.



『一ヶ月……』
「じゃあ、やっぱり……！」
「このワンワンは、ボクの意のまま………やっちまえーー！！」


イギーから命令を下される、勢いを付けたワンワンはマリオ達の元へと突進した。大きな図体をしていた為に、マリオ達も回避する事が出来ずにダメージを受けた。


「ファイアボールだ！ 喰らえっ！」


マリオは狙いを定めて、ファイアボールを繰り出したが___、ワンワンはファイアボールをパクッと口に含んでしまうと、お返しと言わんばかりに炎を吐き出した。


「ワンワン、もっとやっちゃえー！」


ワンワンの攻撃は止まらず、マリオや🌸達に口内に閉じ込め、手加減する事もなく噛み始めていく。


「ヨッシー！ 何とかしてくれ〜〜！」


ただ一人、ワンワンの攻撃から逃れていたヨッシーにマリオは助けを求めた。自分が金網から救ったワンワンならば、話が通じるのかもしれない……、そう思ったヨッシーは、ワンワンの元へ近づいていく。


「ワンワン、お手！」


背後からヨッシーの声を聞いたワンワンは、噛むのを止めて振り向くと、ヨッシーの顔を見た。

しかし____、ワンワンはお手に反応する事もなく、代わりにヨッシーの頭部に噛みついた。


「お前らは、ここでおしまいだ！ 全ては、ボクの計算通り！」


部屋の中で、イギーの高笑いが響いた。巨大ワンワンの猛攻にマリオ達は一方的に押されている展開となり、誰も攻撃する事が出来ずにいた。


ワンワンの突進を受けたヨッシーが壁に叩きつけられると_____、背中に付けた鞍にしまっていた、間食用の食べ物が溢れ出てきた。


「あ〜！ わたしの好物が〜！」
「どんだけ持ってんだよー！」


しまっていた食べ物の多さに、マリオがツッコミを入れた中で_____、ワンワンは"クリボーの干し肉"を目にすると再び、ヨッシーの元へと突進し始めた。


「ひ〜〜！ また来た〜〜！」


ヨッシーが叫び声を上げていた中_____、ワンワンはニッコリと笑顔を浮かべながら、舌を使ってヨッシーをベロベロと舐め始めていく。


「キャイ〜ン♡ キャイ〜〜ン♡」


先程までの凶暴なまでのワンワンとは全く違い、ヨッシーに対して懐いている様子を見せた事で、🌸ときいろキノピオは確信がついた。


「やっぱり、さっきのワンワンだったんだ！」


自分達に襲いかかってきたワンワンの正体が、ヨッシーが金網にハマっていたのを助けた、痩せ細ったワンワンであると分かると_____、ワンワンは主人である筈のイギーに標的を変えていき、攻撃を仕掛け始めていく。


「んわ〜……、あまりに悲惨で見てられない」
『見たくないなら、手で塞ぎなって。それにしても、イギー痛そう〜』
「どっちもしっかり見てるじゃん！」


ワンワンの猛攻を受け、叫び声を上げるイギーに対して、口ではそう言いながらもしっかりとその光景を目にしていたマリオと🌸に、ルイージがツッコミを入れた。




こうして、ワンワンの活躍により____、イギーはボロボロの状態となり、戦闘不能となっていた。


「く〜〜〜………、何でこうなるの〜〜？？」
「計算通りに、いかない事もあるんだよ」


ヨッシーとワンワンとの関わりについてまでは、計算外であったイギーがうつ伏せになりながら、そう言った。それを見たマリオは、計算だけが全てじゃないとイギーに言う。


「ワンワン、ありがとね！」
「ワウ〜ン♡」


ヨッシーは、今回の戦いのMVPでもあるワンワンに感謝の言葉を述べた。それを聞いたワンワンも笑顔を浮かべ、二人の間の絆が、より深まったのだ。


「今回は、ヨッシーに助けられたな」
「そうだね」


ヨッシーとワンワンの微笑ましい光景を見て、マリオとルイージは二人の活躍を称えた。


「ガウ♡ ガウガウ♡」


すると____、笑顔を浮かべたワンワンはヨッシーの元に向かうと、口内にヨッシーを入れるや否や、甘噛みし始めた。


「んわ〜〜！ また、おかしくなっちゃったんですか〜！？」
「それは、愛情表現だと思うぞ」
『可愛い〜♡』



.