嫉妬
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その日、銀時、新八、神楽はツチノコを探しに出かけていた。
依頼主が納得するまで帰って来れないらしい。
今回雀は留守番だ。
雀
(体力がないからかなぁ)
皆の足を引っ張らないよう、もっと頑張らないとと気合を入れて家の掃除をする。
少しでも動いて体力をつけないと。
雀
『もうこんな時間か』
買い物に行かなければ。
夜、女一人は危険だからと、神楽が番犬代わりに土方を呼んだのだ。
雀
(えーと、あれとこれと。マヨネーズも買ったよね。うん、これで大丈夫)
買い物を済ませ、家路につく。
その足取りは軽い。
雀
(ふふ、喜んでくれるといいな♪)
ガッ
雀
『きゃあっ』
不意に何かに躓き、雀は派手に転んでしまった。
雀
『痛‥』
擦り傷から血が滲む。
何に躓いたのか確認しようと後ろを振り返ると、見知らぬ女達がニヤニヤ笑っていた。
雀
(もしかして、、、)
足を掛けられたのだろうか。
しかしそんな事をされる心当たりはない。
「何これ?」
一人が地に落ちた袋を手に取る。
先程買った夕飯の材料だ。
雀
『返して下さい』
キャハハハ
「ねぇ聞いた?」
「まるでウチらが取ったみたいな言い方じゃんね?」
不愉快な笑い声に雀は顔を顰めた。
「そんな恐い顔しなくてもちゃーんと返してあげるわよッ」
女達は次々と袋の中の物を投げつける。
口々に何か言っているようだが雀の耳には入らない。
雀は他人事のような顔で、落ちてグチャグチャになってしまった食材をただ見つめていた。
女達は更に苛々を募らせていく。
パシッ…
左頬に感じる熱。
「バカにしてんの?」
今度は髪を掴まれ顔を地べたに擦りつけられた。
踏まれ、唇が切れる。
雀
(どうしてこの人達はこんなことをするんだろう)
どのくらいの時間が経ったのか、気付けば一人になっていた。
いつの間にか、泥だらけの顔も体も洗い流してくれるような激しい雨が降っている。
が、突然その雨が止んだ。
雀はゆっくりと顔を上げる。
高杉
『捨てられた犬みてぇな顔してどうした?俺が拾ってやろうか』
雀に傘を翳しながら冗談交じりに笑う高杉。
高杉
『で、何で泣いている?』
雀
『ふふ。これ、涙じゃないよ。雨』
雀は笑う。
高杉はそれ以上何も言わなかった。
雀
『ありがとうございます』
差し出された手を握る。
すると強く引かれ、そのまま高杉に抱き寄せられた。
雀
『着物、汚れちゃいますよ?』
高杉
『汚れたって構わねぇよ。お前となら』
雀
『え?』
どこか、聞き覚えのある台詞。
雀
『高杉さん、私、前に貴方と―――』
塞がれる唇。
高杉
『またな』
そう言い残し、傘を握らせ去ってしまう。
雀は高杉が見えなくなるまでずっと、その背中を見つめていた。