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ニセマリオに攫われたピーチ姫を追いかけて、マリオ達はドルピック島から離れた位置に面したピンナ島に訪れた。




"ピンナパーク"に到着したマリオ達であったが、園内には客の姿は全く見えずに寂れており___、どことなく退廃的な雰囲気も醸し出していた。


〈それにしてもこの遊園地、人が居ませんネ〉


ポンプもそれを感じ取って呟くと、背後から____、歓声が聞こえてきた。


「ちゃんと居るじゃん」


マリオは自分達以外にも人が居ると分かって安心したから、笑みを浮かべて後ろを振り向くと______、



____、そこには、ゴンドラに乗って笑顔を浮かべ、歓声を上げていたヨッシーと🌸の姿があった。


「きゃ〜〜っ！ この海賊船、楽しいです〜〜っ！！」
『わ〜〜っ！ スリル満点〜〜〜っ！！』
「お前らかよー！ 遊んでんじゃねー！」


ピーチ姫が攫われて緊迫とした状況の中で呑気にアトラクションを楽しんでいた二人に苛立ち、マリオはポンプのレバーを引いて二人にめかげて水を噴射した。


「せっかく遊園地に来たのにー」
『マリオも一緒に乗ろうよ』
「だから、遊びに来たんじゃないんだってば！」
〈そうデスよ。今度こそ、ニセモノを捕まえてピーチ姫を救出する為に……〉


マリオ達が話し込んでいたのを_____、影から見ていたある人物は、持っていたコウラをヨッシーの背中めがけて投げ飛ばしていく。


コウラが当たると電撃を発していく。ヨッシー本人も知らない内に体全体に電撃が走っていき、ダメージを受ける。


「今、何かがぶつかってきて……」


コウラが飛んできた方向に目を向けると_____、ニヤニヤと悪戯（いたずら）っ子な笑みを浮かべていたデンキノコノコの集団が待ち構えていた。


「あの変なカメの仕業（しわざ）か！」


マリオが敵の存在に気がつくも、デンキノコノコは背中に乗せていたコウラを降ろすと、今度はマリオと🌸に狙いを定めて投げ飛ばす。


「こっちにも投げて来やがった！」
『痺れるのはごめんだよ〜』


🌸はマリオの体を掴むと、自分一人だけダメージを受けない様にとマリオを盾にして、デンキノコノコの攻撃を回避した。


「おれを盾にすなっ！」


自らを盾にしてきた🌸に対して、マリオも即座にツッコミを入れた。

ポンプはデンキノコノコ達が全員、コウラを背負っていない状態で且（か）つ、弾き飛ばされたコウラの行き先を見て、冷静に状況を分析していた。


〈マリオさん。今の内にカメに放水デス〉
「へ？」


マリオはポンプのレバーを引いて、デンキノコノコ達に向けて水を噴射した。


すると時間差でコウラがノコノコ達の元に帰ってくると、水を浴びていた事で感電し、ダメージを受けていた。


〈跳ね返って戻って来たコウラで感電しマス〉
「自滅かよー！」


デンキノコノコ達は感電によるダメージでその場に倒れ込み、動く事はなかった。


『計算通りっ』
「よく言うぜ」


🌸は自らがマリオを盾にしたおかげでデンキノコノコを倒せたと威張ったが、マリオからはツッコミが入る。


〈それでも、全部退治しましたネ〉
「何なんだよ、この遊園地は」
『ねー。全然人も居ないし』


遊園地と言うから人で溢れていると思っていたマリオ達は、遊園地全体を包み込む退廃的な雰囲気にどこか拍子抜けしていたのである。


そんな中、背後から_____、何者かが走ってマリオ達の元に向かってきていた。


「いやー！ お見事、お見事！」
「アンタ誰？」


突然と現れたのは___、白い髭が特徴的で、眼鏡をかけて初老のマーレ族であった。マリオ達は顔を見ても誰か分からず、ハテナマークを浮かべる。


「わたくし、この遊園地の園長でございます」
「あー、船で一番偉い人だ」
「違いますよ。お店で一番偉い人ですよ」
「船長（せんちょう）でも店長（てんちょう）でもありません！ 園長（えんちょう）ですっ！」


マリオとヨッシーの連続に繰り出されるボケに対して、園長は見事にツッコミを入れていく。


「しかし素晴らしい！ 今のご活躍……あなた方、二人こそヒーロー役にピッタリです！」


先程のデンキノコノコとの決闘（バトル）を影から観戦していた園長は、声を上げてマリオと🌸の二人を指した。


「へ？ ヒーロー役？」
『ヒーローショーか何か？』
「この遊園地は変なカメ共のせいで、すっかりお客さんが減ってしまいましてな……人を呼ぶには面白いアトラクションが必要です。そこで……お二人をヒーロー役にしてこういうのを……」


現在の遊園地の現状について話しながら、延長は二人をダブルヒーローとして主役に見立てたヒーローショーの企画書を取り出した。


「嫌じゃー！」
『考えるの早っ！』
「……あれ、誰か来ましたよ」


マリオと🌸が延長にツッコミを入れていた中____、入場ゲートを通って、こちらに向かって走って来る人影をヨッシーが発見した。


"よー、二人とも元気？"
「おー、元気元気」
『そっちも元気そうじゃん』


ニセマリオが挨拶をしてから目の前を素通りしていくと、マリオと🌸も挨拶を返して、何事もなかったかの様に笑顔を浮かべていた。


「今の方、マリオさんにそっくりでしたな」
「だってアイツは、おれのニセモノだもん」
『見た目だけじゃ、本人って間違えちゃうよねー』


二人が園長と談笑を繰り広げていた中で、ニセマリオが目の前を素通りしていった事実にようやく気がつくと、体の向きを変えた。



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