短編
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◆百地と七松小平太が外出する話。
◆百地の女装描写/ブロマンス(友情)表現あり。
・
団子の入った包みは、どことなく重みを感じさせる。持ち手である紐を手に通して、一組の男女が何の変哲もない小道を歩く。
『改めてすまん、小平太。貴重な休みに付き合わせて』
「にゃはははは! 百地が、食べ物目当てで外出するなんて、よくある事だろう」
小平太と呼ばれる少年に声を掛けた少女____、もとい、少年の名前は蓬川 百地。忍術学園に通う忍者の卵であり、プロ忍者の階段を登り始めている六年生でもある。
同級生かつ同室の七松小平太は、特徴的な笑いを披露してから、末尾に「六年も一緒だから、私には分かるぞ」と言葉を付け足す。
事の発端は、忍術学園の近辺で経営されている団子屋であった。健啖家の百地は、"男女一組で来店すれば、通常より安い金額で団子を提供する"という情報をいち早く聞きつけ早速、策を練った。
学園内に在籍している、くのたまと団子屋に向かうというのは、忍者の三禁の一つに触れた疑いを掛けられると面倒である為に、没。色の授業で身に付けた女装の技術を活用して、自分または相手のどちらかが少女のフリをする策を採用した。
同級生の立花仙蔵ほどの美麗さは無いにしろ、百地は自分の女装技術に自信があった。校外実習では、初対面の相手に自らの性別を男性であると見破られる事が少なく、今回の策において自ら女装する事に抵抗は少ないのである。
(問題は、誰が同行してくれるかだ………)
うむ…、と、唸っていた最中、"いけいけどんどん"、と、聞き馴染みのあるフレーズが遠方から聞こえた。
・
『しかし、よく私の外出に付き合ったな』
話し声が聞こえてからすぐ、平然とした様子の百地と、口をへの字にした小平太の視線がバッチリと合った。
「どういう意味だ?」
『"鍛錬をしたいから"…と、断られるかと思っていた』
敵味方問わずの競合区でもある学園内にて、小平太は同じ六年生の潮江文次郎、中在家長次の二人と共に鍛錬に励んでいる。
休日でも変わらず鍛錬を優先する事の多い小平太であったが、どういう風の吹き回しなのかと百地は疑問に思っていたのだった。
「うーむ…、私は、その姿の百地を好いているからな。ほんの少しでも、視界に留めておきたかったのだ」
恥じらう様子を一切見せず、百地と視線を合わせたままでそう答えた。それに対して、百地も同様に赤面して驚く事もなく、変わらず平然としている様である。
『そうか』
小平太が自身に向ける"好いている"という感情に、性愛が込められていないのを百地は理解している。
一年次から現在まで、長次と小平太とは同室であり、女装の練習として互いの姿を眺める事も珍しくなかった。少年の筈なのに、化粧を施して服を着こなせば、そこには少女の姿として自然体に振る舞う百地が居る。その度に、小平太は視線を奪われ、記憶に残そうと目に焼き付けていた。
自分以外の六年生または、下級生と女装姿で出掛けるのならば、自分がという私欲から、小平太は今回の百地の外出に同行したのである。
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◆百地と七松小平太が外出する話。
◆百地の女装描写/ブロマンス(友情)表現あり。
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団子の入った包みは、どことなく重みを感じさせる。持ち手である紐を手に通して、一組の男女が何の変哲もない小道を歩く。
『改めてすまん、小平太。貴重な休みに付き合わせて』
「にゃはははは! 百地が、食べ物目当てで外出するなんて、よくある事だろう」
小平太と呼ばれる少年に声を掛けた少女____、もとい、少年の名前は蓬川 百地。忍術学園に通う忍者の卵であり、プロ忍者の階段を登り始めている六年生でもある。
同級生かつ同室の七松小平太は、特徴的な笑いを披露してから、末尾に「六年も一緒だから、私には分かるぞ」と言葉を付け足す。
事の発端は、忍術学園の近辺で経営されている団子屋であった。健啖家の百地は、"男女一組で来店すれば、通常より安い金額で団子を提供する"という情報をいち早く聞きつけ早速、策を練った。
学園内に在籍している、くのたまと団子屋に向かうというのは、忍者の三禁の一つに触れた疑いを掛けられると面倒である為に、没。色の授業で身に付けた女装の技術を活用して、自分または相手のどちらかが少女のフリをする策を採用した。
同級生の立花仙蔵ほどの美麗さは無いにしろ、百地は自分の女装技術に自信があった。校外実習では、初対面の相手に自らの性別を男性であると見破られる事が少なく、今回の策において自ら女装する事に抵抗は少ないのである。
(問題は、誰が同行してくれるかだ………)
うむ…、と、唸っていた最中、"いけいけどんどん"、と、聞き馴染みのあるフレーズが遠方から聞こえた。
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『しかし、よく私の外出に付き合ったな』
話し声が聞こえてからすぐ、平然とした様子の百地と、口をへの字にした小平太の視線がバッチリと合った。
「どういう意味だ?」
『"鍛錬をしたいから"…と、断られるかと思っていた』
敵味方問わずの競合区でもある学園内にて、小平太は同じ六年生の潮江文次郎、中在家長次の二人と共に鍛錬に励んでいる。
休日でも変わらず鍛錬を優先する事の多い小平太であったが、どういう風の吹き回しなのかと百地は疑問に思っていたのだった。
「うーむ…、私は、その姿の百地を好いているからな。ほんの少しでも、視界に留めておきたかったのだ」
恥じらう様子を一切見せず、百地と視線を合わせたままでそう答えた。それに対して、百地も同様に赤面して驚く事もなく、変わらず平然としている様である。
『そうか』
小平太が自身に向ける"好いている"という感情に、性愛が込められていないのを百地は理解している。
一年次から現在まで、長次と小平太とは同室であり、女装の練習として互いの姿を眺める事も珍しくなかった。少年の筈なのに、化粧を施して服を着こなせば、そこには少女の姿として自然体に振る舞う百地が居る。その度に、小平太は視線を奪われ、記憶に残そうと目に焼き付けていた。
自分以外の六年生または、下級生と女装姿で出掛けるのならば、自分がという私欲から、小平太は今回の百地の外出に同行したのである。
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