人魚
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ハーレムは差し出された手を強く引き、力一杯リナを抱き締める。
チャプン
夜空の星のように輝く美しい石は、手から零れ落ち再び湖の底へと沈んでいった。
リナ
『ハーレム様…?』
どうしたのか聞きたいが、苦しい位の抱擁に上手く声が出せない。
ハーレム
『もう潜るな』
体を離し、両肩を掴む。
次はもう、戻って来ない。
漠然とした不安がハーレムを襲う。
リナは本当に人魚で、泳いでいる間に泡になって消えてしまう気がした。
ハーレム
『湖にも海にも、二度と潜らねぇと約束しろ』
リナ
『…わかりました』
どうして、なんて聞かない。
ハーレムの青い瞳が凄く真剣で、強い声音が何故か哀しげに聴こえて、肩を掴む手が縋るように震えていたから。
リナ
『約束します』
ただ安堵させたい一心で、頷き微笑んだ。
ハーレム
『お前、馬鹿だけどイイ女だな』
こんな理不尽な要求に理由一つ聞かないリナに呆れる。
同時に愛しいとも思った。
ハーレム
『キスしていいか?』
貶されているのか誉められているのかわからず、不満気に膨らんでいる頬に手を添える。
ハーレム
『…笑ってんじゃねぇよ』
散々体を弄んだのに今更キスに了解を得ようとすることが妙に可笑しくて、リナは忍び笑いをしていた。
癇に触り、添えていた手で頬を抓る。
リナ
『ほ、ほへんははい』
それはじゃれ合うとは程遠く、このまま千切られるのではないかと思い慌てて謝った。
ふんと鼻で笑って、目に涙を浮かべて許しを乞うリナの頬を解放する。
ハーレム
『で、いいのか悪いのかどっちなんだよ』
どうしても了解が得たいらしい。
リナ
『ダメって言ったらシないんですか?』
ハーレム
『シねぇ』
リナ
『じゃあ、ダメ。です』
ニッコリ笑うとハーレムも追って微笑を浮かべた。
でもそれは一瞬の事で、すぐに鋭い顔つきに変わる。
ハーレム
『ムカつく』
リナ
『ン…』
嘘つき。
高圧的な態度に威圧的な瞳、乱暴な口調。
その合間に見え隠れする優美な仕草や表情。
リナ
(本当は凄く繊細な人なのかも)
唇を奪われながらそんな事を想っていた次の日―。
心戦組の面々と昼ご飯を食べている時の事。
ハーレム
『おーい、邪魔するぜー』
扉を壊す勢いでハーレムが入ってきた。
近藤
『何ですか騒々しい。食事中ですぞ』
近藤の言葉に耳も貸さず一直線にリナの元へ来る。
ハーレム
『ヤらせろ!』
前言撤回。
デリカシーの欠片もない。