短編
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原作版 七松小平太×夢主。
乱きりしんと、○○と小平太の総髪 の長さの話。
・
一日の授業を終えて、放課後の時間を運動場で過ごしていた乱太郎、きり丸、しんベヱの三人組。
「あ゙っ……この場所は……」
「乱太郎。急に顔が真っ青だよ?」
乱太郎の視線の先は、何の変哲もないただの運動場だ。
何故か顔を真っ青にして、苦虫を噛み潰したような表情を見せる乱太郎に、しんベヱは呑気に問いかけた。
「実は昨日、ここで平滝夜叉丸先輩と田村三木ヱ門先輩が……」
今度は苦笑した乱太郎は、昨日の出来事を話す。
乱太郎は平滝夜叉丸と田村三木ヱ門が喧嘩をしている現場に居合わせてしまった。
滝夜叉丸は乱太郎を見つけるなり、自分が先に四年は組の斉藤タカ丸に髪結いを頼んでいたと話し始める。
すると、三木ヱ門も自分が先だったと反論している様を見せられ、散々な思いをしたのだった。いわば、不運に遭ったのだと。
「へぇ。んな事があったのか……って、おい! 近くに、滝夜叉丸先輩は居ないよな!?」
乱太郎の話を最後まで聞き終えたきり丸は、どこからともなく滝夜叉丸が現れるのではないかと思い、辺りをキョロキョロとする。
「……来ないね」
「今は、学園に居ないのかな?」
「なーんだ。それなら良かった」
滝夜叉丸の自慢をクドクドと聞かされる機会が多い乱太郎、きり丸、しんベヱは、滝夜叉丸の話を聞き終えた後は、げんなりとした顔を見せるのだ。
「髪の毛と言ったら……六年い組の立花仙蔵先輩の髪の毛って、いつもサラサラでストレートだよね」
鬱々としたこの雰囲気を変えようと、乱太郎は黒髪の総髪が特徴の仙蔵の名前を出した。
「六年ろ組の七松小平太先輩の髪の毛も、立花先輩とは違うけど、長い髪してるよな」
きり丸が名前を出したのは、六年生の内、一番の毛量を誇る長髪の七松小平太。
赤茶色のモフモフとした総髪を見ただけで、誰もが小平太であると分かるのだ。
「暑い日に見かけた時なんて俺、余計に暑くなった気がしてさぁ」
「七松先輩は、暑くないのかな?」
きり丸は、夏の時期に小平太を見かけた時の記憶を思い出し、舌を見せる。その隣で、しんベヱが何気ない疑問を口にするのだった。
『おぉ。乱太郎、きり丸、しんベヱ』
するとそこに、○○が現れた。
一年は組の問題児且つ学園のお騒がせ三人組が、いつもと同じ様に揃っていると思い、声を掛けたのだ。
「あっ!六年ろ組の名無し ○○先輩!! こんにちは!!」
『はい、こんにちは』
乱太郎、きり丸、しんベヱが元気よく挨拶をすると、○○も慣れた様子で挨拶を返す。
「名無し先輩の髪の毛は、六年は組の善法寺伊作先輩と同じ長さだから、覚えやすいんですよね」
しんベヱは、乱太郎の話題の延長として、○○の背中まである特徴の無い総髪にまで触れる。
『へぇ……俺の髪の毛は、特徴が無いって言われる事の方が多いからさ。そう言われる事って、あんまり無いんだよ』
「伊作先輩は、癖っ毛が目立つけど、名無し先輩はそういうの特に無いですもんね」
きり丸は、六年は組の善法寺伊作の名前を口にした。
不運大魔王と呼ばれ、乱太郎の所属する保健委員会の委員長を務めている。
○○と伊作の総髪の長さは同じだが、癖毛の有無で判別出来ると言う。
『そういえば、三人はどうして髪の毛の話をしているんだ?』
○○は何故、三人組が他学年の忍たまの髪について話しているのかが気になり、質問する。
「実は、かくかくしかじかで……」
『あぁ、四年生がな。いつもの事だ』
乱太郎の説明を受け、○○は、あっけらかんとした態度を見せる。
ただでさえ、普段から喧嘩している滝夜叉丸と田村が? 癖の強い四年生相手に、気にしていたら疲れるのに……、○○は、思うのだった。
「乱太郎、きり丸、しんベヱ。それに、○○も一緒じゃないか」
一年は組の三人組と○○の背後から、小平太の声がした。同時に振り向くと、深緑の忍装束に砂が付着しているのが目に行く。
「七松先輩!! こんにちは!!」
「おう、こんにちは」
乱太郎、きり丸、しんベヱに挨拶をされ、小平太は快活な笑顔を見せ、挨拶を返すのだった。
「至る所に、砂が付いちゃってますよ」
「塹壕掘りをしていたのだが、留三郎に叱られてな。だから、塹壕掘りは止めにして、ランニングでもしようかと思っていた所だ」
特徴的な凛々しい眉を下げつつも、悪びれていない小平太が説明をする。
『しんベヱ。近い内に、用具委員会委員長の食満留三郎から、塹壕の穴を埋める様にと呼ばれそうだな』
「え〜〜! せっかくの放課後だったのにぃ……」
運動場に塹壕の跡が残っているとなれば、委員長の留三郎が用具委員の招集をかけるだろうと思った○○だったが、しんベヱは貴重な放課後の時間が無くなると思い、落ち込む。
「そう落ち込むな! 留三郎一人でも、塹壕の穴など簡単に埋めてくれるだろう!」
『しんベヱを落ち込ませたのは、お前が原因だけどね』
変わらず笑顔を見せる小平太に、○○は隣で毒づいた。
「ところで、七松先輩はその長い髪の毛で、暑くないんですか?」
しんベヱは、小平太の長い[[rb:総髪 > そうはつ]]を指しながら、先程思い浮かべていた疑問を小平太本人にぶつけた。
「私の髪の毛か? 特に気にしていなかったから、暑くないだろう!」
考える時間など皆無に等しく、間髪入れずに小平太は、しんベヱの疑問に答えたのだ。
「そんなあっさりで、良いんですか?」
「あぁ。私が良いんだから、それで良い」
呆れている様子を見せる乱太郎だが、小平太は自分が良ければそれで良い、という考えの元で、確かにそう言った。
「そうだ。私の髪の毛の話と言ったら、○○の面白い話があるぞ」
「えぇ? 名無し先輩の面白い話?」
記憶の片隅に残っていた、幼き頃の思い出を思い出すと、小平太の頭上にビックリマークの擬音が浮かぶ。
『そんなのあったっけ?』
「あった。忘れたとは言わせないぞ。私達、六年生がまだ下級生だった頃にな」
現六年生の貴重な下級生時代の話を聞ける機会を、乱太郎、きり丸、しんベヱの三人が逃す訳がない。
三人はキラキラと目を輝かせ、今にでもその光が、目から零れ落ちてしまうのではないかとも思わせる。
「○○が、私の星座が何座なのかと聞いてきた。獅子座だから、その通りに答えたら、"お前も獅子そのものだな"と、○○が私に言ってきたのだ」
小平太はある程度、噛み砕いた過去の話をした。○○の口から、あぁ…、と言葉が漏れる。
一方、乱太郎、きり丸、しんベヱはキョトンとしており、話の意味を理解出来ていない顔をしていたのだ。
「獅子……そのもの?」
「どの辺が?」
「どういう事?」
乱太郎、きり丸、しんベヱが順番に発言する。
小平太の見た目は、獅子ではない。人間だ。下級生時代の○○は何を見て、小平太の事を獅子そのものだと言い放ったのだ。
「つまり、私の総髪の長さから、獅子を連想したんだ。そして、私の事も獅子だと言った」
補足の説明が加えられ、ようやく三人は小平太の話の意味を理解した。
下級生時代の小平太に、お前は獅子だと言いのけた○○に、乱太郎・きり丸・しんベヱの三人は、体の震えを隠す事なく、恐怖するのだ。
「ひえ〜〜……私だったら、そんな事は口に出すのも怖い位ですよ〜」
「僕も〜〜……」
「名無し先輩って、下級生の時から度胸あったんすね……」
『おいおい、お前達……』
自分を見上げる三人組に、○○は思わず目を細める。
『俺も茶髪の方が良かったのかなぁ? あー、でもそしたら、六年ろ組は茶髪の集まりとか揶揄されてたかもしれないし、それだったら黒髪の方がマシか』
○○は一人で会話をし、自分の中で生じた疑問を意図も簡単に解決してしまう。乱太郎、きり丸、しんベヱの三人が口を挟む隙を与えないのだ。
「○○。暇なら、ランニングに付き合え」
小平太は、塹壕掘りの代わりとして行うランニングに○○を誘う。ここでは誘うと表現したが、あえて言葉を選ばずに言うなら、強制連行だ。
『良いよ。ここからスタートで、小松田さんの出門書に名前を書いてから、裏々山』
「いや、今日は裏々々山までだ。負けた方が、勝った方に食券を渡す」
慣れた様子で、○○が条件を提示するも、小平太は別の条件を付け加えた。
乱太郎、しんベヱは、学園から裏々々山の距離がどれ程のものかを人伝に知っている。一年は組の体育委員会委員の皆本金吾だ。そして、小平太は体育委員会の委員長を務めている。
野外訓練の長距離コースの確認(またの名は、いけどんマラソン)で、裏山の巡回に赴く機会が多く、金吾から何度か話を聞かされている。
「乱太郎。私と○○は横に並ぶから、お前が合図を出してくれ」
太郎は、慌てて指定された位置につく。
小平太と○○が横並びになる。
「いちについて……、よーい……、」
どんっ!
乱太郎が合図を出したと同時に、○○が小平太の左足を思いきり踏みつけた。
小平太の顔が歪むも、○○は何事もなかったかの様な振る舞いを見せて、走り出した。
「おい! 私の足、踏むな!」
『卑怯な手を使うなって、誰も言ってなかった』
「私が勝ったら○○は食券、二枚渡せよな!」
『それでも良いよ。追いつくもんなら』
「覚悟しておけ! いけいけどんどーん!」
○○は先頭を走る。
出遅れた小平太が、○○との距離が縮めようと、スピードを上げていく。
○○と小平太の前方を歩く他の下級生達は、声を上げつつも、二人に衝突しない様に避けていく。
事務員の小松田から渡された出門票に素早く名前を書いた○○と小平太は、そのまま裏々々山を目指して、走っていくのである。
その一部始終を見届けた乱太郎、きり丸、しんベヱは、一気に疲れが押し寄せたのだ。
個性の強い六年生の内の二人が、嵐のように過ぎ去った。またいつも通り、のんびりと過ごせるかと思った矢先、今度は留三郎の怒声が聞こえ、またしてもトラブルに鉢合わせるのであった。
◇
その頃、○○と小平太は裏山の山中を走っていた。変わらず、先頭を走る涼し気な顔を見せた○○が、小平太の名を呼ぶ。
『お前、獅子だな』
「何だいきなり」
『髪の毛が、ブワッてなってるから』
後ろを振り向く余裕を見せる○○を見たからか、小平太も負けじと○○を追い越そうと、足を動かすのだった。
—————————————
◆名無し ○○
下級生時代、小平太髪の色と長さから、獅子を連想し怖いもの知らずで本人に言った。
一番、獅子に似ていると思う瞬間は、寝起き時(ボサボサの髪の毛が、寝癖でさらに広がっている&口を大きく開けて、欠伸をする姿)。
◆七松 小平太
下級生時代に、○○から言われた事を事細かく覚えている。
食券を掛けたランニングの勝負の行方は、○○と小平太しか知らない。
◆乱きりしん
小平太に獅子と言った○○は、度胸があると思っている。
この後、留三郎の怒号が聞こえ、更なるトラブルに巻き込まれるのであった。
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原作版 七松小平太×夢主。
乱きりしんと、○○と小平太の
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一日の授業を終えて、放課後の時間を運動場で過ごしていた乱太郎、きり丸、しんベヱの三人組。
「あ゙っ……この場所は……」
「乱太郎。急に顔が真っ青だよ?」
乱太郎の視線の先は、何の変哲もないただの運動場だ。
何故か顔を真っ青にして、苦虫を噛み潰したような表情を見せる乱太郎に、しんベヱは呑気に問いかけた。
「実は昨日、ここで平滝夜叉丸先輩と田村三木ヱ門先輩が……」
今度は苦笑した乱太郎は、昨日の出来事を話す。
乱太郎は平滝夜叉丸と田村三木ヱ門が喧嘩をしている現場に居合わせてしまった。
滝夜叉丸は乱太郎を見つけるなり、自分が先に四年は組の斉藤タカ丸に髪結いを頼んでいたと話し始める。
すると、三木ヱ門も自分が先だったと反論している様を見せられ、散々な思いをしたのだった。いわば、不運に遭ったのだと。
「へぇ。んな事があったのか……って、おい! 近くに、滝夜叉丸先輩は居ないよな!?」
乱太郎の話を最後まで聞き終えたきり丸は、どこからともなく滝夜叉丸が現れるのではないかと思い、辺りをキョロキョロとする。
「……来ないね」
「今は、学園に居ないのかな?」
「なーんだ。それなら良かった」
滝夜叉丸の自慢をクドクドと聞かされる機会が多い乱太郎、きり丸、しんベヱは、滝夜叉丸の話を聞き終えた後は、げんなりとした顔を見せるのだ。
「髪の毛と言ったら……六年い組の立花仙蔵先輩の髪の毛って、いつもサラサラでストレートだよね」
鬱々としたこの雰囲気を変えようと、乱太郎は黒髪の総髪が特徴の仙蔵の名前を出した。
「六年ろ組の七松小平太先輩の髪の毛も、立花先輩とは違うけど、長い髪してるよな」
きり丸が名前を出したのは、六年生の内、一番の毛量を誇る長髪の七松小平太。
赤茶色のモフモフとした総髪を見ただけで、誰もが小平太であると分かるのだ。
「暑い日に見かけた時なんて俺、余計に暑くなった気がしてさぁ」
「七松先輩は、暑くないのかな?」
きり丸は、夏の時期に小平太を見かけた時の記憶を思い出し、舌を見せる。その隣で、しんベヱが何気ない疑問を口にするのだった。
『おぉ。乱太郎、きり丸、しんベヱ』
するとそこに、○○が現れた。
一年は組の問題児且つ学園のお騒がせ三人組が、いつもと同じ様に揃っていると思い、声を掛けたのだ。
「あっ!六年ろ組の名無し ○○先輩!! こんにちは!!」
『はい、こんにちは』
乱太郎、きり丸、しんベヱが元気よく挨拶をすると、○○も慣れた様子で挨拶を返す。
「名無し先輩の髪の毛は、六年は組の善法寺伊作先輩と同じ長さだから、覚えやすいんですよね」
しんベヱは、乱太郎の話題の延長として、○○の背中まである特徴の無い総髪にまで触れる。
『へぇ……俺の髪の毛は、特徴が無いって言われる事の方が多いからさ。そう言われる事って、あんまり無いんだよ』
「伊作先輩は、癖っ毛が目立つけど、名無し先輩はそういうの特に無いですもんね」
きり丸は、六年は組の善法寺伊作の名前を口にした。
不運大魔王と呼ばれ、乱太郎の所属する保健委員会の委員長を務めている。
○○と伊作の総髪の長さは同じだが、癖毛の有無で判別出来ると言う。
『そういえば、三人はどうして髪の毛の話をしているんだ?』
○○は何故、三人組が他学年の忍たまの髪について話しているのかが気になり、質問する。
「実は、かくかくしかじかで……」
『あぁ、四年生がな。いつもの事だ』
乱太郎の説明を受け、○○は、あっけらかんとした態度を見せる。
ただでさえ、普段から喧嘩している滝夜叉丸と田村が? 癖の強い四年生相手に、気にしていたら疲れるのに……、○○は、思うのだった。
「乱太郎、きり丸、しんベヱ。それに、○○も一緒じゃないか」
一年は組の三人組と○○の背後から、小平太の声がした。同時に振り向くと、深緑の忍装束に砂が付着しているのが目に行く。
「七松先輩!! こんにちは!!」
「おう、こんにちは」
乱太郎、きり丸、しんベヱに挨拶をされ、小平太は快活な笑顔を見せ、挨拶を返すのだった。
「至る所に、砂が付いちゃってますよ」
「塹壕掘りをしていたのだが、留三郎に叱られてな。だから、塹壕掘りは止めにして、ランニングでもしようかと思っていた所だ」
特徴的な凛々しい眉を下げつつも、悪びれていない小平太が説明をする。
『しんベヱ。近い内に、用具委員会委員長の食満留三郎から、塹壕の穴を埋める様にと呼ばれそうだな』
「え〜〜! せっかくの放課後だったのにぃ……」
運動場に塹壕の跡が残っているとなれば、委員長の留三郎が用具委員の招集をかけるだろうと思った○○だったが、しんベヱは貴重な放課後の時間が無くなると思い、落ち込む。
「そう落ち込むな! 留三郎一人でも、塹壕の穴など簡単に埋めてくれるだろう!」
『しんベヱを落ち込ませたのは、お前が原因だけどね』
変わらず笑顔を見せる小平太に、○○は隣で毒づいた。
「ところで、七松先輩はその長い髪の毛で、暑くないんですか?」
しんベヱは、小平太の長い[[rb:総髪 > そうはつ]]を指しながら、先程思い浮かべていた疑問を小平太本人にぶつけた。
「私の髪の毛か? 特に気にしていなかったから、暑くないだろう!」
考える時間など皆無に等しく、間髪入れずに小平太は、しんベヱの疑問に答えたのだ。
「そんなあっさりで、良いんですか?」
「あぁ。私が良いんだから、それで良い」
呆れている様子を見せる乱太郎だが、小平太は自分が良ければそれで良い、という考えの元で、確かにそう言った。
「そうだ。私の髪の毛の話と言ったら、○○の面白い話があるぞ」
「えぇ? 名無し先輩の面白い話?」
記憶の片隅に残っていた、幼き頃の思い出を思い出すと、小平太の頭上にビックリマークの擬音が浮かぶ。
『そんなのあったっけ?』
「あった。忘れたとは言わせないぞ。私達、六年生がまだ下級生だった頃にな」
現六年生の貴重な下級生時代の話を聞ける機会を、乱太郎、きり丸、しんベヱの三人が逃す訳がない。
三人はキラキラと目を輝かせ、今にでもその光が、目から零れ落ちてしまうのではないかとも思わせる。
「○○が、私の星座が何座なのかと聞いてきた。獅子座だから、その通りに答えたら、"お前も獅子そのものだな"と、○○が私に言ってきたのだ」
小平太はある程度、噛み砕いた過去の話をした。○○の口から、あぁ…、と言葉が漏れる。
一方、乱太郎、きり丸、しんベヱはキョトンとしており、話の意味を理解出来ていない顔をしていたのだ。
「獅子……そのもの?」
「どの辺が?」
「どういう事?」
乱太郎、きり丸、しんベヱが順番に発言する。
小平太の見た目は、獅子ではない。人間だ。下級生時代の○○は何を見て、小平太の事を獅子そのものだと言い放ったのだ。
「つまり、私の総髪の長さから、獅子を連想したんだ。そして、私の事も獅子だと言った」
補足の説明が加えられ、ようやく三人は小平太の話の意味を理解した。
下級生時代の小平太に、お前は獅子だと言いのけた○○に、乱太郎・きり丸・しんベヱの三人は、体の震えを隠す事なく、恐怖するのだ。
「ひえ〜〜……私だったら、そんな事は口に出すのも怖い位ですよ〜」
「僕も〜〜……」
「名無し先輩って、下級生の時から度胸あったんすね……」
『おいおい、お前達……』
自分を見上げる三人組に、○○は思わず目を細める。
『俺も茶髪の方が良かったのかなぁ? あー、でもそしたら、六年ろ組は茶髪の集まりとか揶揄されてたかもしれないし、それだったら黒髪の方がマシか』
○○は一人で会話をし、自分の中で生じた疑問を意図も簡単に解決してしまう。乱太郎、きり丸、しんベヱの三人が口を挟む隙を与えないのだ。
「○○。暇なら、ランニングに付き合え」
小平太は、塹壕掘りの代わりとして行うランニングに○○を誘う。ここでは誘うと表現したが、あえて言葉を選ばずに言うなら、強制連行だ。
『良いよ。ここからスタートで、小松田さんの出門書に名前を書いてから、裏々山』
「いや、今日は裏々々山までだ。負けた方が、勝った方に食券を渡す」
慣れた様子で、○○が条件を提示するも、小平太は別の条件を付け加えた。
乱太郎、しんベヱは、学園から裏々々山の距離がどれ程のものかを人伝に知っている。一年は組の体育委員会委員の皆本金吾だ。そして、小平太は体育委員会の委員長を務めている。
野外訓練の長距離コースの確認(またの名は、いけどんマラソン)で、裏山の巡回に赴く機会が多く、金吾から何度か話を聞かされている。
「乱太郎。私と○○は横に並ぶから、お前が合図を出してくれ」
太郎は、慌てて指定された位置につく。
小平太と○○が横並びになる。
「いちについて……、よーい……、」
どんっ!
乱太郎が合図を出したと同時に、○○が小平太の左足を思いきり踏みつけた。
小平太の顔が歪むも、○○は何事もなかったかの様な振る舞いを見せて、走り出した。
「おい! 私の足、踏むな!」
『卑怯な手を使うなって、誰も言ってなかった』
「私が勝ったら○○は食券、二枚渡せよな!」
『それでも良いよ。追いつくもんなら』
「覚悟しておけ! いけいけどんどーん!」
○○は先頭を走る。
出遅れた小平太が、○○との距離が縮めようと、スピードを上げていく。
○○と小平太の前方を歩く他の下級生達は、声を上げつつも、二人に衝突しない様に避けていく。
事務員の小松田から渡された出門票に素早く名前を書いた○○と小平太は、そのまま裏々々山を目指して、走っていくのである。
その一部始終を見届けた乱太郎、きり丸、しんベヱは、一気に疲れが押し寄せたのだ。
個性の強い六年生の内の二人が、嵐のように過ぎ去った。またいつも通り、のんびりと過ごせるかと思った矢先、今度は留三郎の怒声が聞こえ、またしてもトラブルに鉢合わせるのであった。
◇
その頃、○○と小平太は裏山の山中を走っていた。変わらず、先頭を走る涼し気な顔を見せた○○が、小平太の名を呼ぶ。
『お前、獅子だな』
「何だいきなり」
『髪の毛が、ブワッてなってるから』
後ろを振り向く余裕を見せる○○を見たからか、小平太も負けじと○○を追い越そうと、足を動かすのだった。
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◆名無し ○○
下級生時代、小平太髪の色と長さから、獅子を連想し怖いもの知らずで本人に言った。
一番、獅子に似ていると思う瞬間は、寝起き時(ボサボサの髪の毛が、寝癖でさらに広がっている&口を大きく開けて、欠伸をする姿)。
◆七松 小平太
下級生時代に、○○から言われた事を事細かく覚えている。
食券を掛けたランニングの勝負の行方は、○○と小平太しか知らない。
◆乱きりしん
小平太に獅子と言った○○は、度胸があると思っている。
この後、留三郎の怒号が聞こえ、更なるトラブルに巻き込まれるのであった。
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