手離れ
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銀時
『お前、ずっと俺のこと避けてンだろ』
馴れ馴れしく肩に手を回し耳打ちする。
緋那
『別に。お前の気のせいじゃねぇか?』
確かにあの日から万事屋周辺には近寄ろうとしなかった。
何でも言うことを聞くとは言ったが、銀時に会わなければ命令されることもないと考えたからだ。
銀時
『気のせいねー。まぁいいけど。それよりあの約束、忘れてねぇよな』
緋那
『しっかり覚えてるよ。お前こそ絶対忘れンなよ』
土方
『緋那、お前はいつからこんなのと約束事なんかする仲になったんだ』
小声で何やら会話する二人を見て訝しげな顔をする土方。
銀時
『約束事する仲ってゆーかこれからもっと深ーい仲になる予定の仲―――』
緋那
『そろそろ行きましょう土方さん。まだ見廻りの途中でしょ』
銀時の手を払い、土方の腕を引っ張って催促する。
余計な事を言う銀時に文句の一つでも言ってやりたいが今は言えない。
銀時
『あ、ちょっと待て。お前次の休みいつ?』
緋那は迷った。
言うべきか、言わざるべきか。
銀時
『早く言わねーと口が滑っちゃうかもよ?』
緋那
『明後日』
銀時
『そんじゃ、その日空けといてやるから。昼前にウチ集合な〜』
銀時は緋那の都合など一切聞かず、ひらひらと後ろ手を振り歩いて行く。
♪♪♪
直後、土方の携帯が鳴った。
土方
『…場所は?あぁ、わかった。すぐ行く』
緋那
『何かあったんですか?』
・・・
「副長!」
土方
『で、ヤツは?』
「あそこです」
鉄塔の上から悠々自適に国の明日を見据える男。
真選組の手がすぐ傍まで来ているというのに少しも慌てる様子がない。
土方
『お前らはアイツを四方から追い込め』
「はいっ」
隊士達は土方の言う通り素早く四方に散って行った。
緋那
『俺らは行かなくていいんですか?』
土方
『追い詰めたところでアイツはいつもの小細工で必ず逃げる。だから俺たちはその先を張るんだ。退路は粗方見当がついてる』
緋那
『なるほど。さすが何度も逃げられているだけのことはありますね』
土方
『…バカにしてんのか』
緋那
『素直に感心してるんです』
・・・
「真選組のバカ共め、毎度毎度同じ手に引っ掛かりおって」
高笑いしながら瓦屋根を走る男。
狂乱の貴公子、攘夷志士の暁、逃げの小太郎など、多くの異名を持つ指名手配犯。
桂小太郎。
まんまと真選組を欺き、またも華麗に逃走する。
!!!
筈だったが、今日は行く手を遮る者が現れた。
緋那
『あ、本当に来た』
真選組の頭脳は伊達じゃなかったらしい。
本命だった逃走ルートを張っている土方の携帯を鳴らす。
この距離なら五分もしないうちに来るだろう。
緋那の役目はそれまで桂の足止めをすること。
桂
『緋那、、、』
緋那
『へー。俺なんかの名前まで知ってるとは驚いたな』
さすがは大物攘夷志士と言ったところか。
桂
『フッ、知っているの名前だけではないぞ』
緋那
『他に何を知ってるってンだよ』
桂は意気揚々と得意気に話し始めた。
桂
『人間味に欠ける言動や行動とその容姿から俗世ではクールビューティーなどと渾名されているが、其の実ただの人見知り。極親しい者の前ではよく笑いよく怒りよく泣き、誰よりも人間味に溢れている。淡々とした口調ではあるが慈愛に満ちた心を持ち合わせており、真選組内ではツンデレと評されることも多い』
緋那
『…………………』
対峙する二人を奇妙な空気が包む。
緋那
『平隊士をそこまで調べてるなんて革命家ってヤツは随分暇なん…』
桂
『朝晩休日問わず、時間があれば道場で鍛錬に励むストイックな性格。暇そうな隊士を見つけては精根尽き果てるまで稽古に付き合わせる為、時に稽古バカと揶揄され恐れられている。反面、料理、甘味やぬいぐるみが好きなど愛らしい趣味も持っていて―――』