手離れ
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近藤
『今回は穏健派になった桂だったから運が良かったものの、相手が過激派の連中だったら怪我程度じゃ済まなかったぞ』
緋那は心が抉られる痛みに耐えながら額を地に付けた。
緋那
『俺が半人前なのはよくわかりました。処分は甘んじて受けます。もう二度としませんから、お願いです、土方さんは―――』
土方
『緋那、お前は黙ってろ』
口内の血を吐き捨て、手の甲で唇を拭う。
土方
『近藤さんの命令に背いて緋那を危険な目に合わせたことは謝ります。…けど、緋那は未熟なんかじゃねぇだろ。鍛錬だって人の何倍も、誰よりも必死にやってきた』
土方は潔く頭を下げたあと、近藤に厳しい眼差しを向けた。
土方
『それでも戦線に立たせて貰えなくて、コイツにどんだけの疎外感を与えてるかわかるか?』
近藤
『何も戦線に立つことだけが仕事じゃない。適材適所というものが…』
土方
『ンなことは緋那だって理解してるよ。だからいつだって明るく振る舞ってンだ。適材適所?それっぽい言葉並べて不必要に緋那を遠ざけるのはもう終わりにしたらどうだ』
緋那は土方の隊服を引っ張り「もうやめて」と訴えるが気付いて貰えない。
土方
『可愛いのはわかるが、過保護は緋那の為にならねぇよ。大事にするのと縛り付けるのは全く別…』
近藤
『もういい』
土方
『あ?』
近藤
『もういいと言ったんだ。お前にわかって貰おうと思った俺がバカだった』
土方
『…そりゃどういう意味だ』
空気が凍る。
近藤
『緋那のことは俺が一番良くわかっている。緋那のことも俺の気持ちも、お前にわかるはずがねぇんだよ』
土方
『何‥だよ、その言い方。俺はッ…』
緋那
『土方さんっ』
緋那は近藤に掴み掛かろうとする土方の腕を両手で必死に掴んだ。
緋那
『俺、現状に不満があるとか、そんなの一切ないから』
絶対に離すまいと握り締めている手が微かに震えている。
緋那
『だから、喧嘩しないで』
土方は深く溜め息を吐いて緋那の額をコツンと叩いた。
土方
『ったく、そういうことはもっと早く言えよ。それなら近藤さんと言い争う必要どこにもなかったじゃねぇか』
緋那
『ごめん、、、』
土方
『バカ、俺に謝ったって仕方ねぇだろ』
近藤に向き直り、姿勢を正す。
土方
『近藤さん、すみませんでした。早とちりっつーか、勝手な思い込みで色々言っちゃって。ほら、お前も』
緋那
『みんなに迷惑かけて、本当にすみませんでした』
頭を下げる二人に、近藤はバツの悪そうな表情で「反省しているならいい。処分は全て取り消す」とだけ言い、行ってしまった。