始まり
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シンとした夜の浜辺に一つの影。
影の主はひんやりとした砂浜に大の字に寝転がり、空を見上げていた。
リナ
『綺麗、、、』
目を覆ってしまいそうになるほど目映い満天の星。
感嘆の息を洩らし、そっと瞳を閉じる。
聴こえてくるのは波の音だけ。
耳を擽る心地良い波音は少しずつ、だが確実に夢の中へと彼女を誘う。
・・・
「起きなはれ、こないな場所で眠ってはったら危ないどすえ」
夢か現か、誰のものとも知れない柔らかく響く丁寧な声音。
リナ
(わかってる。わかってるけど、目が開かないの。もう少しだけ、このまま、、、)
「もしかして気ィを失ってはるんでっしゃろか。でもこのアラシヤマが来たからにはもう大丈夫どす。今わてが助けたるさかい、安心して身ィを任せておくれやす」
優雅に京言葉を操る男は、人口呼吸と言う名の接吻をしようと上半身を屈める。
リナ
『、、、、、、』
アラシヤマ
『、、、、、、』
唇が触れる寸前、幸か不幸かリナは目を覚ました。
暫しそのままの状態で見つめ合う二人。
リナ
(男の人、だよね)
アラシヤマ
(新しく流れついたお友達がまさか女のお人とは)
自分を見つめる美しい瞳。
お互い時間が経つのも忘れ目を奪われる。
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