手離れ
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土方
『緋那、総悟知らねぇか』
緋那
『総悟?んー、そういや朝メシの後から見てないですね』
またサボりか。
剣の腕は真選組一の総悟だが、素行の悪さもまた真選組一だ。
土方は額に手を当て溜め息を吐いた。
土方
『だから総悟と一緒は嫌だって言ったんだ。どうすんだ、これから市中見廻りだってのに、、、』
巡回は原則二人一組となっている。
土方
『あ、お前でいいか。緋那、ついて来い』
緋那
『はい。じゃあ近藤さんに聞いてきます』
普通、隊員は隊長や副長の命に関していちいち局長の許可を得る必要はないのだが、緋那の場合は別だった。
隊務で外出する際は事前に報告するようきつく言われている。
土方
『近藤さんはお偉いさん方と会合中だ。こんくらい後で報告すりゃ大丈夫だろ。ほら、行くぞ』
・・・
緋那
『暇ですねー』
何かとトラブルの多い歌舞伎町も今日は静かだ。
土方
『良い事じゃねぇか。俺らが暇って事ァ平和な証拠だ』
緋那
『そうですけど。でもこうも暇だと…って、何してんだあの人』
少し目を離した隙に、一般市民相手に声を荒らげている。
緋那
『どうしたんですか?みんな見てますよ』
土方
『どうしたもこうしたもねぇッ。今コイツの吐いたガムが下ろし立ての靴の裏に―――』
緋那
『そんなことで騒ぎ起こさないで下さいよ。軽く注意するくらいで済むことでしょう』
緋那は土方の靴を脱がせ、付いたガムを剥がしてやった。
それをそのまま男の口の中に戻す。
緋那
『ガムを口から出す時は紙に包んでゴミ箱へ。ちゃんと覚えて下さいね。でないと狂犬に噛み付かれますよ』
土方
『誰が犬だコラ。あ、犬といやぁ俺さっき犬のウンコ踏んだな』
可哀想に、男は公衆便所へ駆け込んで行った。
バシャバシャハジャバシャ
緋那
『そういうことは早く言えよバカ。素手で触っちまったじゃねーか』
公園の水道でこれでもかと手を洗う。
土方
『おい、上司に向かって何だその口の利き方は』
緋那
『あれ、聴こえちゃいました?』
緋那は蛇口をキュッと締め、笑顔で土方を振り返った。
目は笑っていない。
緋那
『聴こえちゃったついでに言わせて貰いますけど。ガムなんかよりもっと汚ねーもん先に踏んでんじゃん。なのに何であんなに絡んだんですか?あ、もしかしてアレですか?ウンコ踏んだ鬱憤をアイツで晴らそうとしたんですか?それが警官のやることですか?そんなのそこらのチンピラと変わりませんよ』
土方
『…だって、下ろし立てだったし』
緋那
『ちょっと、いい大人が泣かないで下さいよ』
言いたいことを全て言い終えた頃、土方の目には薄く涙が浮かんでいた。
緋那
『あーもー。帰ったら綺麗に洗ってあげるから、元気出して下さい』
土方
『うん。…つーか泣いてねーし』
コクリと頷き、バレないように涙を拭う。
途端、緋那が慌てた様子でくるりと背を向けた。
土方は不思議に思い後ろを見る。
土方
『…チッ』
見知った男と目が合ってしまった。
銀時
『あ、今舌打ちした?』
土方
『してねぇよ』
銀時
『絶対した。チッってハッキリ聞こえた』
土方
『空耳だろ。つーか話しかけんな、バカがうつる』
二人がギャーギャーやっている隙に緋那は公園を後に…
銀時
『あっれー。緋那くん、久しぶりィ♡』
出来なかった。