.



全てのシャインが太陽の門へと集まり、ドルピック島は元の平和な姿を取り戻した。

冤罪（えんざい）を掛けられていたマリオと🌸もクッパ親子を撃破した事で容疑が晴れ、改めて島でのバカンスを楽しんでいた。そしてキノコ王国へ帰国する日を迎え、キノじいがマリオ達に声を掛ける。




「みなさーん！ そろそろ、キノコ王国へ帰りますよー！」
「えー、もう帰っちゃうの〜〜？ もっと遊びたいよー」
「マリオさん、すっかり島の人になりきってますね」


バカンスを楽しむあまりに、お土産ショップに売られていたモンテ族セットを身にまとっていたマリオを見て、ヨッシーはツッコミを入れた。


『なんかあっという間でしたね』
「少し寂しいけど、沢山買い物も出来たから満足よ」


服屋や雑貨屋などの島中の店に訪れたピーチ姫は、厳選した中で購入した商品の箱を持ちながら、🌸との会話を楽しむ。

ピーチ姫が持っているのは自身が購入した商品の半分に過ぎず、残りの箱はマリオと🌸が運ぶ個数の関係で揉めない様にと均等に運んでいた。




キノコ王国行きの飛行機がエアポートに用意していると伝えられた。キノじいの案内を受けて、マリオ達はその場所へと向かっていく。


「さぁみなさん、この飛行機に………、あーーっ！！」


エアポートに着くなり、キノじいの大きな声が響いた。マリオ達は何事かと思うと_____、用意されていた飛行機のボディやエンジン部分が、見る影もない程に破壊されていたのであった。


「これじゃ、すぐ飛べないわね……」
『酷い事するなぁ』
「こんな事をやるのは、クッパ達に決まってるだろ！」


キノじいは飛行場に居た整備士に声を掛けると、破壊された飛行機の様子を見て貰う事となった。


難しい顔を浮かべながら、機体を見ていた整備士をよそに______、遠方から、マリオと🌸を呼ぶ声が聞こえてきた。


「おーーい！ マリオさーん！ 🌸さーん！」


二人が声の聞こえる方向に顔を向けると_____、ピンナ島の"ピンナパーク"の園長であるマーレ族がエアポートに向かって走ってきていたのである。


「延長じゃん」
「園長（えんちょう）です！ 伸ばさないで〜〜！」


再会するや否や、マリオは笑顔を浮かべながら園長の顔を縦に伸ばすボケを繰り出した。


「お二人共、もう帰るんですって？」
『うん。沢山楽しんだからね』
「"ピンナパーク"でも、色々あったよな」


ニセマリオに扮したクッパJrと攫われたピーチ姫を追いかける為に、"ピンナパーク"を訪れたマリオ達であったが、園内に蔓延（はびこ）っていた問題を解決する為に奔走したのは今となれば、良い思い出となっていた。


「もう少し居て下さいよ」
「悪いけど、もう帰んなきゃいけないし」


園長の言葉にマリオがそう返事をすると、園長はおもむろに一枚のコピー用紙を取り出した。

そこにはイラストが描かれており、マリオと🌸がアナコンダと戦うというヒーローショーの宣伝ポスターであった。


「せっかく、出し物も考えたのに……」
「絶対やるかーー！」
『誰が見に来るの？』


笑みを浮かべながら自信ありげに宣伝ポスターを見せてきた園長に、マリオと🌸はツッコミを入れた。


「マリオさん達には、お世話になりましたからね。良い物を用意してきたんです……、帰られる思い出に作らせたんです」


園長が指した場所には_____、洋風建築が施（ほどこ）されたメルヘン調且（か）つ煙突付きの小屋が建設されていた。


『何あれ？』
「"ドリームハウス"！ 一度入ったら、出るのが嫌になる程に楽しい夢の家ですよ」
『へぇ……、見た目は可愛い家だね』
「早速、入らせてもらおうか」


マリオと🌸、ヨッシーも加えて、"ドリームハウス"と名が付けられた小屋へと赴いていく。


扉を開けて足を踏み入れた瞬間______、粘着性のあるシートによって足を上げられず、その場で転ぶと今度は体全体がシートにくっつく形となってしまった。


「ね？ 出たくないでしょ？」
「ていうか……、出られねぇじゃん！」
「わたし達は、ゴキブリですかー！」


小屋の正体がゴキブリホイホイである事が分かると、マリオとヨッシーはツッコミを入れた。


三人は時間を掛け、自力でゴキブリホイホイから脱出したものの疲れが蓄積（ちくせき）されていた。


「マリオさん、🌸さん。偉い目に遭いましたね」


マリオ達が汗を拭きながら、疲れている様子であった所に声を掛けたのは______、"シレナビーチ"にて"ホテル・デルフィーノ"の支配人を務めているモンテ族だった。


『支配人も見送りに来てくれたの？』
「見送りなんてとんでもない………、わたしのホテルで働かせようと思って」
「態度デカッ！」
「また働かす気ですか〜〜？」


かつて、自分達のやらかしにより"ホテル・デルフィーノ"で働かされた事があるマリオ達はあからさまに嫌な顔を見せたが、村長はニッコリと笑顔を浮かべ、大量の果物（フルーツ）を取り出した。


「冗談ですよ。ドルピック島自慢の果物（フルーツ）を持ってきたんです。この島の思い出に、沢山食べて下さい」


バナナ、パイナップル、マンゴー……、この島で採れる果物（フルーツ）に釘付けになっていたヨッシーは、ごくっと喉を鳴らした。


「そして、わたし達の事………、忘れないで下さいね」
「支配人………っ、………」


支配人が涙を見せると、場の雰囲気につられてマリオ達も思わず涙を流していた。


マリオ達が支配人からの感謝の気持ちである果物（フルーツ）を食べ始めると______、支配人は懐から計算機を取り出し、ポチポチとボタンを打ち始めていく。


「バナナにパイナップル、オレンジにパパイヤ……、しめて、10,000コインですね」
「金（コイン）取るのかよー！」
『しかも高っ』
「ちょっぴりほろっとさせた分、10コイン追加……、と」


またあのホテルで働かされるのか……、と、マリオが思っていた時、岩場の影に潜んでいたある人物が釣竿を構える。マリオの顔面に向けて、いくつもの釣り針を飛ばしていった。



.