ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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長次と○○は、足軽に扮して城内に潜り込む事に見事、成功した。
ここ五日間、足軽達は自分達の仕掛けた篝 火作戦に対して、相当参っている様子が見て取れる。足軽の一隊の足取りは軽やかとは言い難く、文次郎達の様な戦闘を好む輩の餌食にされても言い訳の仕様がない。
伊達に六年間、楽して忍術学園に在籍し続けている訳ではない。忍者になるべく鍛え抜かれた肉体は、数十人の足軽を軽々と薙ぎ倒す事が出来る。それは、長次と○○に限った話ではないのだが。
十五歳と思えぬ大柄で筋肉質な体型の長次と、同室の長次と小平太と比較すれば小柄だが、年相応の見た目をしている○○の凸凹コンビが足軽に扮し、双方共に違和感を持たれぬ様に絶妙なバランスを保たせるのが仙蔵の作戦の一つ。
もう一つとして、足軽の追ってから意図も簡単に逃れ、文を忍ばせられる○○の俊敏さを利用する。体力が保っている間、並外れた体力の持ち主の小平太を凌駕する○○の足の速さと、無理に足軽に絡まず、あくまで忍務時においての、事を荒立たせない適切な状況判断力を仙蔵は買っていた。
「もそ…これか」
月が天頂に差し掛かる頃、探し求めていた城主の不箱を発見した。
自分達以外の人間の気配が無い事を確認してから、○○は文箱を空け、文を忍ばせた。音を立てずに素早く箱を閉めると、初めから何も無かったかの様に、箱は元の位置に戻されている。
『ここまでは案外、あっけなかったな』
「もそ…伝達するとしよう」
篝 火作戦が思いもよらぬ方向に功を期した事で、難なく文を忍ばせる事に成功し、○○は小さく言葉を漏らす。
そんな○○を他所に、長次が準備を進める。梟 の鳴き声が二回、三回、二回と規則性のある回数で響いた。
『行こう』
作戦を遂行した○○の言葉に、長次は無言で頷く。長次もまた、小平太達の様な故意的に足軽に戦いを挑む事はしない。怒りの感情で不気味な笑みを浮かべ、六年生全員でも動きを止める事が困難になる程の暴れっぷりを見せなければ。
先程の梟 の鳴き声が作戦成功の合図であり、長次と○○の脱出の手助けをする文次郎と小平太が動き出す。当の本人達は、もし敵に追いつかれたら戦うしかないと嬉々にして言い放ち、仙蔵から、にべもない対応をされたのだが。
・
「敵襲だ!」
「今度こそ、敵が来たぞ!」
足軽の一隊が、塀の外から飛び交う声に反応を示す。外から、火がついた百雷銃 が投げ込まれると、銃声と酷似した音を立てた。
二十人程の足軽の一隊が門から飛び出し、松明 を持った二人の少年を発見する。長次と○○を逃がす為の囮となる、文次郎と小平太だ。
二人を追いかけるべく、足軽の一隊は門の外へと飛び出して行く。最後尾に居た長次と○○も同じく飛び出したものの、足軽の一隊から距離を離しつつ、森の木々の間に紛れる。
「完璧だ」
文次郎と小平太を見送り、長次と○○の帰還を待ち侘びていた仙蔵の声が聞こえた。
安堵する間もなく、今度は留三郎と伊作の二人とも合流しなければならない。三人は合流地点に指定した、経塚 の近くに建設された御堂の裏へと向かう。
経塚を通り過ぎ、御堂の裏へと回ると、留三郎と伊作の姿があった。
「お疲れ」
「ああ、ありがとう」
城から無事に脱出した長次と○○、文次郎と小平太を囮として送り込む事に成功した仙蔵を見て、笑顔を見せた伊作は仙蔵と握手を交わす。
「早かったな」
留三郎は、文箱に文を忍ばせるという忍務を何事もなく遂行させた長次と○○の顔を見てから、双方の肩を叩いて労る。
「もそ…お疲れさん」
『二人もお疲れ様』
「文次郎と小平太は、まだかな?」
この場に姿を見せない囮役の文次郎と小平太の安否を気にする伊作だったが、その言葉を聞いた仙蔵は眉を顰 めた。
「あいつらに、敵を撒いて逃げて貰わなくてはならんからな。余計な事をしていなければいいが………」
「いくらあの二人だって、戦っていい時と場所は分かるだろう」
仮に自分達の足で追いつかれてしまうのならば、戦闘に持ち込むしかないと意気揚々としていた文次郎と小平太の姿を、仙蔵は思い出す。
しかし、留三郎は囮役の二人を擁護するかの様に、ピシャリと言い返した。
「もそ…留三郎は、文次郎の事を信用していると」
「え? そんなはずないだろう。俺は小平太の事を言っただけで、文次郎は知らん。いや、文次郎は馬鹿だから、戦ってるな。うん、戦ってる。ついでに負けて、泣いて戻って来る」
長次から、文次郎を気遣っていると留三郎からしたら、思わぬ事を突かれた事で、留三郎は狼狽える。
「なんだとー?」
すると今度は、森の奥から文次郎の声が聞こえた。皆の前に姿を見せたのは、囮役として足軽の一隊から逃げ切った文次郎と小平太だ。
徹頭徹尾、留三郎の発言を聞いていた文次郎は額を付き合わせて睨み合う。留三郎も負けじと額を押し付ける。
「誰が負けるだと、留ー!」
「お前に決まってんだろうが、文次ー!」
「じゃれあいは、忍術学園に帰ってからにしろ」
仙蔵は、喧嘩を開始する二人を気にかける事などせず、小さな焚き火を作り始める。○○達も同じく、二人の喧嘩を気にも留めない。
やがて、喧嘩が収束してから七人は六人は周りを囲うように座り、炎が戦いの緊張を解す。
「やったんだな、俺達」
「ああ、やった。上手くいった」
最高学年の六年生が毎年、この時期に行う忍務を自分達の代も遂行出来たと実感を湧いてくると、文次郎と留三郎の二人の意見が一致した。
『おぉ、珍しい事もあるもんだ』
「お前らの意見が合うとは、不気味だな」
「もそ…天気が荒れる前触れ」
「うるせー!!」
犬猿の仲の二人が、意気投合している様に不気味さを感じる六年ろ組の三人に向けて、またしても息もピッタリに言い放つ。
「あれ? 声まで、合わせちゃってるよ」
これには、留三郎と同室の伊作もクスクスと小さく笑うのであった。
「また、塀が高くなるんじゃないか? あいつら、どうするんだろう?」
小平太が、他人事の様にして無邪気な笑顔を見せた。"あいつら"というのは、自分達の一つ下の現五年生である。
「心配いらねーよ。変装に長けた鉢屋がいる。奴等なら、昼間に事を終えるかもしれんな」
『接近、遠距離とそれぞれの不安要素を補う得意武器は所持している。それでも実習の内容次第で、どう転ぶかかなぁ』
留三郎は、五年ろ組の鉢屋三郎の話題を出した。変装術なら忍術学園一の腕前を持ち、同室の不破雷蔵の姿を模倣している。一目見ただけでは、どちらが鉢屋か不破なのか六年生でさえ、開幕見当もつかない。
○○は、五年生全体の得意武器の評価をしつつも、学園側の提示する実習内容次第では、不合格にもなり得ないと踏んでいる。
頭脳明晰な久々知兵助、隠れた観察眼で策士とも噂される尾浜勘右衛門、熱い闘志を持ち合わせてる竹谷八左ヱ門、変装術以外にも、武道に長けている鉢屋三郎、迷い癖がありながらも優秀な不破雷蔵。彼らの実習風景を見る事は、卒業後の現六年生には叶わないのだ。
今年の代の七人が遂行した課題は、歴代六年生の面々も行っているものであり最も、忍術学園の存亡に関わるのだ。 ○○が文箱に入れた文には、このように記されている。
"このような所まで忍び込む不定の輩がいる故、戸締まりには充分に気を付けるが宜しき策かと思われます。さらに言えば、近辺にて騒ぎを起こさぬようにするのが、上策かと思われます。尚、この度の事、御領主様には内密のこと"
"戦などをすれば、直ぐに忍び入ってお前の寝首を掻いてやる"……、学園側からの警告状と捉えて差し支えない。忍術学園の近辺に住まう人々は、特定の領主に支配される事も、戦で被害を受けるでもなく、この十数年を平和に過ごしている。
これは、無駄な戦を避ける為に立てられた戦略。それを考えたのは、忍術学園現学園長であり、忍術界の重鎮とも言える、大川平次渦正だ。
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長次と○○は、足軽に扮して城内に潜り込む事に見事、成功した。
ここ五日間、足軽達は自分達の仕掛けた
伊達に六年間、楽して忍術学園に在籍し続けている訳ではない。忍者になるべく鍛え抜かれた肉体は、数十人の足軽を軽々と薙ぎ倒す事が出来る。それは、長次と○○に限った話ではないのだが。
十五歳と思えぬ大柄で筋肉質な体型の長次と、同室の長次と小平太と比較すれば小柄だが、年相応の見た目をしている○○の凸凹コンビが足軽に扮し、双方共に違和感を持たれぬ様に絶妙なバランスを保たせるのが仙蔵の作戦の一つ。
もう一つとして、足軽の追ってから意図も簡単に逃れ、文を忍ばせられる○○の俊敏さを利用する。体力が保っている間、並外れた体力の持ち主の小平太を凌駕する○○の足の速さと、無理に足軽に絡まず、あくまで忍務時においての、事を荒立たせない適切な状況判断力を仙蔵は買っていた。
「もそ…これか」
月が天頂に差し掛かる頃、探し求めていた城主の不箱を発見した。
自分達以外の人間の気配が無い事を確認してから、○○は文箱を空け、文を忍ばせた。音を立てずに素早く箱を閉めると、初めから何も無かったかの様に、箱は元の位置に戻されている。
『ここまでは案外、あっけなかったな』
「もそ…伝達するとしよう」
そんな○○を他所に、長次が準備を進める。
『行こう』
作戦を遂行した○○の言葉に、長次は無言で頷く。長次もまた、小平太達の様な故意的に足軽に戦いを挑む事はしない。怒りの感情で不気味な笑みを浮かべ、六年生全員でも動きを止める事が困難になる程の暴れっぷりを見せなければ。
先程の
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「敵襲だ!」
「今度こそ、敵が来たぞ!」
足軽の一隊が、塀の外から飛び交う声に反応を示す。外から、火がついた
二十人程の足軽の一隊が門から飛び出し、
二人を追いかけるべく、足軽の一隊は門の外へと飛び出して行く。最後尾に居た長次と○○も同じく飛び出したものの、足軽の一隊から距離を離しつつ、森の木々の間に紛れる。
「完璧だ」
文次郎と小平太を見送り、長次と○○の帰還を待ち侘びていた仙蔵の声が聞こえた。
安堵する間もなく、今度は留三郎と伊作の二人とも合流しなければならない。三人は合流地点に指定した、
経塚を通り過ぎ、御堂の裏へと回ると、留三郎と伊作の姿があった。
「お疲れ」
「ああ、ありがとう」
城から無事に脱出した長次と○○、文次郎と小平太を囮として送り込む事に成功した仙蔵を見て、笑顔を見せた伊作は仙蔵と握手を交わす。
「早かったな」
留三郎は、文箱に文を忍ばせるという忍務を何事もなく遂行させた長次と○○の顔を見てから、双方の肩を叩いて労る。
「もそ…お疲れさん」
『二人もお疲れ様』
「文次郎と小平太は、まだかな?」
この場に姿を見せない囮役の文次郎と小平太の安否を気にする伊作だったが、その言葉を聞いた仙蔵は眉を
「あいつらに、敵を撒いて逃げて貰わなくてはならんからな。余計な事をしていなければいいが………」
「いくらあの二人だって、戦っていい時と場所は分かるだろう」
仮に自分達の足で追いつかれてしまうのならば、戦闘に持ち込むしかないと意気揚々としていた文次郎と小平太の姿を、仙蔵は思い出す。
しかし、留三郎は囮役の二人を擁護するかの様に、ピシャリと言い返した。
「もそ…留三郎は、文次郎の事を信用していると」
「え? そんなはずないだろう。俺は小平太の事を言っただけで、文次郎は知らん。いや、文次郎は馬鹿だから、戦ってるな。うん、戦ってる。ついでに負けて、泣いて戻って来る」
長次から、文次郎を気遣っていると留三郎からしたら、思わぬ事を突かれた事で、留三郎は狼狽える。
「なんだとー?」
すると今度は、森の奥から文次郎の声が聞こえた。皆の前に姿を見せたのは、囮役として足軽の一隊から逃げ切った文次郎と小平太だ。
徹頭徹尾、留三郎の発言を聞いていた文次郎は額を付き合わせて睨み合う。留三郎も負けじと額を押し付ける。
「誰が負けるだと、留ー!」
「お前に決まってんだろうが、文次ー!」
「じゃれあいは、忍術学園に帰ってからにしろ」
仙蔵は、喧嘩を開始する二人を気にかける事などせず、小さな焚き火を作り始める。○○達も同じく、二人の喧嘩を気にも留めない。
やがて、喧嘩が収束してから七人は六人は周りを囲うように座り、炎が戦いの緊張を解す。
「やったんだな、俺達」
「ああ、やった。上手くいった」
最高学年の六年生が毎年、この時期に行う忍務を自分達の代も遂行出来たと実感を湧いてくると、文次郎と留三郎の二人の意見が一致した。
『おぉ、珍しい事もあるもんだ』
「お前らの意見が合うとは、不気味だな」
「もそ…天気が荒れる前触れ」
「うるせー!!」
犬猿の仲の二人が、意気投合している様に不気味さを感じる六年ろ組の三人に向けて、またしても息もピッタリに言い放つ。
「あれ? 声まで、合わせちゃってるよ」
これには、留三郎と同室の伊作もクスクスと小さく笑うのであった。
「また、塀が高くなるんじゃないか? あいつら、どうするんだろう?」
小平太が、他人事の様にして無邪気な笑顔を見せた。"あいつら"というのは、自分達の一つ下の現五年生である。
「心配いらねーよ。変装に長けた鉢屋がいる。奴等なら、昼間に事を終えるかもしれんな」
『接近、遠距離とそれぞれの不安要素を補う得意武器は所持している。それでも実習の内容次第で、どう転ぶかかなぁ』
留三郎は、五年ろ組の鉢屋三郎の話題を出した。変装術なら忍術学園一の腕前を持ち、同室の不破雷蔵の姿を模倣している。一目見ただけでは、どちらが鉢屋か不破なのか六年生でさえ、開幕見当もつかない。
○○は、五年生全体の得意武器の評価をしつつも、学園側の提示する実習内容次第では、不合格にもなり得ないと踏んでいる。
頭脳明晰な久々知兵助、隠れた観察眼で策士とも噂される尾浜勘右衛門、熱い闘志を持ち合わせてる竹谷八左ヱ門、変装術以外にも、武道に長けている鉢屋三郎、迷い癖がありながらも優秀な不破雷蔵。彼らの実習風景を見る事は、卒業後の現六年生には叶わないのだ。
今年の代の七人が遂行した課題は、歴代六年生の面々も行っているものであり最も、忍術学園の存亡に関わるのだ。 ○○が文箱に入れた文には、このように記されている。
"このような所まで忍び込む不定の輩がいる故、戸締まりには充分に気を付けるが宜しき策かと思われます。さらに言えば、近辺にて騒ぎを起こさぬようにするのが、上策かと思われます。尚、この度の事、御領主様には内密のこと"
"戦などをすれば、直ぐに忍び入ってお前の寝首を掻いてやる"……、学園側からの警告状と捉えて差し支えない。忍術学園の近辺に住まう人々は、特定の領主に支配される事も、戦で被害を受けるでもなく、この十数年を平和に過ごしている。
これは、無駄な戦を避ける為に立てられた戦略。それを考えたのは、忍術学園現学園長であり、忍術界の重鎮とも言える、大川平次渦正だ。
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