ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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※豪華版パンフ小説パート
※ネタバレあり
・
経塚の近辺の森の中に身を潜める六年生の面々は、達成感を味わっていた十五歳の少年から、忍を志す者へと戻っていた。
夜が明けて、空が明るくなるのが分かると、六年生の面々は忍装束を脱ぎ、裏返す。炭や泥等の汚れが目立つ、至る箇所が継ぎ接ぎだらけの服へと変わり、着替えていく。
小平太は巨木を登り始め、大木の上方に縛り付けられている"とある物"の回収へと向かう。
その間、残りの面々は御堂の扉を開け、中へと入る。御堂の奥に仏像の描かれた掛け軸、小ぶりの俵が積まれている。
"とある物"の回収を終えた小平太も御堂に入り、奥へと足を運ぶ。先程と違いがあれば、七つの背負子 を抱えている事だろう。
小平太から背負子 を受け取り、皆は俵の縄を切る。俵の中には炭、薪、木皿、木椀等の木工品が仕込まれていた。これらは全て、荷物運びに変装する為に使用する小道具なのだ。
この先は三つの組に分かれ、半町(50メートル)の間隔を空けて歩く事となる。街道に行き交う行商人や馬借に紛れ込み、人々を目眩しとして利用する手立てなのだ。
先頭を歩く文次郎、仙蔵、○○。ボロボロの笠を被り、背負子 には、炭の束が積まれている。
真ん中に位置する小平太、長次。背負子 には、文次郎達の数倍の量を誇る薪の束が積まれている。
最後尾の留三郎、伊作。背負子 には他の面々と異なり、木製の器を入れた俵が括り付けられている。
「なぁ、仙蔵。留三郎が言っていた五年の連中の事だけどよぉ」
先頭を歩く文次郎は、小声で仙蔵に話し掛けた。話の内容は、一つ下の五年生についてだ。
更に詳しく掘り下げるなら、五年ろ組の鉢屋三郎の変装術が、来年の実習時に上手く活用されれば、難なくこなせてしまうのではないかという。
ただ一人、会話に加わらない○○は、鉢屋三郎の変装術が実習で上手く活用されようが、"そもそも、その様な事態に事を運ばせない学園側に、細工を仕掛けられるだろう"と思っている。
それよりも忍務を遂行させて、文次郎がどことなく気が緩んでいるのではないかと、○○が今、この場で言い放つ事はまだ無い。
そんな中、前方から馬に騎乗した侍とそれに従う足軽二人がこちらを歩いていたのが見えた。
文次郎と仙蔵も、小声の会話を中断する。
昨晩、六年生が起こした城の騒動から、見廻りに出ている物だと思うものの、七人は焦りを見せない。何故なら、事前に下見して慣れていた道であり、行き交う商人や馬借からも見廻りの有無についても聞き込みをしていたのだ。
「おい、そこの三人」
侍が文次郎、仙蔵、○○の行く手を阻む。
三人は立ち止まり、深く頭 を垂れる。侍が馬から降りると、三人の身なりを注意深く見つめている。
後ろから、半町(50メートル)の間隔で歩いていた長次と小平太か近づいて来ていた。
「おい、先に行ってるぞ」
小平太は、侍に行く手を阻まれた三人に声を掛けた。行く手を阻まれた三人の横を通り過ぎ、長次と小平太が先頭を歩く。
「お、おう。あんまり先に行くなよ」
「仲間か」
「へい。近所の幼馴染でして、麦も蒔き終えたので」
今の六年生の面々は、"近隣の農村で七人全員、幼馴染として育ち、二毛作の麦の種蒔きを終え、出稼ぎをしている"という生い立ちを抱えている設定だ。
侍が頭を上げる様に声を掛けると、頭 を垂れていた三人は言われた通りに動く。
「運んでいる物が違うが……」
侍は、三人の横を通り過ぎた長次と小平太の背負子 に積まれた薪を指した。
「あいつらの方が、力がありますので」
『私達よりも体力・筋肉を付けており、力仕事は専ら、あの二人の役割です』
「なるほど。確かにな」
侍は、大柄な二人と小柄な仙蔵と○○を見比べ、一人で納得した。
見た目だけで吟味され、侮られる仙蔵や○○ではない。実際は足軽二人を軽々と、騎乗していない侍相手にも太刀打ちできる筋力は身についている。
だが、相手はそんな事など露知らず。自分達の見た目を比較対象にして且つ、説得力を増加させる。相手が納得して疑う余地もないと判断したら、それはもう二人の勝利だ。
「おい、後ろから来るあの二人……」
今度は、文次郎の後ろに指をさした。
後方から歩いてくる留三郎と伊作の姿が見える。
「あれもお前達の仲間か?」
「いや、違いますって。あんな奴」
文次郎は、犬猿の仲である留三郎相手という事もあってか、いつもの調子で答えてしまった。
「ふむ、そうか……」
侍は黙る。留三郎と伊作が、近くに来るのを待っているのだろう。
七人は幼馴染の筈が、文次郎の発言により、侍はそれを疑い始めた。もし、留三郎が小平太の様に声を掛けたきたら、侍は文次郎の言葉を嘘だと断定しかねない。
文次郎は横目で仙蔵を見た。戦いの合図を出しているのかと思えば、仙蔵は平然とした様子で居るのだ。
「先に行ってるからね」
近くまで歩いてきた伊作に声を掛けられた文次郎だが、小平太の時の様な返事をしなかった。
ただ、仙蔵から戦いの合図が出されるのを待つだけである。
「お侍さん」
その時、文次郎の隣を通り過ぎようとした留三郎が侍に話し掛けた。
「こいつ、何かしたんですか? 何を怪しんでいるのかは知りませんが……本当に怪しい奴なんで、気の済むまで調べてやって下さい。縄で縛り上げて下さっても……。こいつ、前に行った二人と同じ位の力持ちなのに、炭を運んで楽しようとする悪人ですから」
屈託のない笑顔で話した留三郎と、ボロボロの笠の下で鋭い眼をした文次郎と、対称的な二人の姿がそこにはあった。
「ちょ、ちょっと止めなよ」
伊作が留三郎を止めようとしたが、侍にもハッキリと見える様に、留三郎は文次郎に向けて舌を見せた。
「このバカ文次は、うちの村でも鼻つまみ者でして……」
あからさまな挑発に耐えた文次郎は、仙蔵を覗き見るも、動きが止まった。何故なら、仙蔵はそっぽを向いたまま、肩を小刻みに震わせていたからだ。
今度は、隣に立つ○○を見る。仙蔵の様に小刻みに震えている様子は見られない。だが、鼻を啜る為に置かれた手の隙間から、口元が緩んでいるのが見て取れた。
仙蔵、留三郎、○○はグルだ。
自身の有る事無い事を好き勝手に述べ、この場で留三郎への怒りを発露させる手立てなのだと、文次郎は仙蔵の読みを理解した。それが分かれば、文次郎が次に移す動きは速いものだ。
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※豪華版パンフ小説パート
※ネタバレあり
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経塚の近辺の森の中に身を潜める六年生の面々は、達成感を味わっていた十五歳の少年から、忍を志す者へと戻っていた。
夜が明けて、空が明るくなるのが分かると、六年生の面々は忍装束を脱ぎ、裏返す。炭や泥等の汚れが目立つ、至る箇所が継ぎ接ぎだらけの服へと変わり、着替えていく。
小平太は巨木を登り始め、大木の上方に縛り付けられている"とある物"の回収へと向かう。
その間、残りの面々は御堂の扉を開け、中へと入る。御堂の奥に仏像の描かれた掛け軸、小ぶりの俵が積まれている。
"とある物"の回収を終えた小平太も御堂に入り、奥へと足を運ぶ。先程と違いがあれば、七つの
小平太から
この先は三つの組に分かれ、半町(50メートル)の間隔を空けて歩く事となる。街道に行き交う行商人や馬借に紛れ込み、人々を目眩しとして利用する手立てなのだ。
先頭を歩く文次郎、仙蔵、○○。ボロボロの笠を被り、
真ん中に位置する小平太、長次。
最後尾の留三郎、伊作。
「なぁ、仙蔵。留三郎が言っていた五年の連中の事だけどよぉ」
先頭を歩く文次郎は、小声で仙蔵に話し掛けた。話の内容は、一つ下の五年生についてだ。
更に詳しく掘り下げるなら、五年ろ組の鉢屋三郎の変装術が、来年の実習時に上手く活用されれば、難なくこなせてしまうのではないかという。
ただ一人、会話に加わらない○○は、鉢屋三郎の変装術が実習で上手く活用されようが、"そもそも、その様な事態に事を運ばせない学園側に、細工を仕掛けられるだろう"と思っている。
それよりも忍務を遂行させて、文次郎がどことなく気が緩んでいるのではないかと、○○が今、この場で言い放つ事はまだ無い。
そんな中、前方から馬に騎乗した侍とそれに従う足軽二人がこちらを歩いていたのが見えた。
文次郎と仙蔵も、小声の会話を中断する。
昨晩、六年生が起こした城の騒動から、見廻りに出ている物だと思うものの、七人は焦りを見せない。何故なら、事前に下見して慣れていた道であり、行き交う商人や馬借からも見廻りの有無についても聞き込みをしていたのだ。
「おい、そこの三人」
侍が文次郎、仙蔵、○○の行く手を阻む。
三人は立ち止まり、深く
後ろから、半町(50メートル)の間隔で歩いていた長次と小平太か近づいて来ていた。
「おい、先に行ってるぞ」
小平太は、侍に行く手を阻まれた三人に声を掛けた。行く手を阻まれた三人の横を通り過ぎ、長次と小平太が先頭を歩く。
「お、おう。あんまり先に行くなよ」
「仲間か」
「へい。近所の幼馴染でして、麦も蒔き終えたので」
今の六年生の面々は、"近隣の農村で七人全員、幼馴染として育ち、二毛作の麦の種蒔きを終え、出稼ぎをしている"という生い立ちを抱えている設定だ。
侍が頭を上げる様に声を掛けると、
「運んでいる物が違うが……」
侍は、三人の横を通り過ぎた長次と小平太の
「あいつらの方が、力がありますので」
『私達よりも体力・筋肉を付けており、力仕事は専ら、あの二人の役割です』
「なるほど。確かにな」
侍は、大柄な二人と小柄な仙蔵と○○を見比べ、一人で納得した。
見た目だけで吟味され、侮られる仙蔵や○○ではない。実際は足軽二人を軽々と、騎乗していない侍相手にも太刀打ちできる筋力は身についている。
だが、相手はそんな事など露知らず。自分達の見た目を比較対象にして且つ、説得力を増加させる。相手が納得して疑う余地もないと判断したら、それはもう二人の勝利だ。
「おい、後ろから来るあの二人……」
今度は、文次郎の後ろに指をさした。
後方から歩いてくる留三郎と伊作の姿が見える。
「あれもお前達の仲間か?」
「いや、違いますって。あんな奴」
文次郎は、犬猿の仲である留三郎相手という事もあってか、いつもの調子で答えてしまった。
「ふむ、そうか……」
侍は黙る。留三郎と伊作が、近くに来るのを待っているのだろう。
七人は幼馴染の筈が、文次郎の発言により、侍はそれを疑い始めた。もし、留三郎が小平太の様に声を掛けたきたら、侍は文次郎の言葉を嘘だと断定しかねない。
文次郎は横目で仙蔵を見た。戦いの合図を出しているのかと思えば、仙蔵は平然とした様子で居るのだ。
「先に行ってるからね」
近くまで歩いてきた伊作に声を掛けられた文次郎だが、小平太の時の様な返事をしなかった。
ただ、仙蔵から戦いの合図が出されるのを待つだけである。
「お侍さん」
その時、文次郎の隣を通り過ぎようとした留三郎が侍に話し掛けた。
「こいつ、何かしたんですか? 何を怪しんでいるのかは知りませんが……本当に怪しい奴なんで、気の済むまで調べてやって下さい。縄で縛り上げて下さっても……。こいつ、前に行った二人と同じ位の力持ちなのに、炭を運んで楽しようとする悪人ですから」
屈託のない笑顔で話した留三郎と、ボロボロの笠の下で鋭い眼をした文次郎と、対称的な二人の姿がそこにはあった。
「ちょ、ちょっと止めなよ」
伊作が留三郎を止めようとしたが、侍にもハッキリと見える様に、留三郎は文次郎に向けて舌を見せた。
「このバカ文次は、うちの村でも鼻つまみ者でして……」
あからさまな挑発に耐えた文次郎は、仙蔵を覗き見るも、動きが止まった。何故なら、仙蔵はそっぽを向いたまま、肩を小刻みに震わせていたからだ。
今度は、隣に立つ○○を見る。仙蔵の様に小刻みに震えている様子は見られない。だが、鼻を啜る為に置かれた手の隙間から、口元が緩んでいるのが見て取れた。
仙蔵、留三郎、○○はグルだ。
自身の有る事無い事を好き勝手に述べ、この場で留三郎への怒りを発露させる手立てなのだと、文次郎は仙蔵の読みを理解した。それが分かれば、文次郎が次に移す動きは速いものだ。
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