プロポーズ
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ドガッ
緋那
『…ッ』
総悟に打ち負かされた挙げ句、脇腹を木刀でなぎ払われた緋那は壁に背中から激突した。
緋那
(クソ、またダメか)
ボロボロの体に鞭を打ち何とか立ち上がる。
緋那
『も、もう一本だ』
一時間後。
総悟
『何度やっても結果は同じ。お前が床に這い蹲るのは眼に見えてんだ。もういいだろ』
道場の床に大の字になり悔しがる緋那を総悟はうんざりした表情で見下ろす。
緋那
『えーっ、じゃあ次で本当の最後!』
総悟
『最後最後って、お前の最後は信用できねーんだよ。何べん言わせりゃ気が済むンだ』
一本だけと約束したのに。
総悟
『朝まで付き合うって言った事、まさか忘れたなんて言わねェだろうな』
緋那
『ちゃんと覚えてるって』
以前、今度朝まで付き合うとその場しのぎに言ってしまった。
総悟
『まさかとは思うが』
ピクリと片眉を動かす。
総悟
『稽古で時間潰そうなんて考えてるつもりじゃねェだろうな』
ギクッ
緋那
『そ、そんなこと考えてないって』
総悟
『これは俺がお前に頼まれて仕方なく付き合ってやってンだってちゃんと理解してんのか?』
緋那は上半身だけ起こし、引きつった笑顔で答える。
緋那
『わかってるよ。これはさ、今から呑む酒が少しでも美味くなるようにって、俺なりの心配り?ほら、汗流した後に呑む酒は格別なんだろ?』
早口で喋る緋那に一瞬訝しげな表情をするも、総悟は直ぐに溜め息をついた。
総悟
『百歩譲って心配りだとしよう。だが肝心の汗は一滴たりとも流れてねェぜ』
緋那の胸にチクチク刺さる。
総悟
『あー、お前が羨ましいよ。そんだけ汗だくになりゃ酒もさぞ美味いだろうな』
肩で息をしている緋那を蔑むように涼しい顔をして鼻で笑った。
緋那
『悪かったな、力不足で』
悔しい。
目頭が熱くなる。
総悟
『お前は軽すぎるンだ』
涙ぐむ緋那にやれやれと、仕方なさそうに言った。
打ち合いが苦手でいつも相手が撃ち込んでくる前に決める。
だが総悟くらいの相手になるとそれでは殺り合えない。