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銀時
『相変わらずだなヅラ。お前には脈絡ってもんがねーのか?』
桂
『ヅラじゃない、桂だ』
!!!
緋那は反射的に自分の刀に手を掛けた。
!!!
桂
『緋那!?俺というものがありながら、こんな所でコソコソ逢引きとは、、、』
突然、ガックリと地に膝を付く桂。
緋那
『な、何言っ…』
桂
『寂しい思いをさせたことは謝る。だが、どうして銀時なのだ。俺はこの先、友とどういう顔で接すれば―――』
三文芝居には緋那は呆れ、銀時は飽きてくる。
銀時
『あれ、髪切った?』
緋那
『切ったんじゃねぇ斬られたんだ、コイツに。つーか今頃かよ』
桂はフフンと得意気に笑い、懐から袱紗のような物を取り出し広げた。
二人は一斉に鳥肌が立つ。
桂
『俺の好みにしてやったのだ。この方が似合うと銀時も思‥ぐはぁっ』
銀時に思い切り引っ叩かれた。
桂
『と、突然何をする。痛いではないか』
銀時
『気持ち悪ッ。何当たり前の様に持ち歩いてんだバカヤロー』
布に包まれていたのは緋色の髪。
銀時
『それから緋那に謝れ。最低だぞお前』
緋那
『別に、俺は髪に未練なんかねぇよ。だけどそれは気分悪いから返…』
桂
『嫌だッ!!!』
声を張り上げ、急いで胸に抱え込んだ。
銀時
『何やってんだお前、持ち主が返せって言ってんだから返せよ』
桂
『ならばせめて一割くれッ。俺にはその権利がある筈だッ』
銀時
『ふざけんなっ、拾ったモンじゃねぇだろーがッ』
奪い取ろうとするが桂も必死に守ろうとする。
緋那
(やばい、声出そう)
笑いを堪えられない。
足早に店を出て、口を抑えクスクスと笑う。
緋那
(何なんだよアイツ)
一頻り笑った後、目尻の涙を拭きながら携帯を取り出そうとして、止めた。
非番を言い訳に、何も見ていないと自分に言い聞かせる。
銀時
『おい、勝手に居なくなるなよ』
緋那
『あ、悪い』
銀時
『まぁ、ちゃんと待ってたからいいけど。そうだ、コレ』
緋那
『何?』
渡された一本の刀。
銀時
『振ってみな』
緋那
『何で?』
訝しげに思いながらも精神を統一させ…
ヒュッ
風を斬った。
銀時
『どうだ?』
緋那
『ん。軽くて振り抜きやすい。それにしっくりくるっていうか、手に馴染む感じ』
銀時
『お前のが重すぎンだよ』
華奢な身体であんなゴツイ刀は振り回せない。
普通は。
銀時
『刀に合わせて身体鍛えるのも悪かねぇけど、結局は自分に合ったモン使うのが一番なんだよ。短所を補うのも良いが、長所を伸ばせばお前はもっと強くなる』
緋那
『…もしかしてそれ、アイツの言葉?』
銀時
『あ、いや、えーと。そうだったかな?』
図星か。
緋那
(あー、すげー腹立つ)
敵に助言されるなんて情けないにも程がある。
緋那
『これ、いくら?』
銀時
『さぁな』
緋那
『さぁなって何だよ』
銀時
『お前の為に作った特注品だとよ』
緋那
『あいつ、、、』
敵に刀を贈るって。
どこまで馬鹿にすれば気が済むのだろう。
緋那
(いつか絶対後悔させてやるっ)
ポツ‥
銀時
『ん、雨か?』
ポツ‥ ポツポツポツ
ザァー…
二人は軒下に入り雨を凌ぐ。
銀時
『まーた雨か。お前雨女なんじゃねぇの』
緋那
『え?何?』
雨音でよく聞こえない。
銀時
『だーかーらー』
耳元に近付く。
濡れた髪、濡れた肌、首筋を伝う雫。
銀時
『…すぐ止みそうもねぇし、面倒くせーけどどっかで雨宿りでもしてくか』
緋那
『え、ちょっと、雨宿りなら別にここでいいんじゃ―――』
銀時は独り言のように呟き、困惑する緋那の手を引いて雨の中を走り出す。