人魚
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こめかみに青筋を浮かべたハーレムがツカツカと戻ってくる。
ハーレム
『帰るっつってんだろ』
腕をガシッと掴まれやっと理解した。
リナ
『いえ、私は、、、』
ハーレム
『あぁん?俺様と帰るのが嫌だってのか?』
ナマハゲのように凄まれ激しく顔を左右に振った。
リナ
『少し水浴びしたくて。あの、身体、まだ熱くて』
ハーレム
『あー。まぁ仕方ねぇか、待っててやる』
リナ
『えぇ!?』
ハーレム
『文句あんのか?』
獅子に睨まれた子兎が文句など言える筈もなく、渋々と脱ぎ始める。
視線が気になってチラリと目をやるが、ハーレムは後ろを向く気などないらしい。
ハーレム
『別にいいだろ、さっきじっくり見てンだからよォ』
そうだけど、そういう問題じゃないのに。
ハーレム
『ふーん…』
覚悟を決めて堂々と脱ぐ姿はなかなか様になっている。
形の良い胸に、美しいラインを描くくびれ。
脚線美も文句無い。
惜しいといえば身長だ。
童顔に似合った小柄な背丈は個人的には嫌いじゃないのだが。
月明かりが柔肌を照らす。
煌びやかな栗色の髪を靡かせ、透き通るような白い身体はトプンと静かな音と共に湖に沈んでいった。
ハーレム
(それにしてもさっきは驚いたぜ)
さっきとはハーレムが用を足しに来て湖に落ちた時だ。
やっと見つけた。
そう思った。
小さい頃、繰り返し読んだ人魚姫の物語。
王子様に選んで貰えず、泡になって消えてしまう人魚姫が可哀想で何度も泣いた。
俺なら絶対に間違わない。
手離したりしない。
俺が人魚姫を幸せにしてやる、って子供ながらに心に誓ったものだ。
水中を優雅に泳ぐリナはとても奇麗だった。
水中が自分の居場所なのだと実感しているような、あの表情が忘れられない。
実際、陸地にいるよりも自然に見えた。
ハーレム
(…にしても遅ぇな)
そういえばまだ一度も息継ぎに上がってきていない。
マジで人魚だったりして?
ハーレム
『って、ンな訳ねぇよなぁ』
静かな湖畔に笑い声が木霊する。
湖面の規則的な細波。
徐々に不安が募る。
ハーレム
『おい、リナ』
返事は疎か、水音一つしない。
ハーレム
『リナッ』
今度は湖面を覗き込んで強く呼んだ。
ザパッ
ぷはっと大きく息を吸い、ハーレムのすぐ横の地にあがるリナ。
リナ
『見て下さい、これっ』
嬉しそうに手を差し出す。
リナ
『湖の底に―――』