転機
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緋那
『いえ、俺は貴女に用があって』
文が濡れないように懐から慎重に取り出す。
妙
『まぁ取りあえず上がって下さいな』
銀時
『おじゃましまーす』
銀時は何の遠慮もなく上がって行った。
妙
『緋那さんもどうぞ』
緋那
『いや、俺の用はすぐ済みますので。これ、、、』
妙
『遠慮なんてしないでいいんですよ。話は中で聞きますから』
緋那
(遠慮じゃないんだけどなぁ)
このままでは受け取って貰えそうにないので緋那は渋々お邪魔する。
妙
『はい、これ。新ちゃんのですけど』
緋那
『え?』
渡されたのは着流しとタオル。
妙
『ウチに来たせいで風邪でも引かれたら困るわ。温まっていって下さい』
案内された場所は風呂場だ。
緋那
『あの、アイツは?』
妙
『銀さんはいいんです。何とかは風邪ひかないって言うでしょ。それじゃごゆっくり』
妙はにっこりと笑って出て行った。
緋那
(相変わらずマイペースな人だな)
隊服を脱ぎ、晒を解く。
緋那は脱衣所の鍵を閉めた事を何度も確認して浴室に入った。
身体を洗い湯船に浸かる。
緋那
『あー。気持ちいいー』
感嘆の溜め息が漏れた。
こんなにもリラックスして風呂に入れる事は屯所では一切ない。
大浴場には入らず道場に常設されているシャワーを使用しているが、それでも完全には気を抜けない。
その反動もあってか、緋那はこの状況にすっかり安心してしまっていた。
・・・
銀時
『ちょーっと冷えるとこれだもんなぁ』
銀時は上がり込むなり便所に駆け込んでいた。
銀時
(お、風呂の匂い)
石鹸の匂いに誘われるように脱衣所の戸に手を掛ける。
銀時
(あ?開かね、、、)
ガタッ
思い切り力を入れて引くと戸は開いた。
隊服と晒、刀が置いてある。
銀時
(アイツが入ってんのか。んじゃ俺も一緒に)
驚かそうと静かに着物を脱ぎ、乱暴に浴室の戸を開けた。
ガラッ
緋那
(!!!!!!)
浴室の扉が開いた瞬間。
緋那はパニックになり溺れそうになった。
バシャバシャと物凄い飛沫をあげる姿を見て銀時も動揺する。
銀時
『お、お前、、、』
緋那の心臓が跳ねた。
銀時
『他人様ン家の風呂でよくそんなはしゃげるな。しかも一人で。冷めてるヤツだと思ってたがなかなかヤバイ奴だな』
緋那
(どうする!?どうすんの!?どうすんだ俺!?てゆうか何で!?どうして!?絶対鍵掛けたのに!)
何事もなかったかの様に頭からシャワーを浴びる銀時に背中を向け、脳をフル回転させ思考する。
緋那
(待て焦るな落ち着け。幸いまだ気付かれてねぇ。アイツが身体洗ってる隙に素早く、、、)
銀時
『あー、さっぱりした』
銀時の体積分、浴槽から湯が溢れた。
緋那
(えっ、もう!?早ぇよ、ちゃんと洗ったのか!?)
いや、今はそんな事どうでもいい。
とにかく怪しまれないように、平静を装わなければ。
銀時
『なぁ、この髪天然?』
硬直する緋那などお構い無しに髪をくるくると弄り始める。
緋那
『あ、あぁ。生まれつきだ』
銀時
『まじでか。世の中にゃこんな綺麗な直毛のヤツがいんのかよ。それに比べて俺の髪なんてさー』
緋那
(あーもーッ。お前の天パー事情なんか今はどうでもいいんだよッ)
銀時
『もしもーし。ちゃんと聞いてる?』
肩に手を掛けた時、濡れた緋色の髪の間からチラリと覗く白い項が目に入った。
妙に色っぽい。