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『よく見ると、ここの海だけなんか汚いね』
「おかげで、思いっきりダメージ受けちまったよ」


マリオも🌸と同じく、紫がかって変色した海を見ながら愚痴を零（こぼ）した。


「でも、師匠のおかげで助かったでしょ」
「余計ダメージ受けたわー！」


弟子マーレの一言を聞いてから、自分がダメージが受けた事に変わりないとマリオはツッコミを入れた。


「力（パワー）が溢れてる証拠ですよ。師匠と二人で、マリオさん達が来るのを待ってたんです」
「おう」


釣老マーレが一言しか発さなかったものの、マリオはその意図が読み取れず、弟子マーレに助けを求めた。


「おう……、って？」
「ワシの願いが通じたようじゃ。マリオ殿ならこの汚れた海をキレイにしてくれるに違いない……、と師匠はおっしゃっています」
「そんなに長い事、喋ってねーだろ！変なジジィに構ってないで行くぞ！」


付き合いきれないと分かったマリオは🌸達に声を掛けるも_____、釣老マーレは釣竿を取り出して振り上げると、マリオの顔面の至る所に釣り針を引っ掛けていく。


「秘技、釣千本！！」


釣老マーレの見事な手さばきを目の当たりにし、ヨッシーは歓声を上げた。


「凄いです、師匠！ 師匠ならきっと、わたし達の力をアップして下さる！」
「ほーっほっほっほっほっ」
「任せなさい、ここで海の水をキレイにする修行をすれば、必ずや力（アップ）アップするぞ！……、と、おっしゃっています」
「笑ってるだけじゃん！」


弟子マーレの通訳が強引ではないかと疑うマリオはツッコミを入れた。


ヨッシーは釣老マーレの力を信じきっているが、マリオと🌸はイマイチ信用出来ないでいた。


『ホントに、力（パワー）アップするのかなー』
「なー、胡散くせー」
「二人には、師匠の凄いオーラが見えないんですか！？ 感じないって、言い切れますか！」


ヨッシーは五円玉を結んだ紐（ひも）をマリオと🌸の前に取り出すと、振り子の原理で左右に動かしていく。


「催眠術じゃねーか！」
『それで感じられたら苦労しないよ……、……苦労…………、………ハえ？？』


マリオはツッコミを入れて効果を受けていなかったが、🌸は次第に_____、五円玉に視線が釘付けになると、目には渦巻き模様が現れ始めていく。

🌸に催眠が効いたと分かると、ヨッシーは怪しく笑った。


「さぁ、🌸さん。師匠のオーラは、凄いですよね？」
『ハイ！ すゴイです！』
「はぁ？」


先程まで、マリオと同じく胡散臭いと言っていた筈の🌸は催眠術を掛けられた事で、すっかりとヨッシーの言いなりの様に賛同していた。


「催眠術が成功しました！ それじゃ……、ついでに、わたしの事がもっと好きになる催眠も掛けておきますか♡」
「最後のは、いらねーだろ」


ヨッシーは再び、催眠術を掛けていく。今度は、🌸の両頬が赤く染まっていき、ヨッシーを見ながら体が火照り始めていた。


『ヨッしー、すキ♡』
「もう〜、🌸さんってば♡ みんな見てるんですよ〜♡」
「お前がそうさせたんだろーが！」


🌸の目には渦巻き模様と同時にハートマークが浮かべると、思いきりヨッシーを抱き締めた。満更でもない様子でヨッシーも抱き締め返してイチャイチャし始めると、マリオはツッコミを入れた。


『ウみ、ヨゴレちゃッてるのナニ？』
「それなんですけど……、あの崖の上を見て下さい。元々、あそこからは大きな滝が流れていたんですが……何者かがコルクで塞（せ）き止めちゃったんですよ」


弟子マーレが崖を指すも、そこには大型サイズのコルク栓で塞がれていた為に滝の水が1ミリも流れていなかった。


「あのコルクを抜いて滝を復活させれば、きっと海がキレイになる……と、師匠はそう睨んでる訳です！」
「ホントかな〜？」


弟子マーレから、"マーレのいりえ"の惨状について説明を受けても、マリオは釣老マーレの話を信用している様子を見せなかった。


「なるほど、さすが師匠ですね」
『シしョー、すゴイ！』
「信じてんのかよーー！」


釣老マーレの話をすっかり信じきっているヨッシーと（催眠を掛けられて強制的に信じている）🌸に、マリオはツッコミを入れた。


「ほい」


中々、コルク栓を抜きに崖を登りに行かないマリオを見てから、釣老マーレは釣竿を取り出すと、マリオの顔面に釣り針を引っ掛けた。


「早く行けって」
「わはった（わかった）！わはった（わかった）！」


マリオは、表面上では釣老マーレの話を信じたフリを見せてから、崖を登る準備の為にポンプを装着した。


「マリオさん、行きましょう！」
『まりオ、ノボろ！』


大型のコルク栓を抜く為に、ヨッシーと🌸は先に崖を登り始めていく。

それを追いかける形でマリオも足を進めていくも、岸壁には険しい崖が続いていた。ジャンプしながら進んでいくも、マリオは早く疲れが見せる。


「コルクの所まで行くの大変だな〜」
「修行だと思って、頑張りましょうね」


ヨッシーの催眠術によって暗示を掛けられた🌸は、マリオやヨッシーよりも先に進んでおり、どことなくやる気に満ち溢れる子供の様な雰囲気を見せていた。


『アっ、どロドろ！』


登り坂を進もうとした🌸であったが、地面にピンクと黄色が混ざったマーブル模様の汚れが飛び散っていた為に先へ進めなかった。



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