ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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男から逃げ切った六年生の面々の隠れた場所には、緑の笹の葉が生い茂っていた。深緑の忍装束と似た色であり、茂みを利用して、この場をやり過ごそうとする。
伊作は、非常用の三角巾を取り出す。小平太の負傷箇所に三角巾を当て、止血を行う。
小平太の左隣に座る文次郎が、慣れた様子で自らの右腕を小平太の背中に当てていた。
皆、男に気配を察知されない様、息を潜める。
「軍師殿! ご無事ですか!」
遠方から、ドクタケ忍者の雨鬼 、風鬼 、雪鬼 の三人の声が聞こえた。三人は、逃げた六年生を探す男の前に姿を見せた。
「追わねば……忍術学園の手の者だ」
「お待ち下さい!」
六年生の面々の跡を追いかけようとした男だったが、風鬼が男の前に立ち、止めに入った。
笹の葉の茂みに身を潜める六年生全員は、ドクタケ忍者隊と男の会話を聞き漏らさない様に、耳を傾ける。
「軍師でもある"天鬼 殿"を、危険に晒す訳にはいきません! これは、八方斎様からの命でもあります!」
ドクタケ忍者隊の首領、稗田八方斎の名前が出されると、天鬼と呼ばれた男の動きがピタッと止まる。
「……承知した」
天鬼は、体の向きを六年生が身を潜める笹の葉の茂みと反対方向に切り替えた。
天鬼とドクタケ忍者達の気配が完全に消えたと、六年生全員が分かった矢先、竹林の中で、天鬼の居る方向へと走る子供の姿が見えたのだ。
継ぎ接ぎだらけの常服を着ており、首元に藍色のスカーフを巻いている。誰もが子供の名前を発する事はなかったものの、長次が笹の葉の茂みから手を出す。
「土井せんせ____、」
子供の正体は、六年生を追いかけて、ドクタケの領地まで自分の足で来たきり丸だった。
長次が、きり丸の口元に手を当てた。笹の葉の茂みの中へと姿を隠す為、きり丸を自分の元へと引き寄せる。
「むぐっ?!」
突然の事に、きり丸は声を上げようとした。
しかし、自分の目の前に居た留三郎が自らの口元に、右手の人差し指を当てた。きり丸はその意味が分かると、声を出さない代わりに頷く。
長次はきり丸の口元を抑えていた左手を下ろす。
「土井先生……生きてた……、………良かったぁ……」
きり丸は、顔を綻ばせる。
目の前に座る留三郎の額から、出血が見られていても、声を上げる事もせずに。
小平太の傷の止血を行っていた伊作は、小さな声で、○○の名前を呼ぶ。
「すまない。確認が遅くなって」
『だい、じょうぶ』
○○は、伊作の声が聞こえた方向を横目で見た。威力が半減されていたとしても、飛び膝蹴りを受けた事で、必要以上に頭を動かす事はしなかった。
「自分の名前」
『名無し、○○』
「所属する組」
『六年、ろ組』
「得意武器」
『手裏剣』
「頭痛、目眩、耳鳴り、吐き気」
『今は無い。負傷箇所の、痛みだけ』
伊作は、頭部に傷を受けた○○の自覚症状・記憶・現状認識の確認を行う。
○○も攻撃を受けた当初より、自覚症状は収まっており、慣れた様子で返答した。
○○の伊作の二人を見たきり丸だったが、やり取りを行った意味までは分からない。
・
きり丸は、六年生の面々と共に忍術学園に戻った。日が落ちる前に戻る事が出来、事務員の小松田の叱責を受けずに済んだ。
乱太郎、しんベヱの待つ一年の忍たま長屋へ戻っていたかと思えば、今は六年生の面々と共に医務室に居た。
部屋の隅で腰を下ろすきり丸の視線は、校医の新野 洋一 と伊作の治療を受ける六年生に向けられている。
六年生の先輩方、何があったんだろう。
最上級生で、俺達よりもずっと強い筈の先輩方が。あの時は、やっと土井先生を見つけられて安心してたから、先輩方の怪我に目が向かなかった。
潮江先輩は、左目を怪我している。脇腹から血が出ている。
立花先輩と、中在家先輩の忍装束(腕と肩の付近)に、血の跡が付いていた。
七松先輩は、胸から肩にかけて、大きな傷が出来ていた。
名無し先輩は、左腕を怪我して、頭に痣が出来ていた。
食満先輩も、額に出血の跡があった。
伊作先輩は、顔中がタンコブだらけで、総髪 が切られていた。
『きり丸』
○○が声を掛けると、きり丸の横に腰を下ろす。
左腕の出血箇所、頭部の痣の処置を終えた○○。頭部には包帯を巻かれており、痛々しい姿となっている。
「名無し先輩、無理しないで下さい。あ、あんまり喋んない方が……」
『大丈夫。心配してくれて、ありがとう……今から言う俺の質問、嘘を付かないで、ちゃんと答えてよ』
○○は、きり丸に顔を向け、目を合わせてから口を開ける。
『土井先生が生きてたって……、何で、ああ言った?』
○○は、笹の葉の茂みに隠れていた際、天鬼の後ろ姿を見たきり丸が呟いた発言に触れた。
あの時のきり丸の言い方が、出張に出ていると知らされていた筈が、土井が行方不明であると知っている様に捉えたからである。
きり丸も、○○の質問の意図を遅れて気がついたものの、驚く様子は見せない。いや、出す事が出来なかった。
「先輩達が、裏々山で……、土井先生の事を話していたのを、聞いてたんです」
土井の捜索の事で、六年生が揉めた日の出来事だ。その日、きり丸はキノコ狩りのアルバイトに出掛けていた。その帰り道に偶然、文次郎と留三郎の揉めている声が聞こえ、その一部始終を聞いてしまう。
そこで、"土井が坂東へ出張に出ている"というのが嘘であり、本当は行方不明であると知ってしまったのだ。
『それは、他の誰かに話した?』
○○の次の問いかけに対して、きり丸は首を横に振って答えた。
『ありがとう。教えてくれて』
○○は礼を述べてから、きり丸に向けてニコリと笑みを見せる。
話を終えたタイミングで、同じく傷の処置を終えた仙蔵もきり丸の元へやって来る。きり丸が顔を上げたかと思えば、仙蔵は片膝を付いた状態で座り出し、同じ目線となる。
「きり丸。私達と一緒に、学園長先生の庵まで来て欲しい」
仙蔵の問いかけを聞いたきり丸は、六年生と一緒に学園長の庵に向かう理由が何か、聞かなくても想像がついた。
「僕が……土井先生の事を、知ってたからっすよね……?」
「元々、学園長先生から六年生に課された忍務でな。きり丸を長屋に帰したいのは山々だが……、ドクタケの領地に足を踏み入れて、姿を見てしまったとなれば、私達の一存で帰す訳にはいかないんだ」
仙蔵が話し終えると、○○と同じ様に頭部に包帯が巻かれた伊作が、きり丸の元へ近づく。
「ごめんね」
「そんなっ、伊作先輩まで謝らないで下さいよ。元はと言えば、僕がドクタケまで来たのが………」
きり丸はドクタケ忍者隊詰所へ向かう六年生を見かけた時、土井の行方を知っているであろうと自らの判断で追いかけたのだ。
忍者としての歴が長いドクタケ忍者と鉢合わせれば、きり丸は今、この場に居なかっただろう。だからこそ、ドクタケの領地から無傷のまま、忍術学園まで送り届けてくれた六年生に、きり丸は感謝していた。
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男から逃げ切った六年生の面々の隠れた場所には、緑の笹の葉が生い茂っていた。深緑の忍装束と似た色であり、茂みを利用して、この場をやり過ごそうとする。
伊作は、非常用の三角巾を取り出す。小平太の負傷箇所に三角巾を当て、止血を行う。
小平太の左隣に座る文次郎が、慣れた様子で自らの右腕を小平太の背中に当てていた。
皆、男に気配を察知されない様、息を潜める。
「軍師殿! ご無事ですか!」
遠方から、ドクタケ忍者の
「追わねば……忍術学園の手の者だ」
「お待ち下さい!」
六年生の面々の跡を追いかけようとした男だったが、風鬼が男の前に立ち、止めに入った。
笹の葉の茂みに身を潜める六年生全員は、ドクタケ忍者隊と男の会話を聞き漏らさない様に、耳を傾ける。
「軍師でもある"
ドクタケ忍者隊の首領、稗田八方斎の名前が出されると、天鬼と呼ばれた男の動きがピタッと止まる。
「……承知した」
天鬼は、体の向きを六年生が身を潜める笹の葉の茂みと反対方向に切り替えた。
天鬼とドクタケ忍者達の気配が完全に消えたと、六年生全員が分かった矢先、竹林の中で、天鬼の居る方向へと走る子供の姿が見えたのだ。
継ぎ接ぎだらけの常服を着ており、首元に藍色のスカーフを巻いている。誰もが子供の名前を発する事はなかったものの、長次が笹の葉の茂みから手を出す。
「土井せんせ____、」
子供の正体は、六年生を追いかけて、ドクタケの領地まで自分の足で来たきり丸だった。
長次が、きり丸の口元に手を当てた。笹の葉の茂みの中へと姿を隠す為、きり丸を自分の元へと引き寄せる。
「むぐっ?!」
突然の事に、きり丸は声を上げようとした。
しかし、自分の目の前に居た留三郎が自らの口元に、右手の人差し指を当てた。きり丸はその意味が分かると、声を出さない代わりに頷く。
長次はきり丸の口元を抑えていた左手を下ろす。
「土井先生……生きてた……、………良かったぁ……」
きり丸は、顔を綻ばせる。
目の前に座る留三郎の額から、出血が見られていても、声を上げる事もせずに。
小平太の傷の止血を行っていた伊作は、小さな声で、○○の名前を呼ぶ。
「すまない。確認が遅くなって」
『だい、じょうぶ』
○○は、伊作の声が聞こえた方向を横目で見た。威力が半減されていたとしても、飛び膝蹴りを受けた事で、必要以上に頭を動かす事はしなかった。
「自分の名前」
『名無し、○○』
「所属する組」
『六年、ろ組』
「得意武器」
『手裏剣』
「頭痛、目眩、耳鳴り、吐き気」
『今は無い。負傷箇所の、痛みだけ』
伊作は、頭部に傷を受けた○○の自覚症状・記憶・現状認識の確認を行う。
○○も攻撃を受けた当初より、自覚症状は収まっており、慣れた様子で返答した。
○○の伊作の二人を見たきり丸だったが、やり取りを行った意味までは分からない。
・
きり丸は、六年生の面々と共に忍術学園に戻った。日が落ちる前に戻る事が出来、事務員の小松田の叱責を受けずに済んだ。
乱太郎、しんベヱの待つ一年の忍たま長屋へ戻っていたかと思えば、今は六年生の面々と共に医務室に居た。
部屋の隅で腰を下ろすきり丸の視線は、校医の
六年生の先輩方、何があったんだろう。
最上級生で、俺達よりもずっと強い筈の先輩方が。あの時は、やっと土井先生を見つけられて安心してたから、先輩方の怪我に目が向かなかった。
潮江先輩は、左目を怪我している。脇腹から血が出ている。
立花先輩と、中在家先輩の忍装束(腕と肩の付近)に、血の跡が付いていた。
七松先輩は、胸から肩にかけて、大きな傷が出来ていた。
名無し先輩は、左腕を怪我して、頭に痣が出来ていた。
食満先輩も、額に出血の跡があった。
伊作先輩は、顔中がタンコブだらけで、
『きり丸』
○○が声を掛けると、きり丸の横に腰を下ろす。
左腕の出血箇所、頭部の痣の処置を終えた○○。頭部には包帯を巻かれており、痛々しい姿となっている。
「名無し先輩、無理しないで下さい。あ、あんまり喋んない方が……」
『大丈夫。心配してくれて、ありがとう……今から言う俺の質問、嘘を付かないで、ちゃんと答えてよ』
○○は、きり丸に顔を向け、目を合わせてから口を開ける。
『土井先生が生きてたって……、何で、ああ言った?』
○○は、笹の葉の茂みに隠れていた際、天鬼の後ろ姿を見たきり丸が呟いた発言に触れた。
あの時のきり丸の言い方が、出張に出ていると知らされていた筈が、土井が行方不明であると知っている様に捉えたからである。
きり丸も、○○の質問の意図を遅れて気がついたものの、驚く様子は見せない。いや、出す事が出来なかった。
「先輩達が、裏々山で……、土井先生の事を話していたのを、聞いてたんです」
土井の捜索の事で、六年生が揉めた日の出来事だ。その日、きり丸はキノコ狩りのアルバイトに出掛けていた。その帰り道に偶然、文次郎と留三郎の揉めている声が聞こえ、その一部始終を聞いてしまう。
そこで、"土井が坂東へ出張に出ている"というのが嘘であり、本当は行方不明であると知ってしまったのだ。
『それは、他の誰かに話した?』
○○の次の問いかけに対して、きり丸は首を横に振って答えた。
『ありがとう。教えてくれて』
○○は礼を述べてから、きり丸に向けてニコリと笑みを見せる。
話を終えたタイミングで、同じく傷の処置を終えた仙蔵もきり丸の元へやって来る。きり丸が顔を上げたかと思えば、仙蔵は片膝を付いた状態で座り出し、同じ目線となる。
「きり丸。私達と一緒に、学園長先生の庵まで来て欲しい」
仙蔵の問いかけを聞いたきり丸は、六年生と一緒に学園長の庵に向かう理由が何か、聞かなくても想像がついた。
「僕が……土井先生の事を、知ってたからっすよね……?」
「元々、学園長先生から六年生に課された忍務でな。きり丸を長屋に帰したいのは山々だが……、ドクタケの領地に足を踏み入れて、姿を見てしまったとなれば、私達の一存で帰す訳にはいかないんだ」
仙蔵が話し終えると、○○と同じ様に頭部に包帯が巻かれた伊作が、きり丸の元へ近づく。
「ごめんね」
「そんなっ、伊作先輩まで謝らないで下さいよ。元はと言えば、僕がドクタケまで来たのが………」
きり丸はドクタケ忍者隊詰所へ向かう六年生を見かけた時、土井の行方を知っているであろうと自らの判断で追いかけたのだ。
忍者としての歴が長いドクタケ忍者と鉢合わせれば、きり丸は今、この場に居なかっただろう。だからこそ、ドクタケの領地から無傷のまま、忍術学園まで送り届けてくれた六年生に、きり丸は感謝していた。
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