逢
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バシャバシャッ
真冬の水温は想像以上に冷たく、痛みすら感じる。
土方
(クソッ)
濡れた着物が足に絡みついてなかなか追い付けない。
土方
『おい、オイッ』
聴こえないのか、或いは無視しているのか、女は振り向きもしない。
徐々にしか縮まらない距離。
女の肩を掴んだ時には、髪に雪が薄く積もっていた。
さほど驚いた様子も無く女は振り向く。
土方
『……………』
文句や嫌味、皮肉の一言でも浴びせてやろうと思っていたのだが、菫色の瞳と頬を伝う幾筋もの涙を見たら言葉が一つも出てこなかった。
「此処で、何を?」
土方
『それは俺の台詞だ』
女は不思議そうに小首を傾げる。
「私は見ての通り沐浴を」
土方
『誤魔化すな』
「え?」
土方
『一晩付き合え』
女の腕を掴み岸に向かう途中、土方の速さに着いていけず女は派手に転んでしまった。
土方はクルッと振り向き、額に手を当て心の中で一言。
土方
(…鈍くさい奴だ)
呆れながらも手を貸して起こしてやり、軽々と横抱きする。
そして岸にあがった後もそのまま歩いて行くが女は何も言わなかった。