ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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※原作小説パート少々+映画パート
・
団子屋を出発して、忍術学園の正門が見えたのは正午前だった。学園の塀沿いの道を歩き続け、事務員の小松田秀作が箒を掃いている姿がうっすらと見える。
「美味い団子屋だったな」
団子をたらふく食べ、腹一杯の小平太はご満悦である。
「長次、今度行く時は誘えよな」
「で、文次郎は俺に土産の団子を持ってくると。三人前で許してやる」
自分達に団子屋を勧めてくれた長次に声を掛けた文次郎だが、留三郎が口を挟む。それは正に喧嘩開始の合図でもあったのだ。
「なんだとー!」
「勝負すんのか、こらー!」
「おう、ギンギンにしてやるぜ!」
「まあまあ……」
「じゃれ合うのは、学園長先生に報告してからにしろ」
下級生に配る団子の包みを持つ伊作は、割って入る事が出来ない為、困り顔でそう言うしかない。仙蔵も慣れた様子で言い放ち、二人の喧嘩を止めはしない。
○○は、自分用に購入した団子を黙々と食べ進めている。勿論、喧嘩を止める素振りは見せない。
「もそ…もう行く必要はない。味は盗んだ。自分で作れる」
「じゃあ、今度頼むぜ。いけいけどんどーんで、でっかいや____、」
その時、小平太の言葉が途切れた。
忍術学園の校舎から漏れ出ている殺気に、六年生の面々が気がついたからだ。
「忍術学園に到底、似つかわしくない殺気だな」
「曲者が紛れ込んでいるのか?」
「あの小松田さんが、侵入者を許すなんて思えないけど……」
仙蔵と文次郎が眉間に皺を寄せ、殺気を放った人物が誰なのか疑問を抱く。正門前で箒を掃く小松田に至って変化は無いと観察した伊作は、変わらず困り顔を浮かべる。
「侵入者だろうが、曲者だろうが、俺がギンギンに相手してやる!」
「何だと、文次郎! お前より先に、俺が成敗してやる!」
拳を天に突き上げて、意気揚々とする文次郎だったが、留三郎が突っかかる。それには文次郎も負けじと突っかかり、火花が飛び散る。
そんな二人の横を、二つの影が通り過ぎていく。
「文次郎、留三郎。行かないのなら、私達が先に顔を拝んで来てやるぞ」
「もそ…お先に」
影の正体は、小平太と長次の二人だ。
ニッと笑みを浮かべ、湧き上がってくる興奮を隠さない小平太と同じく、内に秘める闘争心を学園内に潜む曲者相手に向ける長次は、走り出していく。
「あぁ、おい! 待て!」
「俺が先に勝負する!」
二人に先を越されない様にと、文次郎と留三郎も走り出す。下級生用の団子を落とさない様に気をつけながら、伊作も文次郎達の後を追いかける。
「全く……血の気が盛んな奴等だ」
『可愛げがあると思えば、楽になるぜ』
「どこに可愛げを見い出せと言う」
六年生は、血気盛んな忍たまが多い。内に秘めている者も居れば、外に放出して威圧感を放つ者も居るのだ。
団子を食べ終えた○○は、一本の串を包みから取り出す。串の先端がキラリと光ったのを見てから、○○は串を忍ばせる。
それを盗み見た仙蔵は、眉を下げながらも口角を上げる。仙蔵自身もまた、同じ様に打竹を取り出せる様に準備をしていたのだから。
仙蔵と○○は出門表を記入し終え、文次郎達を追いかけようとしたのだが、それは呆気なく終わりを告げた。
「ヘムヘム、どうしたの? こんな所で……」
伊作の声が聞こえる。そこには、文次郎、長次、小平太、留三郎の面々も立ち止まっていた。
後ろから仙蔵と○○が近づくと、一枚の紙を持っている学園長の忍犬、ヘムヘムが居た。偶然、その場に居合わせたとは思えず、六年生を待ち構えている様にも見える。
団子の包みを持ち、手が離せない伊作に代わり、文次郎がヘムヘムから紙を受け取る。
それが学園長からの命令状であると分かると、七人の眼が鋭くなった。
・
学園長・大川平次渦正の住まいでもある庵は、校舎や忍たま長屋から離れた位置に建てられ、竹林に囲まれたその光景は正に、隠れ家である。
一匹の赤蜻蛉 が目の前を横切ると、学園長は後方の茂みから、七つの気配を感じ取った。
「揃ったか」
"突然の思いつきで、生徒や教師を困らせる茶目っ気のあるおじいちゃん"という印象を受ける学園長だが、かつては凄腕の忍者として活動し、現在は忍術界の重鎮に位置するだけでなく、いざという時に高い腕前を見せる人物でもある。
「お前達に、任務を与える」
最高学年に位置する六年生の面々、潮江文次郎、立花仙蔵、中在家長次、七松小平太、名無し○○、食満留三郎、善法寺伊作の顔には、影が掛かっている。片膝を付き、学園長に対しての敬意を示し、耳を傾ける。
「土井先生の捜索にお前達、六年生も加わって欲しい」
一年は組、教科担当担任の名前が出されると、七人はピクンと反応を示す代わりに、唾を飲み込んで感情を抑え込む。
「昨日から、土井先生は忍術学園を留守にしていた……、と、いう事でしょうか」
実習で学園を留守にしていた六年生の面々だったが、一番手に仙蔵が名乗りを上げ、昨日の土井の動向について伺う。
「タソガレドキ忍軍の諸泉尊奈門からの果たし状を受けたそうでな。日の暮れる前に忍術学園を出発し、裏々山に赴いたそうじゃ。入門書にも名前は記入されておる」
「つまり、土井先生は諸泉尊奈門の果たし合いを受けるべく、学園を出発し……それを最後に、行方が分からない……という訳ですか」
土井を一方的にライバル視している諸泉尊奈門の存在は、六年生の頭の片隅に残されていた。
学園長の言葉を聞き、文次郎も自身の中で情報を整理する。
「土井先生は、諸泉尊奈門との果たし合いの際に何らかの自体に巻き込まれた……、という事も、考えられるのではないでしょうか?」
「当事者の諸泉尊奈門が土井先生の攻撃を受けた際、気絶していたそうでな。土井先生の身に何が起きたのかを最後まで把握していないと話しておった」
留三郎が下手ながらも仮説を提唱したが、学園長の一言で脆く崩れ去る。
「じゃが……果たし合いが行われた場所には、刀の跡が付けられたボロボロの出席簿が残されていたと、タソガレドキ忍軍の組頭、雑渡昆奈門から報告を受けておる」
聞き馴染みのある敵軍の名前が出され、空気がピリついた。だが、六年生の面々は冷静さを取り戻し、学園長から話を聞き出す。
「校舎外から、忍術学園の先生方とは異なる殺気が漏れ出ていました。あの殺気を放っていた人物は……雑渡昆奈門さん、ですか?」
「もそ…一年は組の生徒達には、どのようにして、土井先生の事情をお話になられたのですか」
「坂東へ出張に向かわれた……、生徒達にはそう伝えておる。山田先生も捜索に参加しておるから、雑渡昆奈門と諸泉尊奈門が一年は組の教壇に立って欲しいと、儂の方から頼んだのじゃ」
伊作と長次の問いかけに対し、学園長はありのままの事実を淡々と述べた。
「校舎外まで漏れ出ていた殺気は、雑渡昆奈門が一年は組の教室で放った物という事ですね」
小平太が殺気について触れると、雑渡昆奈門がこの学園内に教師の代わりとして、滞在しているという事実が現実味を帯びていく。
『雑渡昆奈門、諸泉尊奈門……タソガレドキ忍軍の二名がこの忍術学園に滞在している。しかし、学園長先生の目の届く範囲に居るのならば、学園の領地内に戦を仕掛ける事も、一年は組や他の学年に危害を加える事も無い……そう捉えて宜しいのでしょうか?』
教師の中では若いながらも実力のある土井半助、戦忍として活動した経歴があり、経験豊富な山田伝蔵、歴代でも上位の実力を持ち合わせる六年生が不在となった中、忍術学園の警備は少なからず手薄となる箇所が出る。忍術界等の忍としての知識が皆無な人間ならば、このように考えるだろう。
だが、凄腕忍者として活動していた経歴を持つ大川平次渦正の目が光る学園内にて、下手な動きを見せる事は死を意味するのだ。
「そのように捉えて貰って、構わん」
その言葉は、雑渡昆奈門や諸泉尊奈門を初め、タソガレドキ忍軍が忍術学園に攻撃を仕掛ける事は、今の時点では無いと意味する。
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※原作小説パート少々+映画パート
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団子屋を出発して、忍術学園の正門が見えたのは正午前だった。学園の塀沿いの道を歩き続け、事務員の小松田秀作が箒を掃いている姿がうっすらと見える。
「美味い団子屋だったな」
団子をたらふく食べ、腹一杯の小平太はご満悦である。
「長次、今度行く時は誘えよな」
「で、文次郎は俺に土産の団子を持ってくると。三人前で許してやる」
自分達に団子屋を勧めてくれた長次に声を掛けた文次郎だが、留三郎が口を挟む。それは正に喧嘩開始の合図でもあったのだ。
「なんだとー!」
「勝負すんのか、こらー!」
「おう、ギンギンにしてやるぜ!」
「まあまあ……」
「じゃれ合うのは、学園長先生に報告してからにしろ」
下級生に配る団子の包みを持つ伊作は、割って入る事が出来ない為、困り顔でそう言うしかない。仙蔵も慣れた様子で言い放ち、二人の喧嘩を止めはしない。
○○は、自分用に購入した団子を黙々と食べ進めている。勿論、喧嘩を止める素振りは見せない。
「もそ…もう行く必要はない。味は盗んだ。自分で作れる」
「じゃあ、今度頼むぜ。いけいけどんどーんで、でっかいや____、」
その時、小平太の言葉が途切れた。
忍術学園の校舎から漏れ出ている殺気に、六年生の面々が気がついたからだ。
「忍術学園に到底、似つかわしくない殺気だな」
「曲者が紛れ込んでいるのか?」
「あの小松田さんが、侵入者を許すなんて思えないけど……」
仙蔵と文次郎が眉間に皺を寄せ、殺気を放った人物が誰なのか疑問を抱く。正門前で箒を掃く小松田に至って変化は無いと観察した伊作は、変わらず困り顔を浮かべる。
「侵入者だろうが、曲者だろうが、俺がギンギンに相手してやる!」
「何だと、文次郎! お前より先に、俺が成敗してやる!」
拳を天に突き上げて、意気揚々とする文次郎だったが、留三郎が突っかかる。それには文次郎も負けじと突っかかり、火花が飛び散る。
そんな二人の横を、二つの影が通り過ぎていく。
「文次郎、留三郎。行かないのなら、私達が先に顔を拝んで来てやるぞ」
「もそ…お先に」
影の正体は、小平太と長次の二人だ。
ニッと笑みを浮かべ、湧き上がってくる興奮を隠さない小平太と同じく、内に秘める闘争心を学園内に潜む曲者相手に向ける長次は、走り出していく。
「あぁ、おい! 待て!」
「俺が先に勝負する!」
二人に先を越されない様にと、文次郎と留三郎も走り出す。下級生用の団子を落とさない様に気をつけながら、伊作も文次郎達の後を追いかける。
「全く……血の気が盛んな奴等だ」
『可愛げがあると思えば、楽になるぜ』
「どこに可愛げを見い出せと言う」
六年生は、血気盛んな忍たまが多い。内に秘めている者も居れば、外に放出して威圧感を放つ者も居るのだ。
団子を食べ終えた○○は、一本の串を包みから取り出す。串の先端がキラリと光ったのを見てから、○○は串を忍ばせる。
それを盗み見た仙蔵は、眉を下げながらも口角を上げる。仙蔵自身もまた、同じ様に打竹を取り出せる様に準備をしていたのだから。
仙蔵と○○は出門表を記入し終え、文次郎達を追いかけようとしたのだが、それは呆気なく終わりを告げた。
「ヘムヘム、どうしたの? こんな所で……」
伊作の声が聞こえる。そこには、文次郎、長次、小平太、留三郎の面々も立ち止まっていた。
後ろから仙蔵と○○が近づくと、一枚の紙を持っている学園長の忍犬、ヘムヘムが居た。偶然、その場に居合わせたとは思えず、六年生を待ち構えている様にも見える。
団子の包みを持ち、手が離せない伊作に代わり、文次郎がヘムヘムから紙を受け取る。
それが学園長からの命令状であると分かると、七人の眼が鋭くなった。
・
学園長・大川平次渦正の住まいでもある庵は、校舎や忍たま長屋から離れた位置に建てられ、竹林に囲まれたその光景は正に、隠れ家である。
一匹の
「揃ったか」
"突然の思いつきで、生徒や教師を困らせる茶目っ気のあるおじいちゃん"という印象を受ける学園長だが、かつては凄腕の忍者として活動し、現在は忍術界の重鎮に位置するだけでなく、いざという時に高い腕前を見せる人物でもある。
「お前達に、任務を与える」
最高学年に位置する六年生の面々、潮江文次郎、立花仙蔵、中在家長次、七松小平太、名無し○○、食満留三郎、善法寺伊作の顔には、影が掛かっている。片膝を付き、学園長に対しての敬意を示し、耳を傾ける。
「土井先生の捜索にお前達、六年生も加わって欲しい」
一年は組、教科担当担任の名前が出されると、七人はピクンと反応を示す代わりに、唾を飲み込んで感情を抑え込む。
「昨日から、土井先生は忍術学園を留守にしていた……、と、いう事でしょうか」
実習で学園を留守にしていた六年生の面々だったが、一番手に仙蔵が名乗りを上げ、昨日の土井の動向について伺う。
「タソガレドキ忍軍の諸泉尊奈門からの果たし状を受けたそうでな。日の暮れる前に忍術学園を出発し、裏々山に赴いたそうじゃ。入門書にも名前は記入されておる」
「つまり、土井先生は諸泉尊奈門の果たし合いを受けるべく、学園を出発し……それを最後に、行方が分からない……という訳ですか」
土井を一方的にライバル視している諸泉尊奈門の存在は、六年生の頭の片隅に残されていた。
学園長の言葉を聞き、文次郎も自身の中で情報を整理する。
「土井先生は、諸泉尊奈門との果たし合いの際に何らかの自体に巻き込まれた……、という事も、考えられるのではないでしょうか?」
「当事者の諸泉尊奈門が土井先生の攻撃を受けた際、気絶していたそうでな。土井先生の身に何が起きたのかを最後まで把握していないと話しておった」
留三郎が下手ながらも仮説を提唱したが、学園長の一言で脆く崩れ去る。
「じゃが……果たし合いが行われた場所には、刀の跡が付けられたボロボロの出席簿が残されていたと、タソガレドキ忍軍の組頭、雑渡昆奈門から報告を受けておる」
聞き馴染みのある敵軍の名前が出され、空気がピリついた。だが、六年生の面々は冷静さを取り戻し、学園長から話を聞き出す。
「校舎外から、忍術学園の先生方とは異なる殺気が漏れ出ていました。あの殺気を放っていた人物は……雑渡昆奈門さん、ですか?」
「もそ…一年は組の生徒達には、どのようにして、土井先生の事情をお話になられたのですか」
「坂東へ出張に向かわれた……、生徒達にはそう伝えておる。山田先生も捜索に参加しておるから、雑渡昆奈門と諸泉尊奈門が一年は組の教壇に立って欲しいと、儂の方から頼んだのじゃ」
伊作と長次の問いかけに対し、学園長はありのままの事実を淡々と述べた。
「校舎外まで漏れ出ていた殺気は、雑渡昆奈門が一年は組の教室で放った物という事ですね」
小平太が殺気について触れると、雑渡昆奈門がこの学園内に教師の代わりとして、滞在しているという事実が現実味を帯びていく。
『雑渡昆奈門、諸泉尊奈門……タソガレドキ忍軍の二名がこの忍術学園に滞在している。しかし、学園長先生の目の届く範囲に居るのならば、学園の領地内に戦を仕掛ける事も、一年は組や他の学年に危害を加える事も無い……そう捉えて宜しいのでしょうか?』
教師の中では若いながらも実力のある土井半助、戦忍として活動した経歴があり、経験豊富な山田伝蔵、歴代でも上位の実力を持ち合わせる六年生が不在となった中、忍術学園の警備は少なからず手薄となる箇所が出る。忍術界等の忍としての知識が皆無な人間ならば、このように考えるだろう。
だが、凄腕忍者として活動していた経歴を持つ大川平次渦正の目が光る学園内にて、下手な動きを見せる事は死を意味するのだ。
「そのように捉えて貰って、構わん」
その言葉は、雑渡昆奈門や諸泉尊奈門を初め、タソガレドキ忍軍が忍術学園に攻撃を仕掛ける事は、今の時点では無いと意味する。
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