メイド
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
緋那
(まさかこんな格好で出歩くなんてな)
黒を基調とした尻尾の付いたメイド服に猫耳カチューシャ。
すれ違う人の視線が痛い。
緋那
(いや、今はそんなのどうだっていい)
これからどうすればいいのか考えなければ。
緋那
(コイツと一緒に店に戻れれば一番いいンだけど。ていうか、どこに行くンだろう)
人気のない裏道を進んで行く。
桂
『何をしているんだ、あんな所で』
緋那
『え、えーと、ちょっと、バイト的な』
桂を待っていたとは言えない。
桂
『あそこがどんな店か知っていて働いているのか』
緋那の手を強く引き、早歩きで話す桂は凄く苛立っている様に見える。
桂
『一見普通のキャバクラだが、本業は売春の斡旋だ』
緋那
『売春?』
桂
『ある程度通うと客のランクが上がり、金を払えば店外デートが出来るようになる』
“失礼のないようにしっかりとご奉仕してきてちょうだいね”
緋那
(あれはそういう意味だったのか)
桂
『あの店の裏で糸を引いているのは天人だ。奴等は様々な手を使い、随所で地球人から搾取している』
通い詰めていたのは天人の資金源を少しでも潰す為の偵察。
桂
『金に困ったからといって安易にあのような店で働くと痛い目を見るぞ。もう少し慎重になれ、馬鹿者』
捕まえる予定だった桂に助けられたような形になっている妙な状況。
しかも叱咤までされ、言っている事もまともで何も言い返せない。
流石に緋那も落ち込んだ。
それを悟ってか、桂は立ち止まり緋那と向き合うと、叱られた子供を慰めるように頭を撫でる。
桂
『すまない。心配の余りついカッとなってしまった。本当に、お前が無事で何よりだ』
緋那は複雑だった。
悪い奴じゃないと思う。
もし攘夷志士じゃなかったら、良き友にでもなれたかもしれない。
緋那
(何考えてんだ、俺は)
不毛、その一言に尽きる。
桂
『それにしてもよく似合っている。お前の猫目と相俟って、耳も本物のようだ』
この男は人の気も知らないで。
緋那
『世辞なんか…』
桂
『俺は世辞など言わんさ』
フワッと笑い緋那を両腕で抱く。
緋那
『な、何‥してンだよ』
桂
『余りに可愛いのでつい、な。もう少しだけこのままで。これ以上は何もしない』
包み込まれるような極自然な抱擁は、強引に抱き締められるのと違い何とも言えず抵抗しにくい。
緋那
(金払ってるわけだし。少しくらいならいっか)
桂
『お前とこうして会話し触れ合える日が来るとは。夢のようだ』
緋那
『大袈裟なヤツだな』
どの位の時間が経ったのだろう。
長い様な気もするし、短い様な気もする。
そんな心地の良い時間を裂いたのは、桂の良く知るあの男だった。
高杉
『こんな場所で逢い引きたァ、テメェも隅に置けねぇなぁ』
桂
『相変わらず無粋な奴だ』
せっかくの気分を害された桂は緋那を解放し高杉を睨む。
高杉
『そう邪険にすンなよ』
自分や銀時と違いさっぱり女っ気のない桂がどんな女を連れているのか興味が湧いた。
高杉
『しかしお前、随分趣味が変わったな』
桂
『そうか?俺は昔から猫好きだが』
高杉の視線から緋那を守るように間に割って立つ。
高杉
『何もお前の獲物を奪おうってわけじゃねぇンだ。ンな警戒しなくたっていいだろ』
桂
『ふん、どうだかな。お前と銀時は昔から好んで他人の物を取って―――』
緋那
『‥ッ、はっ、放せっ』
桂
『貴様、言った傍から何をしている』
高杉は暴れる緋那の腕を捻り顔を上げさせた。