万事休す
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土方
『テメェら、何が目的だ』
椅子型の拘束具に四肢を固定された状態で相手を睨みつけた。
高杉
『目的?ンなもん決まってんだろ。女だよ女。お前の女、名前何て言ったっけ?』
土方
『何寝ぼけたこと言ってんだ。俺にゃ女なんか‥ ッ』
高杉は土方の耳を擽る。
高杉
『素直に吐いちまえよ。それとも可愛いがって欲しいのか?』
土方はゾッとして暴れるが、椅子は余程頑丈に出来ている様で全く身動きが取れない。
高杉
『慌てんな。今日はお前じゃねぇ、女に用がある』
土方
『だから女なんか知らねーって言ってんだろうがっ』
いくら考えても女など皆目見当もつかない。
例え心当たりがあっても教える気はないが。
高杉
『おいおい、しらばっくれンなよ。神社で一緒だったろ。緋い眼の、緋い髪の女』
土方は一瞬呆気に取られた後、小馬鹿にするかの様に笑う。
土方
『テメェの眼は節穴か?緋那は…むぐぅっ』
万斉に猿轡をされてしまった。
万斉
『緋那、か』
土方の携帯をポチポチと弄る。
万斉
(……………………………)
緋那と何通かやり取りした後、万斉は深く溜め息を吐いた。
万斉
『晋助、緋那とやらは本当にこいつの女なのか?正直言って来るかどうか微妙でござる』
・・・
土方
《マヨと煙草買ってすぐに港の第三倉庫まで持って来てくれ》
緋那
(は?港?何だってそんなとこに)
今日は非番で銀時との約束も無く、有名な菓子職人の限定スイーツを買う為にわざわざ並んでいた。
緋那
《嫌です》
土方
《頼む。お前しかいない》
緋那
《お断りします》
土方
《愛してる。お前が来るまでずっと待ってる》
緋那
《マヨネーズとニコチンの影響でとうとう頭イカレましたか?》
その後、返信は来なくなった。
緋那
『何なんだよ一体、、、』
電話しても出ない。
スイーツを泣く泣く諦め、指定された場所に急ぐ。
百言くらい文句を言ってやろう。
ゴゴゴゴゴ…
重い扉をこじ開け中を覗くが、真っ暗で何も見えない。
緋那
『土方さーん?』
徐々に慣れて来た目を凝らす。
!!!
緋那
『土方さんッ』
土方
(馬鹿ッ、来るなッ)
何とかして伝えようと叫ぶが、くぐもった呻き声しか出ない。
緋那
『何があったんですか!?』
緋那は土方に駆け寄り猿轡を外した。
土方
『逃げろッ』
緋那
(!!!!!)
ククッ…
聞き覚えのある不気味な笑い声。
高杉は薄ら笑いを浮かべ、余裕の表情で煙管を吹かす。
緋那は土方を守るように立ち、刀を抜いた。
万斉
『刀を渡せ』
緋那
(くそっ、もう一人いたのかっ)
直ぐ様振り返る。
土方
『渡すンじゃねぇぞ。俺はいいから、お前だけ逃げろ』
首筋に当てられた冷たく鋭い刃。
万斉
『渡せ。この男の命が惜しくばな』
土方がもう一度口を開こうとした時、喉仏が薄く切り裂かれた。
緋那
『すみません、土方さん』
力無く投げた刀は乾いた音を立て高杉に向かって転がっていく。
土方
『馬鹿野郎、、、』
高杉
『大人しく言うことを聞けば二人とも無傷で帰してやるよ』