プロポーズ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
総悟
『相変わらずアレは駄目なんだな』
緋那
『う、うん』
誰にも言えない。
アレを見ると蘇ってくる、あの忌まわしい記憶の事は。
悲しみ、憎しみ、そして畏れ。
負の感情に支配される。
総悟
『それでも、昔に比べたら良くなった方か』
昔、子供の顔位の大きな蛾を使って悪戯をした事があった。
嫌いなのは知っていたが、でもほんの冗談のつもりだった。
緋那は切り裂くような悲鳴を上げ、気を失った。
そして三日三晩高熱を出し寝込み、魘され続けた。
総悟
『あの時はさすがの俺もビビった』
緋那
『ばか、俺のがビビったって』
目を覚ましたら総悟にいきなりプロポーズされた。
緋那
『責任取って結婚してやるって、一生懸けて護るからって言ってたよな』
総悟
『…さぁ、覚えてねーよ』
緋那
『あの時俺、すごく嬉しかったよ』
総悟
『よく言うぜ。ものの二秒で断ったクセに』
そう、失恋の苦い思い出。
近藤
「ほら、総悟。ちゃんと謝りなさい」
総悟
「謝らない、謝らないけど。責任は取る」
近藤
「責任?」
総悟
「結婚してやる。一生懸けて護るから」
緋那
「…や、いい」
思い出してクスクスと笑う。
緋那
『拗ねンなよ、嬉しかったのは本当だ。ただ、、、』
護って貰おうとは思わなかった。
総悟
『俺は今も変わらず護りてェと思ってる。お前が弱いからじゃねェ、大事だからだ』
緋那
『総悟…』
総悟
『昔も今も、お前が好きだ』
緋那
『俺も、大好きだよ』
素直な気持ち。
総悟はちゃんとわかっている。
“好き”
緋那と自分じゃ意味合いが違う。
重さが違う。
緋那
『ありがとう、総悟』
総悟
『ん?』
緋那
『お前のお陰で震えも動悸も治まった』
幸せそうに笑う緋那につられて総悟も笑う。
総悟
『そうか、良かったな』
その日は昔話を肴に呑んだ。
楽しかった時、悲しかった時、怒られた時。
二人はいつも一緒だった。