ドクタケ忍者隊 最強の軍師
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※原作小説パート
・
近畿地方の山奥に存在する、忍者の教育機関である全寮制の学校、忍術学園。
最高学年である六年生は、とある忍務の為に六年は組の長屋に集っていた。
潮江文次郎、中在家長次、七松小平太、名無し○○、善法寺伊作、食満留三郎の六名の姿が見える。
「お前達、疲れないの?」
夥 しい殺気の間に挟まれる小平太は腕枕をして、平然と寝転がっている。
視線の先には、文次郎と留三郎の二人が立っており、睨み合いの最中。
「もそ…課題は、これからなのに」
縁側に座る長次は、二人の殺気を気にも留めず、柿の木に止まる小鳥を眺める。
部屋の隅に居た伊作は、包帯巻き機のハンドルを回す。
○○も日常茶飯事の睨み合いを止める事もせず、ハンドルを回し続ける伊作の手を一点に見つめるだけ。
その時、部屋の奥の片隅で、鼠が床を走る音が聞こえた。
六人が、鼠の足音に気を取られている中、とある人物が姿を見せる。
「待たせたな」
最後の一人である、立花仙蔵。
部屋の奥の片隅に存在した鼠は、六人に気配を悟らせぬように入室する為に、仙蔵が仕掛けた。
「部屋に入る度に、小細工するなよ」
「あんな殺気が充満した中に、不用意に入れるか」
夥 しい殺気は、長屋の外に居た仙蔵に察知出来た。
腰を下ろした仙蔵は、懐から一枚の紙を取り出し、床に置く。
「城の見取り図だ」
忍務先の城の見取り図を、仙蔵を除いた六人が覗き込む様に見る。
「何だ、先代の六年が残していった見取り図と、変わりないじゃないか。少しは楽しみにしてたんだがな」
『仙蔵。今回はこの辺り、どうなってる?』
あからさまに、がっかりする小平太に気遣いの声掛けすらもなく、○○は見取り図に記された塀の位置を指す。
「十尺(3メートル)。てっぺんには、鉄針 が埋め込まれている」
先代が残した見取り図には、城を取り囲む塀は"七尺(2メートル)"と記されていた。
しかし今回は、その塀を嵩 上げし、鉄針を埋め込んだと言う。
「もそ……人は?」
「雑兵、組頭を入れて、七十という所だ。去年の倍だな。寝ずの番は五人増えて十人。半刻(1時間)に一度、別の十人が城の中を見回る」
「小者七十人で、寝ずの番十人の見回りが十人。随分、奮発してるじゃないか」
小平太は先程から一転して、満足そうな表情を浮かべた。
『周知の事実でも、それだけ警戒されているって事か』
忍術学園が周辺の領地に与えている影響力を知ってか、○○は、口角を上げている。
「先代の六年が忍び込む時、随分派手にやったみたいだからね。相手の怪我が、十人を超えたんだとか」
「先輩達は、戦闘好きだったからなー」
雑兵に同情する伊作であったが、留三郎は感慨にふけながら、一つ上の代の卒業生の姿が脳裏をよぎる。
「お前が言うな」
「あはは、お前も言うな」
「お前らが言うな」
文次郎・小平太に向けて、仙蔵は呆れた様子を隠さない。
「で、いつから始める? 今からでも良いぜ」
小平太の体は、今か今かと言わんばかりに、うずうずしている。
「焦るな。月が昇り始めてからだ」
「よーし、いけいけどんどんだ!」
お決まりの口癖が、六年は組の長屋にて大声で発された。
「腕が鳴るぜ。先代が十人の怪我人を出したのなら、此方は二十人超だな」
『えっ? それは、本来の目的と違くない?』
指を鳴らし、物騒な発言を自重しない留三郎の横で、物怖じしない態度で○○が口を挟む。
「今回の課題は、学園長先生より預かった文を城主の文箱に忍ばせる事のみだ。人を傷つける事が、我々の目的ではない。雑兵達に恨みを抱かせてどうする。それに、ここ何日もお前達にやらせた事が、全て無駄になる」
◇
三刻 (4時間)の後、満月が山間から顔を出す。
六年生の面々は、獣道を音も無く疾走し、見取り図に描かれた城が見渡せる場所へと到着した。
忍務先の城は領主が住む主城でなく、国境の出城である。
半刻後。
出城の門の前には、篝 火を焚いて、見張り番をする二人の門番が立っている。
門から五間(10メートル)離れた森の中に文次郎・仙蔵・小平太の三人が、音を立てない様に潜む。
「あいつら、まだなのか?」
小平太が指した"あいつら"とは、二手に分かれた長次、○○、留三郎、伊作の四名を指している。
「全く、留三郎は何をやらせても遅い!」
文次郎は、苛立ちを見せ、独り言を零す。
「慌てるな」
仙蔵は文次郎に対して、手短に叱った。
留三郎を含めた四人は、仙蔵達の居る場所から一町(100メートル)離れた林間にて、とある作業を行っている最中だ。
どうやら作業を終え、準備の手筈が整ったのか。
留三郎と伊作と行動していた長次と○○の二人が、仙蔵達と合流した。
すると突然、一町(100メートル)先にある林間から赤い光が漏れ出した。
木々の下で、伊作と留三郎が篝火を焚いており、木々のてっぺんは煌々と照らされている。
煙が昇り始め、炎が出現する。
同時に、法螺貝 と太鼓の音が聞こえてきた。
「敵襲だ!」
留三郎と伊作の仕掛けた法螺貝 と太鼓の音、林間から立ち昇る煙に反応した門番達は、門の中に消えていった。
木鐸を打ち鳴らす音が響き、武装した足軽の一隊が門を出てくると、留三郎と伊作の居る林を目指して、向かい始める。
「何人出ていった」
「十人」
『思ったより、少ないな』
仙蔵の問いかけに対し、足軽の数を見逃す事なく、長次が返答した。
各々が林間に目を向けると、出現した炎の威力が弱まっている。
足軽達が、この敵襲は篝 火である事に気がつき、消火しているのだ。
「そろそろだな……長次、○○。用意は出来ているか」
『おぉ』
「もうすっかり」
長次と○○は、足軽達と同じ衣装を身に纏っていた。
仙蔵の言葉に頷いてから、足軽の一隊と合流すべく、走り出して行く。
作戦遂行を果たすべく、足軽に扮した二人を見送る仙蔵の背後には、文次郎と小平太が居る。
「仙蔵、今から遅くない。私も行ってやっても良いぞ」
「二人で行かなければならないと、決まっている訳ではない。全員で行くのはどうだ?」
長次と○○、文次郎と小平太のペアで作戦を遂行させようと予め考えていた仙蔵は、二人の言い分に聞く耳を持たない。
「諦めろ。今回は、私が軍目付 役なんだ。私の指示に従え」
「はいはい。クジで決まった軍目付 様」
誇張して言い放つ小平太は、まるで不貞腐れた子供。
消火を終えた足軽の一隊の足音が聞こえるも、足取りは重く、疲れ切っている。
五日の間、六年生達が毎夜、"敵襲"と見せ掛けた篝 火作戦を行われ、足軽達は肉体的にも精神的にも疲れが抜け切ってない。
足軽の一隊の最後尾に、長次と○○の姿があった。
○○はほんの一瞬だけ、文次郎・仙蔵・小平太に視線を向けてすぐ、足軽の一隊に視線を戻す。
「やれやれ、また悪戯かよ。こう毎晩叩き起されちゃ、たまんないよな」
足軽の一隊に所属する、一人の足軽が最後尾を歩く長次に、声を掛けた。
「もそ……」
「そうか、そうか。口も聞けない程、疲れてるか」
"肉体的にも精神的にも疲れ切っている"と思い込ませ、足軽も微塵も疑う様子を見せず、一人で納得していた。
足軽の一隊が門の中へ消えて行くと、門は閉じられた。
門番の姿も見当たらず、城に立て篭もる事を選んだのだろう。
「いけいけどんどーんと、飛び出して行きたいなぁ」
「ギンギン……血が騒ぐぜ」
"文箱に文を忍ばせる"という忍務は、迅速かつ如何なる状況に対面しても、冷静に対処しなければならない。
文次郎・小平太・留三郎のような、血の気が盛んで戦闘を好む者は、雑兵との勝負を優先しかねない。
不運がなければ、技の切れ味が一番と言われる伊作も、不運体質であるのは変わらない。
「堪えろ。城を落とせという課題が出たら、お前達をこき使ってやるから」
「おう!」
「期待してるぜ、仙蔵」
喜の感情を露わにする文次郎と小平太には、仙蔵は苦笑するしかない。
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※原作小説パート
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近畿地方の山奥に存在する、忍者の教育機関である全寮制の学校、忍術学園。
最高学年である六年生は、とある忍務の為に六年は組の長屋に集っていた。
潮江文次郎、中在家長次、七松小平太、名無し○○、善法寺伊作、食満留三郎の六名の姿が見える。
「お前達、疲れないの?」
視線の先には、文次郎と留三郎の二人が立っており、睨み合いの最中。
「もそ…課題は、これからなのに」
縁側に座る長次は、二人の殺気を気にも留めず、柿の木に止まる小鳥を眺める。
部屋の隅に居た伊作は、包帯巻き機のハンドルを回す。
○○も日常茶飯事の睨み合いを止める事もせず、ハンドルを回し続ける伊作の手を一点に見つめるだけ。
その時、部屋の奥の片隅で、鼠が床を走る音が聞こえた。
六人が、鼠の足音に気を取られている中、とある人物が姿を見せる。
「待たせたな」
最後の一人である、立花仙蔵。
部屋の奥の片隅に存在した鼠は、六人に気配を悟らせぬように入室する為に、仙蔵が仕掛けた。
「部屋に入る度に、小細工するなよ」
「あんな殺気が充満した中に、不用意に入れるか」
腰を下ろした仙蔵は、懐から一枚の紙を取り出し、床に置く。
「城の見取り図だ」
忍務先の城の見取り図を、仙蔵を除いた六人が覗き込む様に見る。
「何だ、先代の六年が残していった見取り図と、変わりないじゃないか。少しは楽しみにしてたんだがな」
『仙蔵。今回はこの辺り、どうなってる?』
あからさまに、がっかりする小平太に気遣いの声掛けすらもなく、○○は見取り図に記された塀の位置を指す。
「十尺(3メートル)。てっぺんには、
先代が残した見取り図には、城を取り囲む塀は"七尺(2メートル)"と記されていた。
しかし今回は、その塀を
「もそ……人は?」
「雑兵、組頭を入れて、七十という所だ。去年の倍だな。寝ずの番は五人増えて十人。半刻(1時間)に一度、別の十人が城の中を見回る」
「小者七十人で、寝ずの番十人の見回りが十人。随分、奮発してるじゃないか」
小平太は先程から一転して、満足そうな表情を浮かべた。
『周知の事実でも、それだけ警戒されているって事か』
忍術学園が周辺の領地に与えている影響力を知ってか、○○は、口角を上げている。
「先代の六年が忍び込む時、随分派手にやったみたいだからね。相手の怪我が、十人を超えたんだとか」
「先輩達は、戦闘好きだったからなー」
雑兵に同情する伊作であったが、留三郎は感慨にふけながら、一つ上の代の卒業生の姿が脳裏をよぎる。
「お前が言うな」
「あはは、お前も言うな」
「お前らが言うな」
文次郎・小平太に向けて、仙蔵は呆れた様子を隠さない。
「で、いつから始める? 今からでも良いぜ」
小平太の体は、今か今かと言わんばかりに、うずうずしている。
「焦るな。月が昇り始めてからだ」
「よーし、いけいけどんどんだ!」
お決まりの口癖が、六年は組の長屋にて大声で発された。
「腕が鳴るぜ。先代が十人の怪我人を出したのなら、此方は二十人超だな」
『えっ? それは、本来の目的と違くない?』
指を鳴らし、物騒な発言を自重しない留三郎の横で、物怖じしない態度で○○が口を挟む。
「今回の課題は、学園長先生より預かった文を城主の文箱に忍ばせる事のみだ。人を傷つける事が、我々の目的ではない。雑兵達に恨みを抱かせてどうする。それに、ここ何日もお前達にやらせた事が、全て無駄になる」
◇
六年生の面々は、獣道を音も無く疾走し、見取り図に描かれた城が見渡せる場所へと到着した。
忍務先の城は領主が住む主城でなく、国境の出城である。
半刻後。
出城の門の前には、
門から五間(10メートル)離れた森の中に文次郎・仙蔵・小平太の三人が、音を立てない様に潜む。
「あいつら、まだなのか?」
小平太が指した"あいつら"とは、二手に分かれた長次、○○、留三郎、伊作の四名を指している。
「全く、留三郎は何をやらせても遅い!」
文次郎は、苛立ちを見せ、独り言を零す。
「慌てるな」
仙蔵は文次郎に対して、手短に叱った。
留三郎を含めた四人は、仙蔵達の居る場所から一町(100メートル)離れた林間にて、とある作業を行っている最中だ。
どうやら作業を終え、準備の手筈が整ったのか。
留三郎と伊作と行動していた長次と○○の二人が、仙蔵達と合流した。
すると突然、一町(100メートル)先にある林間から赤い光が漏れ出した。
木々の下で、伊作と留三郎が篝火を焚いており、木々のてっぺんは煌々と照らされている。
煙が昇り始め、炎が出現する。
同時に、
「敵襲だ!」
留三郎と伊作の仕掛けた
木鐸を打ち鳴らす音が響き、武装した足軽の一隊が門を出てくると、留三郎と伊作の居る林を目指して、向かい始める。
「何人出ていった」
「十人」
『思ったより、少ないな』
仙蔵の問いかけに対し、足軽の数を見逃す事なく、長次が返答した。
各々が林間に目を向けると、出現した炎の威力が弱まっている。
足軽達が、この敵襲は
「そろそろだな……長次、○○。用意は出来ているか」
『おぉ』
「もうすっかり」
長次と○○は、足軽達と同じ衣装を身に纏っていた。
仙蔵の言葉に頷いてから、足軽の一隊と合流すべく、走り出して行く。
作戦遂行を果たすべく、足軽に扮した二人を見送る仙蔵の背後には、文次郎と小平太が居る。
「仙蔵、今から遅くない。私も行ってやっても良いぞ」
「二人で行かなければならないと、決まっている訳ではない。全員で行くのはどうだ?」
長次と○○、文次郎と小平太のペアで作戦を遂行させようと予め考えていた仙蔵は、二人の言い分に聞く耳を持たない。
「諦めろ。今回は、私が
「はいはい。クジで決まった
誇張して言い放つ小平太は、まるで不貞腐れた子供。
消火を終えた足軽の一隊の足音が聞こえるも、足取りは重く、疲れ切っている。
五日の間、六年生達が毎夜、"敵襲"と見せ掛けた
足軽の一隊の最後尾に、長次と○○の姿があった。
○○はほんの一瞬だけ、文次郎・仙蔵・小平太に視線を向けてすぐ、足軽の一隊に視線を戻す。
「やれやれ、また悪戯かよ。こう毎晩叩き起されちゃ、たまんないよな」
足軽の一隊に所属する、一人の足軽が最後尾を歩く長次に、声を掛けた。
「もそ……」
「そうか、そうか。口も聞けない程、疲れてるか」
"肉体的にも精神的にも疲れ切っている"と思い込ませ、足軽も微塵も疑う様子を見せず、一人で納得していた。
足軽の一隊が門の中へ消えて行くと、門は閉じられた。
門番の姿も見当たらず、城に立て篭もる事を選んだのだろう。
「いけいけどんどーんと、飛び出して行きたいなぁ」
「ギンギン……血が騒ぐぜ」
"文箱に文を忍ばせる"という忍務は、迅速かつ如何なる状況に対面しても、冷静に対処しなければならない。
文次郎・小平太・留三郎のような、血の気が盛んで戦闘を好む者は、雑兵との勝負を優先しかねない。
不運がなければ、技の切れ味が一番と言われる伊作も、不運体質であるのは変わらない。
「堪えろ。城を落とせという課題が出たら、お前達をこき使ってやるから」
「おう!」
「期待してるぜ、仙蔵」
喜の感情を露わにする文次郎と小平太には、仙蔵は苦笑するしかない。
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