面がありつつも他の六年生と同様に尊敬の念抱いている。
アニメ版 猪名寺乱太郎×男夢主
乱太郎と夢主が一緒に走って、色々と会話する話。
・
午後の授業を終えた、一年は組の猪名寺乱太郎だが、その日はいつもと違った。
それは、仲良し三人組の内の摂津のきり丸、福富しんべヱの不在である。
一人でも気にせず過ごせる乱太郎が、校庭を歩いていた時に、ある人物を発見した。
「六年ろ組の名無し ○○先輩!」
同じく校庭で準備運動をしていた○○は、乱太郎に声を掛けられると、運動を中断し、乱太郎の居る場所へと体を向けた。
『乱太郎、こんにちは。今日は、きり丸としんベヱは、一緒じゃないのか?』
「きり丸は、長屋の方で、内職のアルバイトを六年生の先輩方と一緒にしてて、しんベヱは、妹のカメ子ちゃんが遊びに来ているので、家族水入らずという訳なんです」
『なんか長次と小平太が張り切っていると思ったら、きり丸のアルバイトの手伝いだったのか』
同じ組で、同室の中在家長次と七松小平太が六年い組の潮江文次郎と一緒に、頼まれ事をしたと話していたのを思い出し、○○は一人で物事を解決した。
「名無し先輩は、何をしていた所ですか?」
『これから、走る練習でもしようかと思っていた所なんだ』
乱太郎に要件を聞かれた○○だったが、ある事を思いつくと、乱太郎に視線を向けていた。
「乱太郎。もし良かったら、おれと一緒に走ってくれないか?』
「えぇ! 名無し先輩と!?」
最上級生の○○から、直々の誘いを受けた乱太郎であったが、誘いを受ける受けない以前に、ただ驚くしかなかった。
「むむっ、無理ですよ! 私が忍術学園で一番、足の速い名無し先輩に追いつく訳……!」
『おれの足の速さに、合わせなくていいよ。乱太郎と一緒に走りたいんだ』
「つまり……どういう事ですか?」
言葉の意味が理解出来なかった乱太郎を見て、○○は困ったような笑みを浮かべながら、その場でずっこけた。
『おれが乱太郎の速さに合わせて、一緒に走るって事だよ』
「ほ、本当に良いんですか?」
『じゃあ、乱太郎。おれの足の速さに、着いてこれるのか?』
「だ、だから無理って、言ってるじゃないですかぁ!」
先程から、乱太郎の反応が面白く感じていた○○は故意的にそう問いかけ、乱太郎を揶揄うのだった。
『よしっ。じゃあ、一緒に走ろう』
◇
○○と乱太郎は、併走して校庭内を走っていた。○○は言葉通り、乱太郎の速度に合わせて、ゆっくりと走っている。
普段から、二重息吹という呼吸法を用い、一定のリズムで呼吸を繰り返す。走る為の秘術と言われているのだ。
『やっぱり、乱太郎は足が速いな』
「ほんとですかぁ?」
『本当だよ。でないと、園田村の時に[[rb:先触 > さきぶ]]れに選抜されない。あの時は、本当によく頑張った』
つい先日の出来事をぶり返され、乱太郎は照れるかと思いきや、むず痒い気持ちに襲われる。
「私、長距離走の成績はそこまでなんです」
『そうなのか?』
乱太郎は、園田村までの先触れの件を話した○○が、自分が授業の長距離でも上位を占めていると思ったのかと、勘違いが生じつつも、自分の事を話し始める。
足の遅いしんベヱに合わせて、長距離走の授業に取り組んでいると乱太郎から説明を受け、○○は『そうか』と短い返事をした。
『おれが一年生の時は、誰かと一緒に走るなんてしなかったな。いつも前の方を走ってた』
「一年生の頃から、名無し先輩は足が速かったんですね」
『うん。入学する前から、足が速いのが取り柄だったんだよ』
○○は、ランニング中に会話の割合が多くなっていた事に気がつくと、乱太郎の体力の有無を気にするのである。
誰も居ない木陰を発見すると、○○は乱太郎に声を掛けた。
『乱太郎。あそこの木陰で休憩するか』
「は、はいっ」
乱太郎は突然、ランニングが中断された事に驚く。
○○が自分と走るのに、飽きてしまったのかと思う中、○○は、木陰の近くの茂みをこっそり覗き込む。
『一年ろ組の生徒は、ここで日陰ぼっこはしてないみたいだな』
乱太郎はこの時、○○が足音を一つも立てずに、茂みに近づいていた事を知らない。
(名無し先輩、全く息が上がっていない……さすが六年生、凄いなぁ……)
○○が足音を一つも立てないで茂みに近づいた事より、乱太郎は○○が走った直後でも、呼吸が全く乱れていない事に注目が向けられていたのだ。
○○と乱太郎は、木に背を預ける形で、ゆっくりと腰を下ろす。
『乱太郎。何か話したい事があるんだろう?』
「へっ?」
『ランニングの時、色々と話したそうにしていたのが伝わったから』
「そ、そうでした?」
『うん。そうだった』
苦笑を浮かべる乱太郎とは対称的に、○○は伊作程ではないものの、人当たりの良さげな笑みを見せたのだった。
「名無し先輩が、最上級生の六年生で、色々な事を知っているから、お話がしてみたかったって考えていた事が出ちゃってたんですね」
乱太郎は観念した様子で、○○に自分の考えていた事を全て吐き出していく。
野外実習等で学園を留守にする事の多い六年生と、こうして一体一で話をする機会が少ないからこそ、乱太郎は偶然見かけた○○と、話してみたいと思ったのだ。
『そう言ってくれて、嬉しいよ。乱太郎は、どんな忍者になりたいんだ?』
「それは勿論、一流の忍者になる事です!」
乱太郎が口にした理想の忍者像は、忍術学園に入学した当初から今まで一貫していたものである。
『良いと思う』
「名無し先輩は、どんな忍者になりたいんですか?」
乱太郎は、○○がどんな忍者を目指しているのかと気になっていた様で、○○に問いかけた。
『逃げ足の速い忍者かなー』
○○は悩む様子も特に見られず、慣れた様子で乱太郎の問いかけに答える。
「それって、他の忍者とは闘わないって……?」
『六年い組の文次郎とか、六年は組の食満留三郎を思い出してるんだろ? 戦う忍者も居るけど、皆が皆、そういう訳じゃないよ』
好戦的な部類に入る彼らが、強く印象に残っていたのか、乱太郎は忍者は闘いもすると認識していた。
○○は、考えを否定はしない。だが、闘う以外にも大事な事があるのを知っていた為に、皆がそういう訳ではないと返事をしたのだ。
『得意武器で手裏剣を使っているけどな、別の物にしなさいって一回、止められた事があるんだ』
○○は、手裏剣を得意武器にすると言った際、武器にはならないから、別の物にしなさいと他人から指摘された事があった。
手裏剣も武器ではあるものの、決定力に欠けるからだと言うのが、指摘した人物の見解だ。
「でも、今も手裏剣を使っているんですよね? 何か理由があるんですか?」
『一年生の時に、おれが一番上手く投げれたから』
あまりにもあっさりとした理由に、乱太郎は思わず言葉を失う。そんな単純な理由で、決めてもいいんだ……、乱太郎は心の中で喋った。
『おれは別に、袋槍も、[[rb:焙烙火矢 > ほうろくひや]]も、[[rb:縄鏢 > じょうひょう]]も、苦無も、[[rb:鉄双節棍 > てっそうせっこん]]も、乱定剣が上手く使える訳じゃないしね』
学友である、六年生の得意武器の名称が並べられた。
遠距離・近距離とその場に適した武器であり、その武器を扱う本人との相性によって、威力や性能も変動するのだという。
『そもそも、六年生の得意武器を全部使えてしまうなんて、つまらないと思うんだ』
「つまらない……ですか?」
『うん。忍者は、一つの武器を極めるってよく言うしね。それに、誰だって得意な事・不得意な事があるからさ。どうしても、これは駄目だって物も出てくるんだ』
あぁ、そうだ…、○○は、もう一つの言葉を付け足していく。
『後は、ないものねだりをしても仕様がない』
それは、乱太郎をはじめ、きり丸やしんベヱもよく○○の口から聞く言葉であった。
『自分には無いものを気にしても、仕様がないって意味』
その言葉は、表面上は自分には持っていない能力等を気にしても仕方ないという意味がある。
裏を返せば、○○はその能力等を持っている他者を羨んでおり、矛盾しているのだ。
そして、能力等が備わっていると、発見出来る観察眼を持ち合わせているという意味も含まれている。
『手裏剣を武器にするのは止めなさいって言われたから、どんな物でも自分の狙った場所に当てられる様に練習したんだ』
そう言った○○は、年相応の笑顔を見せた。
だが、乱太郎はその能力に対して、良い思い出がなく、苦い思い出ばかりであった。
何故なら、○○が狙いを定めないで適当に投げた場所には、必ず長次が居る。○○の投げた物が飛んでくると、長次はトスをする。
すると今度は、トスされたらアタックをする奇癖を持つ小平太の元へ飛んでいく。
六年ろ組の三人の奇妙なコンビネーションにより、乱太郎達は散々な目に遭わされてきた。詳細については、割愛させて頂く。
そして三人共、全く悪びれていない。
適当な位置に投げた物をトスされ、アタックされた事で起きた被害数は両手に収まらない。○○に至っては、それを悩みと認識していない。仮に悩みと認識しても、一人で会話して、意図も簡単に解決してしまうだろう。
『長話になって、退屈じゃなかったか?』
「い、いえ! とても勉強になりました!」
『それなら、良かった。じゃあ、おれはランニングは、ここまでにするよ』
○○は、とある用事を思い出すと、ゆっくりとその場から立ち上がる。それを見た乱太郎は、○○よりも早く動こうと、勢いよく立ち上がった。
「名無し先輩! 今日は、ありがとうございました!」
乱太郎は、○○に向けて感謝の言葉を述べたものの、勢いよく立ち上がった事で、ふらついた。
○○は乱太郎が転ぶ事なく、立ったままの状態になったのを確認出来てから、再び笑顔を見せた。
『んっ、良いって事。乱太郎もおれに付き合ってくれて、ありがとうな』
乱太郎に向けて、○○は軽く手を振った。
体の向きを反対方向に切り替えると、目指す場所は決められていた。
『よーし。食堂のおばちゃんから、甘味物を頂きに行こう!』
目を煌々と輝かせた○○は、食堂を目指すべく走り出していく。
○○の後ろ姿を見た乱太郎は、○○が甘味物が好物で、目がないのだと思い出したのであった。
———————————————
◆名無し ○○
自主トレ(ランニング)をするつもりが、乱太郎が、きり丸としんベヱと居らずに一人で居た所を見て、声を掛けた。
そして成り行きで、ランニングに誘う。ないものねだりはするけど、ちゃんと周りの事は見えているし、自分の取り柄を生かした個人実習も完遂出来ている。
◆猪名寺 乱太郎
仲良しのきり丸、しんベヱは双方共に用事がある為、一人で居た。
○○に対しては、個性が強い面がありつつも他の六年生と同様に尊敬の念抱いている。
