ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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忍術学園・タソガレドキ忍軍協力の元、行われている土井半助捜索開始から_____、半月が経過した。
六年生の面々の口数が、減っている。
誰かがそう言った訳ではない。傍から見れば、減っているとも気づかれない。だが、六年生の間では、それが嫌でも分かってしまうのだ。
文次郎は、夕食時の殆どを長屋で過ごす。風呂と厠、夜の鍛錬時にだけ外に出る。
仙蔵は、長屋で過ごす時間より、縁側に座り、外の景色を見て、気を落ち着かせる時間が増えた。
長次は、気持ちを落ち着かせようと書物に目を通すも、全く頭に入らない。別の事に意識が向けられ、また落ち着かなくなるのだ。
小平太は、夜の鍛錬に赴く回数が減った。長屋に居る時間の大半は常の笑顔は潜め、無表情で居る。
○○は、夕食時には顔を見せる。初日の夜に作成した地図に、印を付けて眺める。誰かと話さないと落ち着かない衝動に駆られる時の話し相手は、伊作のみ。
留三郎は、文次郎に突っかかる回数が捜索初日と比較して、明らかに少なくなっている。時折、自分の中に芽生える何かを発散させようと、夜の鍛錬に赴く。
伊作は、変わらず夕食時には顔を見せる。留三郎に一人の時間を与えようと、自ら外に出たり、医務室で黙々と薬草を煎じている。
じわり、じわりと澱みが溜まっていく。
・
「お前、いま死んでいたぞ」
○○の肩甲骨の位置に、右手の人差し指が突きつけられている。それと同時に、無感情な小平太の声が聞こえた。
「幸い、私以外に誰も居なかったから良かったものの。背後を取られる等、実技試験では即不合格を出されるな」
ハッキリとした物言いをする小平太の表情は、無だった。聞き込みの際に見せていた、快活な笑顔はとうに消えている。
『最悪の事態を想定してた』
○○の口からも、感情の篭っていない声色が発せられた。それを聞いた小平太は、ゆっくりと右手を下ろす。
「場所を移すぞ」
長次は、まだ戻ってきてはいない。いつ戻ってくるかも分からない長次を待ち、○○の話を聞くというのは限られた時間が無駄となる。
小平太と○○は、ろ組の落ち合い場所を離れ、森林の中へと入っていく。一際目立つ樹木を見つけ、樹木の裏側に隠れた。
『もう少しだけ、距離を離して欲しい』
「距離を離さなければいけない程、私が酷く狼狽えて取り乱す話か。是非、聞かせて貰おう」
腕を伸ばせば、簡単に常服の襟元を掴まされる。小平太がそのような事は決してしないという自信がある筈だったが、○○は失言した。
「早くしろ。待つのは、性に合わない」
腕を組んだ小平太は急かす様にして、○○に声を掛けた。
『土井先生は、俺達や先生方が捜索している山間部には、居ないかもしれない』
○○の声は、さほど大きくなかったにも関わらず、やけに響いた。小平太から目を逸らす事も無く、○○は話を続ける。
『正確に言うなら、ススキ野原の周辺、その下に流れている渓流、山間部周辺の村………半月もの間、捜索して、誰一人として手掛かりを突き止められていない。それは、土井先生がもう、この世に____、』
○○の襟元が強い力で、前方へと引き寄せられる。だが、足に力を入れて踏ん張ったおかげか、元の体勢を崩す事もなく、○○は倒れずに済んだ。
「すまない、続けてくれ」
○○が前方へと引き寄せられたのは、小平太が○○の襟元を掴んだからだ。口では謝罪の言葉を述べつつも、襟元を掴む手を離さない。
下級生ならば、この光景を見ただけでも恐れ戦く。ましてや、自分が小平太に襟元を掴まれたとなれば、気絶してしまうだろう。
普段ならば、ここまで手荒な真似はしない。今回の捜索相手の事もあり、感情的な面が出てしまったのだ。
○○は常服の襟元を掴む腕を一瞥してから、再び小平太と視線が合う。
『もう、この世に居ないのかもしれない』
小平太の耳にも聞こえる様、○○ははっきりとそう告げた。そこから少しの間、○○も小平太の双方は口を閉じ、唾を飲み込む音だけがする。風が吹くと、小平太のボサボサの髪の毛の先端が、ふわりと浮いた。
時間が停まったかの様に動かなくなった二人だが、涼しい顔をした○○が口を開く。
『これは、あくまで想定の内の一つだ……、………、……………、………長次が落ち合い場所で、待っているかもしれない。さっさと戻ろ____、』
「半月となれば、誰かがその考えに辿り着くのは至極当然だ」
○○が話を終わらせようとしたが、小平太はそれを許さなかった。
「お前以外の誰かも、その考えに行き着いているかもしれん。けれど、その誰かは土井先生が見つからず、焦りと不安が入り混じっている。○○、お前の考えた最悪の事態を、そいつよりも早く言ったに過ぎない」
○○以外の誰か____、文次郎か、仙蔵か、長次か、留三郎か、伊作か、それとも…………。
「襟を掴んだから、皺が出来てしまったな。長次は目敏いから、何があったのかと聞かれかねない。何か聞かれても、私がやったと言うまでだ。お前も長次に聞かれても、誤魔化しはするなよ」
襟元を掴んでいた小平太は、ようやく手を離す。○○は、何も言わなかった。
・
収穫を得られなかった捜索も終了し、六年生の面々は忍術学園に戻った。
○○が長屋で過ごしていると、扉越しに気配を感じ取る。扉が開かれると、仙蔵が立っており、部屋を見渡す。
「ろ組、全員居るか?」
長次、小平太、○○の三人は揃っていた。
普段ならば、突然の来訪者に対して、あけすけな物言いをする小平太も仙蔵の神妙な面持ちを見たからか、言葉を発さない。
「明日の捜索前、私と文次郎の方から話したい事がある」
は組にも、伝達済みだ…、そう告げた仙蔵は、長屋の扉を閉めた。仙蔵の気配が遠のいても、三人の間に沈黙が走る。
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忍術学園・タソガレドキ忍軍協力の元、行われている土井半助捜索開始から_____、半月が経過した。
六年生の面々の口数が、減っている。
誰かがそう言った訳ではない。傍から見れば、減っているとも気づかれない。だが、六年生の間では、それが嫌でも分かってしまうのだ。
文次郎は、夕食時の殆どを長屋で過ごす。風呂と厠、夜の鍛錬時にだけ外に出る。
仙蔵は、長屋で過ごす時間より、縁側に座り、外の景色を見て、気を落ち着かせる時間が増えた。
長次は、気持ちを落ち着かせようと書物に目を通すも、全く頭に入らない。別の事に意識が向けられ、また落ち着かなくなるのだ。
小平太は、夜の鍛錬に赴く回数が減った。長屋に居る時間の大半は常の笑顔は潜め、無表情で居る。
○○は、夕食時には顔を見せる。初日の夜に作成した地図に、印を付けて眺める。誰かと話さないと落ち着かない衝動に駆られる時の話し相手は、伊作のみ。
留三郎は、文次郎に突っかかる回数が捜索初日と比較して、明らかに少なくなっている。時折、自分の中に芽生える何かを発散させようと、夜の鍛錬に赴く。
伊作は、変わらず夕食時には顔を見せる。留三郎に一人の時間を与えようと、自ら外に出たり、医務室で黙々と薬草を煎じている。
じわり、じわりと澱みが溜まっていく。
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「お前、いま死んでいたぞ」
○○の肩甲骨の位置に、右手の人差し指が突きつけられている。それと同時に、無感情な小平太の声が聞こえた。
「幸い、私以外に誰も居なかったから良かったものの。背後を取られる等、実技試験では即不合格を出されるな」
ハッキリとした物言いをする小平太の表情は、無だった。聞き込みの際に見せていた、快活な笑顔はとうに消えている。
『最悪の事態を想定してた』
○○の口からも、感情の篭っていない声色が発せられた。それを聞いた小平太は、ゆっくりと右手を下ろす。
「場所を移すぞ」
長次は、まだ戻ってきてはいない。いつ戻ってくるかも分からない長次を待ち、○○の話を聞くというのは限られた時間が無駄となる。
小平太と○○は、ろ組の落ち合い場所を離れ、森林の中へと入っていく。一際目立つ樹木を見つけ、樹木の裏側に隠れた。
『もう少しだけ、距離を離して欲しい』
「距離を離さなければいけない程、私が酷く狼狽えて取り乱す話か。是非、聞かせて貰おう」
腕を伸ばせば、簡単に常服の襟元を掴まされる。小平太がそのような事は決してしないという自信がある筈だったが、○○は失言した。
「早くしろ。待つのは、性に合わない」
腕を組んだ小平太は急かす様にして、○○に声を掛けた。
『土井先生は、俺達や先生方が捜索している山間部には、居ないかもしれない』
○○の声は、さほど大きくなかったにも関わらず、やけに響いた。小平太から目を逸らす事も無く、○○は話を続ける。
『正確に言うなら、ススキ野原の周辺、その下に流れている渓流、山間部周辺の村………半月もの間、捜索して、誰一人として手掛かりを突き止められていない。それは、土井先生がもう、この世に____、』
○○の襟元が強い力で、前方へと引き寄せられる。だが、足に力を入れて踏ん張ったおかげか、元の体勢を崩す事もなく、○○は倒れずに済んだ。
「すまない、続けてくれ」
○○が前方へと引き寄せられたのは、小平太が○○の襟元を掴んだからだ。口では謝罪の言葉を述べつつも、襟元を掴む手を離さない。
下級生ならば、この光景を見ただけでも恐れ戦く。ましてや、自分が小平太に襟元を掴まれたとなれば、気絶してしまうだろう。
普段ならば、ここまで手荒な真似はしない。今回の捜索相手の事もあり、感情的な面が出てしまったのだ。
○○は常服の襟元を掴む腕を一瞥してから、再び小平太と視線が合う。
『もう、この世に居ないのかもしれない』
小平太の耳にも聞こえる様、○○ははっきりとそう告げた。そこから少しの間、○○も小平太の双方は口を閉じ、唾を飲み込む音だけがする。風が吹くと、小平太のボサボサの髪の毛の先端が、ふわりと浮いた。
時間が停まったかの様に動かなくなった二人だが、涼しい顔をした○○が口を開く。
『これは、あくまで想定の内の一つだ……、………、……………、………長次が落ち合い場所で、待っているかもしれない。さっさと戻ろ____、』
「半月となれば、誰かがその考えに辿り着くのは至極当然だ」
○○が話を終わらせようとしたが、小平太はそれを許さなかった。
「お前以外の誰かも、その考えに行き着いているかもしれん。けれど、その誰かは土井先生が見つからず、焦りと不安が入り混じっている。○○、お前の考えた最悪の事態を、そいつよりも早く言ったに過ぎない」
○○以外の誰か____、文次郎か、仙蔵か、長次か、留三郎か、伊作か、それとも…………。
「襟を掴んだから、皺が出来てしまったな。長次は目敏いから、何があったのかと聞かれかねない。何か聞かれても、私がやったと言うまでだ。お前も長次に聞かれても、誤魔化しはするなよ」
襟元を掴んでいた小平太は、ようやく手を離す。○○は、何も言わなかった。
・
収穫を得られなかった捜索も終了し、六年生の面々は忍術学園に戻った。
○○が長屋で過ごしていると、扉越しに気配を感じ取る。扉が開かれると、仙蔵が立っており、部屋を見渡す。
「ろ組、全員居るか?」
長次、小平太、○○の三人は揃っていた。
普段ならば、突然の来訪者に対して、あけすけな物言いをする小平太も仙蔵の神妙な面持ちを見たからか、言葉を発さない。
「明日の捜索前、私と文次郎の方から話したい事がある」
は組にも、伝達済みだ…、そう告げた仙蔵は、長屋の扉を閉めた。仙蔵の気配が遠のいても、三人の間に沈黙が走る。
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