二.大切な人、大切な場所
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男たちの騒ぎ声に、目を覚ます。
ゆっくりと瞼を上げると、どこぞの敷地内で焚き火を囲んで高笑いをしている男たちの中に、私はいた。
身体や顔にいくつもの切り傷を負い、腰に差した真剣を見て一目で侍と分かるもの達が、パッと視界に入った人数だけでも十は超えている。
なぜ、私はこんなところにいるのだろうか。
そう自分に問えば、ようやく意識がはっきりとしてきた。
そうだ。一人で家に向かう途中、彼らに気絶させられてしまったのだ。
ぐっと身体に力を込めれば、両手両足が自由を奪われ、後ろを振り向けば大きな木柱に固定されていた。
「おぉ、大事なお嬢さんのお目覚めだ。」
ひとりの男がこちらの動きに気づきそう言うと、男たちは急に静まり、視線を募らせた。
「気分はどうだい?」
「……最悪です。」
ニヤリと笑みを浮かべた男に睨みつけてそう吐き捨てると、がははと声をあげて笑った。
「気の強いお嬢さんだ。怯えて泣き出すかと思いきや、肝が座ってらァ。」
「あなた達、私を捕まえて何をしようって言うんですか?」
「おいおい、それを聞くのは愚問だろう。あんたを捕まえて人質にとるなんざ、理由はひとつしかねぇ。」
彼らの言う通り、目的は何となく分かっていた。
そしてこういう時がいずれ来ることも、予想していないわけではなかった。
「…そうですね。確かに愚問でした。それで、上手いこと私は人質として使えました?」
ニヤリと笑って強気でそう言うと、笑みを浮かべていた男の目付きが変わった。
そして顎髭を触っていた男はその手を私の顔を鷲掴みにし、地を這うような声でこう返してきた。
「おい女。てめぇ、立場ってもんを分かってんのか。何強気な口叩いてんだ。てめぇは今だけ生かしてやってるだけだ。あんまり生意気な口叩いてると、先に殺すぞ。」
「いいですよ。先に殺す価値があるなら、その方が全然いいです。それとも、今すぐ舌をかんで死にましょうか?」
「こっ、この女……!」
男は私の左頬を強く叩いた。
口の中が切れて血の味がする。
それでも私は、再び前に顔を戻し口角を上げた。
「なんだこの女…頭いかれてやがる」
目の前の男の顔が引きつったのを見ると、別の男がこちらに近づいてきては、その男の肩にそっと手を乗せた。
「まぁ落ち着きなさい。君も安い挑発に乗りすぎだよ。」
「…あなたは……」
新たに前へ来た男には見覚えがあった。
確か不動産に行った時に接待した男だ。
どことなくあの時感じていた違和感を、ようやく私は解決することが出来た。
「なるほど…そういうことでしたか。」
私がそう呟くと、男は眉をしかめた。
「あの時おかしいと思ったんですよ。私ならまだしも、総くんに熱心に接待してたから。」
「どういう意味です?」
「総くんくらいの外見だと、大してお金を持っていないと最初から相手にされないことだって少なくはないんですよ。でもあなたは最初から、私ではなく彼に話しかけて話を進めていた。それは、最初から彼が新撰組の沖田総悟であると最初から知っていたからですね。」
「ほぉ、随分と頭が回るお嬢さんだ。」
「となると、この引越しも最初から仕組まれていたというわけですね。」
それに対しての返事はなかったが、あの以前見た胡散臭い笑みを再び前にして私はそれを肯定とみなした。
「あなたにはなんの恨みもないんですがねぇ。あなたのフィアンセに我々は以前こっぴどくやられた身でしてね。申し訳ないですが、彼には私たちのように全てを失ってもらうつもりです。」
「…全てを失う?」
「えぇ。まぁそれは彼が来た時にでもお話して差し上げましょう。それりもまずは、あなたです。」
「…」
「彼があなたの姿を見て、絶望に達するまでに仕上げとかないといけませんからねぇ。」
ぐっと髪を引っ張られて、無理やり顔を上げられる。
私はその男を睨むと、奴は声を押し殺して笑った。
「さて、なるべく泣き叫んで嫌がってくださいね。私実は、女性の苦しむ顔を見るのが大好きなんですよねぇ。」
「ーーっ!」
絶対に奴らの思い通りにはさせない、と。
私はその時、心の中で強く決意した。
ゆっくりと瞼を上げると、どこぞの敷地内で焚き火を囲んで高笑いをしている男たちの中に、私はいた。
身体や顔にいくつもの切り傷を負い、腰に差した真剣を見て一目で侍と分かるもの達が、パッと視界に入った人数だけでも十は超えている。
なぜ、私はこんなところにいるのだろうか。
そう自分に問えば、ようやく意識がはっきりとしてきた。
そうだ。一人で家に向かう途中、彼らに気絶させられてしまったのだ。
ぐっと身体に力を込めれば、両手両足が自由を奪われ、後ろを振り向けば大きな木柱に固定されていた。
「おぉ、大事なお嬢さんのお目覚めだ。」
ひとりの男がこちらの動きに気づきそう言うと、男たちは急に静まり、視線を募らせた。
「気分はどうだい?」
「……最悪です。」
ニヤリと笑みを浮かべた男に睨みつけてそう吐き捨てると、がははと声をあげて笑った。
「気の強いお嬢さんだ。怯えて泣き出すかと思いきや、肝が座ってらァ。」
「あなた達、私を捕まえて何をしようって言うんですか?」
「おいおい、それを聞くのは愚問だろう。あんたを捕まえて人質にとるなんざ、理由はひとつしかねぇ。」
彼らの言う通り、目的は何となく分かっていた。
そしてこういう時がいずれ来ることも、予想していないわけではなかった。
「…そうですね。確かに愚問でした。それで、上手いこと私は人質として使えました?」
ニヤリと笑って強気でそう言うと、笑みを浮かべていた男の目付きが変わった。
そして顎髭を触っていた男はその手を私の顔を鷲掴みにし、地を這うような声でこう返してきた。
「おい女。てめぇ、立場ってもんを分かってんのか。何強気な口叩いてんだ。てめぇは今だけ生かしてやってるだけだ。あんまり生意気な口叩いてると、先に殺すぞ。」
「いいですよ。先に殺す価値があるなら、その方が全然いいです。それとも、今すぐ舌をかんで死にましょうか?」
「こっ、この女……!」
男は私の左頬を強く叩いた。
口の中が切れて血の味がする。
それでも私は、再び前に顔を戻し口角を上げた。
「なんだこの女…頭いかれてやがる」
目の前の男の顔が引きつったのを見ると、別の男がこちらに近づいてきては、その男の肩にそっと手を乗せた。
「まぁ落ち着きなさい。君も安い挑発に乗りすぎだよ。」
「…あなたは……」
新たに前へ来た男には見覚えがあった。
確か不動産に行った時に接待した男だ。
どことなくあの時感じていた違和感を、ようやく私は解決することが出来た。
「なるほど…そういうことでしたか。」
私がそう呟くと、男は眉をしかめた。
「あの時おかしいと思ったんですよ。私ならまだしも、総くんに熱心に接待してたから。」
「どういう意味です?」
「総くんくらいの外見だと、大してお金を持っていないと最初から相手にされないことだって少なくはないんですよ。でもあなたは最初から、私ではなく彼に話しかけて話を進めていた。それは、最初から彼が新撰組の沖田総悟であると最初から知っていたからですね。」
「ほぉ、随分と頭が回るお嬢さんだ。」
「となると、この引越しも最初から仕組まれていたというわけですね。」
それに対しての返事はなかったが、あの以前見た胡散臭い笑みを再び前にして私はそれを肯定とみなした。
「あなたにはなんの恨みもないんですがねぇ。あなたのフィアンセに我々は以前こっぴどくやられた身でしてね。申し訳ないですが、彼には私たちのように全てを失ってもらうつもりです。」
「…全てを失う?」
「えぇ。まぁそれは彼が来た時にでもお話して差し上げましょう。それりもまずは、あなたです。」
「…」
「彼があなたの姿を見て、絶望に達するまでに仕上げとかないといけませんからねぇ。」
ぐっと髪を引っ張られて、無理やり顔を上げられる。
私はその男を睨むと、奴は声を押し殺して笑った。
「さて、なるべく泣き叫んで嫌がってくださいね。私実は、女性の苦しむ顔を見るのが大好きなんですよねぇ。」
「ーーっ!」
絶対に奴らの思い通りにはさせない、と。
私はその時、心の中で強く決意した。