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暗い森を一人彷徨っていた。
グル‥
グルルルル…
微かに聴こえた獣の唸り声にハッとし周りを見渡す。
あちこちに光る不気味な眼。
いつの間にか野犬の群れに囲まれていた。
じりじりと近づいてくる獣達。
恐怖で竦む足。
飛び掛かられる瞬間、強く目を瞑る。
キャインキャイン
何が、起きているのだろう。
覚悟していた衝撃が無いばかりか野犬達は怯えたような鳴き声をあげている。
固く閉じた瞼を恐る恐る開くと自分を見つめる温かな瞳と目が合った。
「もう大丈夫だ」
「お前、一人か?」
「、、、そう、か」
「俺の所に来い」
そう言ってあの人は、見ず知らずの小汚いガキに手を差し伸べてくれた。
・・・
緋那は穏やかな気分で目を覚ます。
緋那
(また、あの夢)
あれからもう何年経ったのだろう。
緋那
(俺は今、あの人の役に立てているのかな)
近藤さんと出逢う少し前、大好きだった両親は天人に殺された。
俺を逃がす為に囮になると言って別れた兄のその後の消息は不明。
この事は、誰にも言っていない。
非力だった俺に剣術を教えてくれた近藤さんは出逢ってからずっと憧れの人だ。
近藤さんのように強くなりたくて、後から門下生として迎え入れられた土方さんや総悟に負けたくなくて、俺も必死に鍛錬し稽古に励んできた。
そして今―。
近藤さんは真選組の局長。
土方さんは副局長。
総悟は一番隊隊長。
俺は、、、
給仕係、兼小姓。
頼まれれば何でもやるが殆どが雑務。
緋那
『うーんっ』
靄を晴らすように思い切り伸びをし、気を取り直した。
緋那の仕事は朝が早い。
大所帯の食事の支度は結構時間がかかる。
ボサボサの髪を丁寧に櫛で解いて一つに結い、胸にしっかりと晒を巻き直して給仕室へと向かった。
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